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教育ICT

環境を整えると学校現場でイノベーションが起こる NextGIGAも県域で端末更新<奈良県立教育研究所 教育情報化推進部 指導主事 森亮介氏>

2023年12月4日
第102回教育委員会対象セミナー・大阪

10月20日、大阪市内で第102回教育委員会対象セミナーを開催。3つの教育委員会が端末の共同調達、ゼロトラストネットワーク、AL教室の学びを、2つの中学校がICTを活用した授業改善について報告した。


奈良県立教育研究所 教育情報化推進部 指導主事 森亮介氏

奈良県立教育研究所 教育情報化推進部 指導主事 森亮介氏

GIGAスクール構想において県域で端末を共同調達した奈良県は、次の更新でも共同調達を行う予定だ。森指導主事がこれまでの取組をふり返り、前回との相違点や今後の予定を報告した。

…◇…◇…

GIGA端末更新時期を迎えている。

このタイミングで考える必要があることは「自分の自治体の取組、自分の取組をふり返る」ことではないか。GIGAとはGlobal and Innovation Gateway for Allの略である。はたして学校はグローバルになったのか、教育にイノベーションは起こったのか。

グローバルとは海外とのオンライン交流だけではない。例えば生成AIのような新しい文化を取り入れることもその1つ。イノベーションは個人単位で起こっていても、県や市町村単位まではまだまだ波及していないという現状がある。

教育委員会の役割は教員や子供たちがイノベーションを起こせる環境を整備することだ。

「不登校支援ならネット」はGoogleサイト、カレンダー、ClassroomMeet、デジタルドリルなど、既存のものを組み合わせて構築した。学校に行きにくい子がオンラインで授業を受けられたり、ボランティアの大学生と話したり、上手に活用されている。環境を整えるとイノベーションが現場で起こっていく。

■県域アカウントで業務の効率化が進んだ

GIGAスクール構想整備時、奈良県では11台端末配布前に11アカウント(Google)を配布した。これがうまく機能している。域内で統一する場合、アカウント配布は時間をかけるほどやりにくくなる。次の更新でも「先手を打つ必要のあるものは何か」を意識的に見ていく必要がある。

県域アカウントにより、県域のアンケート調査もFormsで一斉送信、集計・分析、結果の返却まですべてデジタル化できた。

紙ベースの時は教員と教育委員会とで計6500時間ほどかかっていたところ、3000時間まで減少。教員による子供のアンケートの事前チェックや集計作業も必要なくなった。これは教員の11アカウントの活用の経験を高めることにもつながった。

■データを共有して教員の経験値高める

ネクストGIGAでは教育データの利活用がメインになると考えている。最も優先的に進めるべきはゼロトラストネットワークの構築ではないか。

ネットワークは変更や更新が容易でなく、安全性や利便性の低いものだと教育・校務DXの可能性が閉ざされる。

教育データの利活用や校務DXなどの取組を進める上で重要になるのが教員の経験値だ。

できるだけ早く整備して、クラウド環境といった新しい環境を使い慣れるという経験値が後々響いてくる。

奈良県では端末・アプリの利用状況を可視化して県内の教育委員会や教員に提供したり、子供の見守りアプリを使って教員同士で気づきを共有したりしている。これらも経験値の向上に役立つ。

データの利活用においてはログを有効活用していくことが重要だ。

例えば、アンケートで端末を持ち帰っていると回答していても家で使っておらず、持ち帰りの本来の目的が機能していないといったこともログで可視化される。

奈良県ではアプリの開発も進めているが、予算決め・入札・設計・開発の過程で陳腐化する時代になっている。随時アップデートできる体制づくりが有効だ。

11台端末を共同調達で更新予定

奈良県では次回の端末更新も共同調達を予定している。

前回の端末調達時にはGIGAスクール構想推進協議会を立ち上げ、県域で端末を共同調達した。これによりスケールメリットを生かした購入が可能になり、煩雑な入札業務などをまとめて行うことができる。

端末の検討は県及び市町村の担当者からなる協議会のWGで行うため、ICTに詳しくない場合でも担当者の負担が軽減される。

端末の仕様や付随するドリルやサービスもあわせて検討。次回の更新に向けた協議会には、教員や保護者も巻き込みたいと構想中だ。

調達方法は前回のものをベースとするが、ゼロトラストネットワークや運営支援センターによる遠隔サポートへの対応を視野に入れることが前回と異なる点である。現在、運営支援センターはヘルプデスク、運用支援、研修に加え、データ分析、アプリ開発など機能を拡充している。

OSは自由選択とし、前回同様、3OSの性能比較表を作成して公正に検討する。各担当者だけでなく、実際に授業を行う教員も参加して選定する予定だ。

端末に関して重要なのはエンドポイントセキュリティだ。授業や校務のクラウド化が進む中においては特に注意が必要と考えている。

教育データの利活用を阻害しないか、セキュリティ事故等の対応は十分か、ログ情報をしっかり取得できるか、検討を重ねていく。

【第102回教育委員会対象セミナー・大阪:2023年10月20日 】

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2023年12月4日号掲載

 

  1. 奈良県立教育研究所 教育情報化推進部 指導主事 森亮介氏
  2. 奈良市教育委員会 教育DX推進課 係長 米田力氏
  3. 彦根市教育委員会 学校ICT推進課 主査 島野友宏氏
  4. 加古川市立加古川中学校 教諭 澤伸明氏
  5. 守口市立八雲中学校 教諭 丸川祐樹氏
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