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教育ICT

次世代型校務DXは「引き算」の英断を~毛利靖・茨城大学教育学部副学部長

2026年4月27日

現在、多くの自治体がGIGA第2期の更新に合わせ、校務システムの刷新を急いでいる。最新のシステムを導入し、ダッシュボードで教育データを可視化する──それは確かに素晴らしい一歩に見える。

しかし、これまで、担任から校長まで現場を歩んできた者として、私は今のDX改革に「最も大切な視点」が欠けているのではないかと危惧している。

それは、システムという「器」の話ではなく、指導要録や通知表といった「中身(入力項目)」そのものの大胆な見直しとデータ連携である。

■「多機能」という罠から抜け出す

次世代型校務支援ソフトの仕様検討の場では、教員から「あれもしたい」「これも連携してほしい」という要望が次々と上がるであろう。

しかし、ここで自問自答すべきである。

「私たちは何のために、広域で校務支援ソフトを導入するのか」

真に目指すべき要件は、派手な機能ではない。例えば次のようなものだ。▼異動先でも同じ感覚で迷わず操作できる「安心感」 ▼一度入力したデータを二度打たせない「簡便さ」 ▼そもそも、無意味な入力を廃止する「潔さ」。これこそが、働き方改革の本質に迫るDXではないだろうか。

■「一枚の紙」が教員の時間を奪う

例えば、学習指導要録と通知表。この2つの項目はほぼ重複している。指導要録を打てば通知表が自動で生成され、成績は保護者がオンラインでいつでも閲覧できる。これだけで、これまでの「通知表作成」という膨大な業務は軽減される。

さらに都道府県でフォーマットが統一されれば、入試の調査書作成も、進学時の要録の写しもすべて電子化できる。「印刷して、確認して、職印を押す」という、デジタル時代とは思えないアナログな手間を、私たちはいつまで続けるのか。

■「縦割り」を壊す千載一遇のチャンス

これまで内容の見直しが進まなかった最大の理由は、指導要録の様式が「都道府県単位」で定められている一方、システム更新は「市町村単位」で行われるというねじれにあった。しかし今、都道府県単位でのシステム導入が進むなか「システムと様式を同時に見直す」千載一遇のチャンスが訪れている。この機を逃せば、次のチャンスはしばらく訪れない。

「システムを入れる部署」と「要録の様式を決める部署」が違う。そんな組織の論理を優先していては、真の教育改革など不可能である。今こそ、都道府県教育委員会の責任あるリーダーが主導し、現場の教員の笑顔のために、組織の壁を越えた「英断」を下すべき時であると考える。

執筆者プロフィール
茨城大学教育学部 副学部長 附属学校園統括長。茨城大学教育学部教授。全国ICT教育首長協議会特別顧問。【協力=一般社団法人AIイノベーション&次世代教育ネットワーク(AISEN)寄稿初出=同社Webサイト】

 

教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年4月27日号掲載

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