オープンバッジの仕組みを提供する㈱ネットラーニングホールディングスは、2025年10月より「オープンバッジの機能を利用したデジタル学生証」の提供を開始した。今年4月からは通信制大学および宮城県内の県立高校が導入。特に高校現場でのニーズが高まり始めているという。
■オープンバッジとは
オープンバッジは、学習成果や資格取得、活動実績などを改ざんできないデジタル証明書として発行・管理できる国際標準規格。暗号化されたデータとして発行され、第三者が検証可能な点が特徴で、探究学習の成果、資格試験の合格、ボランティア活動などを「デジタルの証」として蓄積できる。
■改ざんできないデジタル学生証
今回提供が始まったデジタル学生証は、オープンバッジの追加機能として開発されたもの。学生はスマートフォンアプリ(App Store/Google Play)からデジタル学生証を受領し、必要に応じて提示できる。紙の証明書やPDFと異なり、改ざんリスクがなく、スクリーンショット防止機能も備えている。
具体的には次のような特徴を持つ。▼暗号化され改ざんできない身分証明書 ▼二次元コード表示により、真正性を第三者が検証可能 ▼図書貸し出しや入退館に利用できるバーコード表示にも対応 ▼紙の学生証と異なり、紛失による情報漏洩リスクが低い ▼休学・退学時には即時失効できる ▼発行1回あたりのコストを平均1/3以下に抑えることができる
オープンバッジと同じプラットフォームで管理できるため、「学生証」と「学習成果のバッジ」を一括管理できる。漢字検定や数学検定、TOEIC、統計検定など既にオープンバッジを導入している各種検定からは同じプラットフォームでオープンバッジを受領することができる。
■今年度から県立高校で導入
宮城県内のある県立高校では2026年4月、全生徒の学生証をデジタルへ切り替えた。
生徒の満足度は96%と高く、「紛失の心配がない」「学割利用がスムーズ」「生徒手帳の校則を随時更新できる」 などの利点が挙げられている。
従来は、生徒手帳に写真を貼付し、毎年名前を書き込む作業が必要だったが、デジタル化により教職員の負荷が大幅に軽減された。また、学校図書館では、生徒・教員のバーコードを紙でファイリングしていたが、学生証のバーコード表示により検索作業が不要となり、既存機材をそのまま活用できる。
体育祭の表彰バッジ、ボランティア単位認定バッジ、探究学習の成果バッジなど、今後の活用も拡大予定だ。
■通信制大学でも導入
通信制大学では、学生証の郵送・再発行にかかるコストや本人確認の煩雑さが課題だった。
デジタル学生証は本人認証機能を備え、外国籍の学生でも確実に本人確認ができるため、悪用防止に寄与している。休学・退学時の即時失効も可能で、運用負荷が大幅に軽減された。
■保護者証も発行
ある私立女子高校では、生徒だけでなく保護者証の発行にも利用したいという要望がある。例えば、離婚に伴う接触禁止のケースでは、一方の保護者証を失効できるなど、紙では対応が難しい運用が可能となる。
国立大学ではすでに過半数がオープンバッジを導入しており、附属小中学校でのデジタル学生証導入に広がる可能性もあるだろう。
デジタル学生証は、オープンバッジの国際標準技術を活用することで、 安全性・利便性・運用効率を兼ね備えた新しい身分証明の形だ。学習歴と所属歴を一括管理できる仕組みとして、学校生活のDXを支える基盤となりそうだ。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年9月28日号掲載