• EDIX大阪
    StuDX Style
    教育委員会対象セミナー
    KKS 学校教材 学校教材をお求めの方
    JBKジュニア防災検定
  • ブックレビュー
    都道府県別教育旅行リンク集
    おうちミュージアム
教育ICT

「情報科」はAI時代の基盤科目~第19回全国高等学校情報教育研究会全国大会

2026年9月30日

第19回全国高等学校情報教育研究会全国大会(神奈川大会)が8月10・11日に神奈川県内で開催され、全国の情報科教員が参集した。実行委員長を務めた柴田功校長(神奈川県立百合丘高校)は「ほぼすべての都道府県から689人の申込があり、全国約5000校から情報科教員の1割以上が集まった。これは歴代最高の申込数。

次期学習指導要領は、情報科教員にとってプレッシャーも感じるような内容であり、教員と行政含めて力を合わせることが重要になる。そこで本大会を『情報科の力の結集』の機会として企画した」と話した。なお次年度第20回大会は島根県で開催予定。島根県はプログラミング言語「Ruby」発祥の地であり、DXハイスクール採択率が全国1位と、情報教育に熱心な地域の一つ。

「情報科」はAI時代の基盤科目~第19回全国高等学校情報教育研究会全国大会

柴田実行委員長は「全国の情報科教員の1割以上が参加している」とあいさつ

■次期学習指導要領「情報科」の方向性

文部科学省の須藤祥代教科調査官は「情報科の現在と未来~情報科の本質とは何か」について講演。主に情報ワーキンググループにおいて討議された次期学習指導要領「情報科」の内容を中心に説明した。

特に深い学びについて、その重要性をわかりやすいように整理していること、50分17コマ1単位を標準とすることの検討などについて報告。高等学校の学習指導要領は2027年度に改訂し、2032年度の入学生から順次実施する。

■情報科の学びが文理融合型に

2日間にわたる分科会発表は4会場で36件、ポスターセッションでは44件の発表があり、生成AIを扱う発表が多く見られた。大別すると、AIの授業活用、AIそのものの教材化の試み、AI時代の情報倫理教育などだ。情報科と探究学習を組み合わせた授業設計や、データサイエンスの授業実践の発表も多い。

プログラミング教育については、生成AIのアプリ開発やモデル化など高度化が進んでいる。「AIを信じすぎずに使う力の育成」「情報と各教科連携の探究」「情報デザインによる表現」など、情報科の学びが文理融合型へと広がっており、情報科は「AI時代の基盤科目」として再定義が進んでいる。


【分科会発表】

「探究」科目を教科に紐づけ

雲雀丘学園中学校・高等学校の林宏樹教諭は同校の探究科目と「情報Ⅰ」「情報Ⅱ」の取組について報告した。

高校1年に「データサイエンス(DS)探究基礎」と「言語活用探究」を設置し、前者は数学科、後者は国語科が担当。高校2年「DS探究実践」は、文系を地歴・公民科、家庭科、保健体育科が、理系を理科と情報科が担当。情報Ⅰ・情報Ⅱは情報科が担当。情報Ⅱは教員3人が、「データサイエンス」「ロボットシミュレーション」「センサーによるデータ収集」を分担。生徒を3分割して授業を行っている。3人で協議しながら評価できる点は利点だと話した。

探究科目はすべて教科に紐づけており、教科の専門性を活かす仕組みだ。

AI活用における人の役割は目標設定と戦略の立案にある。具体的にはAIへの指示と役割分担、品質チェック、意思決定と責任を担うことだ。「AIを使う」から「AIを導く」へ。これが今後のリーダー像であり、その点を念頭に入れて人材育成を進める必要があるとした。


【ポスターセッション】

生成AI・統計・プロセス評価

『試して考える』統計学習アプリケーションを開発したのは、名古屋文理大学情報メディア学部1年の永井翼さんと同学部助教で名古屋市立緑高等学校非常勤講師の御家雄一氏。統計の基本概念(平均・分散・標準偏差など)を一元的かつインタラクティブに学習できるWebアプリケーションを開発した。

永井さんは高校時代に情報科の学びに興味をもち、同学のオープンキャンパスで「情報を広範囲に学ぶことができる」ことに魅力を感じて同学に入学。さらに自ら研究室に赴き、Webアプリ開発などに取り組んでいる。

