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図書館

全国の図書館ネットワークが連携 調べ物データベースで学びを支える

2018年2月5日
第14回レファレンス協同データベース事業フォーラム

国立国会図書館国際子ども図書館(以下、国際子ども図書館)で12月14日、「第14回レファレンス協同データベース事業フォーラム」が開催された。「レファレンス協同データベース(以下、レファ協)」は、調べ物のためのデータベース。国立国会図書館が全国の図書館等と協同で構築している。

学校図書館ならではのレファレンスに応える

学校図書館が参加情報リテラシー向上に

参加図書館がレファレンス事例や学校図書館との連携を紹介
参加図書館がレファレンス事例や学校図書館との連携を紹介

今回のレファ協フォーラムのテーマは「中高生向けレファレンスサービスとレファ協」。国際子ども図書館長の本吉理彦氏は、レファ協事業に中高の学校図書館が参加した経緯について触れた。

レファ協は平成14年からの実験的な試みを経、17年に本格的に事業をスタート。参加館を増やし、より多くのデータを蓄積することで、調べ物に役立つデータベースを構築することを目指し、学校図書館は25年から正式に参加対象になった。

現在レファ協には、公共図書館450館、学校図書館50団体(約800校)、ほか265館が参加しており(平成29年12月末時点)、データベースの登録数は、公共図書館が14万996件、学校図書館が3677件、その他が5万5975件。中高の学校図書館のデータベースは、他の図書館とは異なる内容が多く、ブックリストへの関心が高いという。

「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)が求められる中、学校図書館の働きはますます重要になる。紙(本や新聞・雑誌など)とインターネットを区別せずに、情報を適切に選べる力が求められている。情報源へのアクセス方法を、レファレンスを介して理解できれば、情報リテラシーの向上にも繋がる」と本吉氏は語る。

なお昨年、NPO法人知的資源イニシアティブ(IRI)による「Library of the Year 2017 ライブラリアンシップ賞:レファレンスの集積・可視化・公共財化」を、レファ協と参加館・協力者が受賞している。

学校図書館に関する国と自治体の施策

(公社)全国学校図書館協議会顧問の森田盛行氏は基調講演で、「学校図書館の今とこれから」について語った。
国の学校図書館の施策「学校図書館整備等5か年計画」は現在平成29年度から5年間の第5次計画で、図書、新聞、学校司書にそれぞれ地方財政措置がなされている。また「子供の読書活動推進に関する基本計画」については、現在第4次計画を検討中だ。

学校図書館を活用した学びにおいて、実際の現場では司書教諭や学校司書の研修が重要だが、規模の小さい自治体では難しい側面がある。指導主事などによる指導や支援、管理職に対する研修の企画・実施、学校図書館支援センターの設置・運営、学校内では学校図書館運営委員会の設置など、学校内外が関わり、支えることが重要だ。

事例紹介

ブックリストを作成(福島県立図書館)

福島県立図書館は「児童図書研究室こどものへや」を設置し、児童資料も11万冊を超える。学校図書館にも図書資料の貸し出しを行うなど連携。小・中・高校の、児童生徒や教員からの質問に対して、レファレンス協力も行っている。質問内容は、将来つきたい職業について、東日本大震災について子供に伝える本が知りたい、など。「戦争や災害から復興していく様子が描かれている小学生向けの資料リストが欲しい」等ブックリストの要望が多く、同館では「夏休みの友 関連資料情報」「放射線」「東日本大震災を伝える本」などのリストを作成している。

レファ協の利用は、掲載されている資料(図・絵・写真・作り方や実験方法など詳しい情報)を探す時が多い。公共図書館は、学校図書館より多くの資料や一般向けのより詳しい資料も所蔵している。そのため、学校図書館からの要望に応えたブックリストの作成が役に立つようだ。

資料使用の評価も記録(牛久市立学校図書館)

茨城県牛久市では小学校8校、中学校5校の全校に司書教諭と学校司書を配置。学校司書は週5日、1日7・5時間勤務だ。学校図書館図書標準は全校100%を満たしている。

学校図書館のネットワークを人・物流・情報の3つで構築。物流ネットワークは中央図書館と各小中学校を結び、図書の相互貸借を行っている。

書名の指定だけでなく、レファレンスも含めた相互協力となっている。レファレンスはメーリングリストと、物流希望メールの両方で行っている。

物流希望メールでは、学年や単元を挙げ、どのような授業で使用するかなど、希望する図書資料の詳細や必要冊数などを挙げる。図書の使用後は、実際に課題に即して使いやすかったかどうかなどの評価も含めて記録。次回以降に役立てている。
こうした同市のレファレンス事例は、レファ協にも登録している。

月報・年報で事例紹介(市川市中央図書館)

市川市中央図書館(千葉県)には、貸し出し・返却等とは別に、レファレンス専用のカウンターが設けられている。平成28年度のレファレンスの実績は中央図書館で3万7016件(電話・メールも含む)。実績は月報と年報として、毎年冊子にまとめられる。レファ協には平成16年から参加。28年度の事例の登録数は207件。

学校図書館については、司書教諭と学校司書が市内全校に配置され、平成8年には「学校図書館情報化モデル地域」に指定されるなど、先進的な取組を行ってきた。学校図書館支援センター事業には、小学校38校、中学校15校、義務教育学校(小中一貫校)1校、幼稚園6園、特別支援学校1校が参加している。

学校図書館ネットワーク事業は、中央図書館を起点に週2回、全校を巡回する物流ネットワークが核となっている。中央図書館の児童専用書庫には、図書資料1万673冊所蔵。各校・園からメールでの依頼を受けて、資料を準備し、梱包・集配・配達を行う。開かれた図書館、連帯する図書館の実現、自ら学ぶ力を育てる学校図書館づくりを支えている。

イベントでPR(豊中市立図書館)

豊中市立図書館(大阪府)では、「とよなかブックプラネット事業」として、学校図書館と公共図書館の蔵書を一体的かつ効果的に活用する環境を整備。平成24年度から本格始動している。事業を進める中で、学校図書館の役割「学習・情報センター」「教員支援センター」をPRするため、イベント『知的探究合戦「めざせ!図書館の達人」』を企画した。平成24年から毎年開催している。

同イベントでは、小学校4年生から中学校3年生を対象に、グループ単位での参加を募集。あらかじめ決めておいたテーマについて、グループ単位で公共図書館内の資料を使って限られた時間内に「調べる・まとめる・伝える」活動を体験する。学校には負担のない形で実施すること、さらに休日の公共図書館を貸切で利用できる特別感もあり、子供たちにも人気の企画に。29年夏は、小学校30組の枠に90組ほど、中学校8組に20組ほどの申込みがあったという。

図書館の活用法

レファ協は、事業に参加している図書館等(参加館)の日々のレファレンスの記録や情報の調べ方などをデータベースに登録し、インターネットを通じて提供している。
参加館は全国の図書館のレファレンスの回答事例(一般公開・参加館公開分のデータ)を見られる。他にも実践的なレファレンスの研修教材として、また組織内でレファレンスの記録を共有する等の活用方法がある。
参加を検討したい場合は、実際の参加館が利用している機能を使える研修環境が用意されている。
申し込み=crd.ndl.go.jp/jp/help/crds/about.html#chap1-2

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年2月5日号掲載

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