◇   ◇

『育てるAI』を体験

「『使うAI』から『育てるAI』へ 〜一宮市U29向けAI人材育成ワークショップ」について報告したのは愛知県立一宮高等学校の鈴木淳子教諭。AIの仕組みを理解し、設計・評価・改善できる人材を地域で育成することを目指し「与えられたAIを使う側」から「AIを育てる側」への視点転換を重視した。

具体的には「喫茶店のモーニングセットの満席予測」と「七夕まつりの人出予測」を題材に、機械学習によりAIモデルを作成し、精度向上に取り組んだ。育成のステップは、データの読み込み、予測に役立つ特徴量の選択、学習結果の評価と改善の繰り返し。これにより、AIの性能が人間の設計に左右されることや、分類・回帰・検証の基本サイクルを体験的に学べるとした。

Google Colaboratory上でPythonを用い、データの可視化から予測までを段階的に体験できる構成で当日は一宮高校の卒業生や在校生、現役エンジニアも参加者をサポートした。

◇   ◇

「情報Ⅱ」を全員履修

「情報科」はAI時代の基盤科目~第19回全国高等学校情報教育研究会全国大会

「情報Ⅱ」全員履修により探究を深化させるカリキュラムを提案

「生徒全員が学習する情報Ⅱの授業」を提案したのは、東京都立国立高等学校の小原格教諭。

根拠が浅く感想に留まることもある探究活動について、「情報Ⅱ」を学習することでデータを根拠としたレベルの高い探究活動に深化させることができると考え、同校では2027年度より、1年次に情報Ⅰ、情報Ⅱを、2年次に情報Ⅱを全員が履修している。同校の目指す文理融合型カリキュラムや授業内容について報告した。

◇   ◇

GitHubを活用して思考履歴を可視化

「情報科」はAI時代の基盤科目~第19回全国高等学校情報教育研究会全国大会

思考の履歴をAIで分類して評価する方法を提案

「生成AI時代におけるプロセス評価の実践」について発表したのは、青山学院大学非常勤講師の安藤昇氏。成果物だけでは思考は見えない。また、見るべきはAI活用の有無ではない。しかしプロセス評価をするために全員分を毎時間記録することは難しい。

そこで、GitHubを活用した学習ハーネスによる思考履歴の可視化により、成果物ではなく「どう考えたか」を評価することを提案。GitHubは、学習者が書いた文章やコードの変更履歴(バージョン)を自動保存するため、成果物だけでは見えない「問いの立て方」「根拠の示し方」「比較の仕方」「修正の痕跡」「説明の深まり」を時系列で追うことができる。

安藤氏は、この履歴を項目ごとにAIに整理させ、教員が短時間で確認・評価できる仕組みを「学習ハーネス」として提案した。

◇   ◇

プロンプトのひな形は、ふり返り用に作成

「生成AIを活用した授業内容に応じたふり返りプロンプトの生成と『情報Ⅰ』での実践」について報告したのは大成学園大成高等学校の萩原浩平教諭。

生徒のふり返りの充実に悩む教員は多い。そこで情報科で育成する資質・能力ごとに授業内容に応じたふり返りのプロンプトのひな形を作成。授業資料とともに生成AIに入力し、授業に応じたプロンプトを生成する手法を開発しその実践を報告した。

◇   ◇

大会実行委員長が語る「情報科教員への期待」

「情報科教員に期待すること」を提案したのは本大会実行委員長である神奈川県立百合丘高等学校の柴田功校長。授業については「自作教材を情報発信しよう」「共通テスト対策ではなく対応にしよう」「PC教室と普通教室を併用しよう」「生徒にポートフォリオを作らせよう」など5項目を提案。

つながりについては「研究会に積極的に参加しよう」「都道府県の研究会は県境を超えよう」「情報科の校長ネットワークをつくろう」「情報科指導主事等情報交換会を続けよう」など8項目、学校づくりについては「校内の生成AI活用の推進役になろう」「SSHは情報科科目を設置しよう」など3項目を提案した。

 

 

教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年9月28日号掲載

EDIX大阪
  • フィンランド教科書
  • EDIX大阪
    StuDX Style
    教育委員会対象セミナー
    KKS 学校教材 学校教材をお求めの方
    JBKジュニア防災検定
  • ブックレビュー
    都道府県別教育旅行リンク集
    おうちミュージアム
最新号見本2026年09月25日更新
最新号見本
新聞購入は1部からネット決済ができます

PAGE TOP