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学校図書館

地域で本と子供をつなぐ 学校を支える公共図書館

2019年9月24日
秋の学校図書館特集

学校図書館と公共図書館が連携し、子供たちの学びを充実させている事例が全国にある。図書資料の団体貸し出しをはじめ、調べ学習の支援なども行っている。学校が支援を受けるだけでなく、公共図書館の子供たちが大人になっても足を運んで欲しいといった願いや、地域全体で取り組むようすを紹介する。

<主な記事>

函南町立図書館・静岡県

伊豆半島の玄関口にある函南(かんなみ)町に、函南町立図書館が開館したのは2013年4月。函南町子育てふれあい・地域交流センターとの複合施設であることも活かし、学校、地域や他機関との連携事業に力を入れている。積極的な取組が評価され、今年4月「子供の読書推進活動」文部科学大臣表彰を受賞。

園・学校・他機関と連携
幅広い情報発信の場に

地域の子供たちに図書館の存在を広める
牧野満枝館長

牧野満枝館長

函南町図書館等複合施設「かんなみ知恵の和館」は、函南町立図書館と、函南町子育てふれあい・地域交流センター(以下、地域センター)で構成されている。

2013年の同館オープンを機に同町では「読書のまち・かんなみ」を宣言。今年3月には「第三次子どもの読書活動推進計画」がスタートした。

オープン以来、幼稚園・保育園・小中学校、近隣の高等学校との連携事業に力を入れている。牧野満枝館長は「地域の子供たちに町の図書館に来て欲しい。忙しくて来られない時期があったとしても、園や学校などを通じて(図書館を)知ってくれれば、大人になってからも来館するようになるのではないか」と話す。文部科学省の「子供の読書活動推進計画」も0~18歳を対象としている。現在、同町の子供の人口は減っているが、同館の0~6歳の来館者数と利用冊数は伸びているという。

1Fの「こども図書館」。屋外には田園風景が広がっている。奥には「キッズルーム」と「おはなしのへや」があり、大型絵本などを配架している

1Fの「こども図書館」。屋外には田園風景が広がっている。奥には「キッズルーム」と「おはなしのへや」があり、大型絵本などを配架している

建物の1Fには地域センターと、図書館の「こども図書館」と「キッズルーム・おはなしのへや」がある。2Fには図書館の一般図書、新聞・雑誌・視聴覚資料、学習スペース、研修室、交流ラウンジなど。運営は図書館は函南町教育委員会生涯学習課が、地域センターは厚生部・子育て支援課が行っている。

【連携1】
保育園・幼稚園、
小中学校はバスで送迎

特徴的なのが、町内の幼稚園・保育園・小中学校を対象に行っている図書館見学会だ。

町内の11の幼稚園・保育園の年長クラスの親子を対象とした見学会は、1日1園ずつ来館、親子への読み聞かせのほか、保護者には読み聞かせのポイントなどを教えている。

小中学校の見学会は、授業の45~50分1コマの時間内で、1クラスずつ送迎して実施する。

町内5校の小学校全3年生を対象とした見学会では、ブックトークと本の貸し出しを行う。中学校2校の全1年生を対象とした見学会では、問題を用意し、調べ学習に取り組む。図書館の使い方や、出典の記載の仕方を学ぶ。「特に地域資料は、地域の図書館ならではのものなので、ぜひ触れて欲しい」。

実施にあたっては、牧野館長が2月頃に各園に足を運んだり、校長会に出席して授業時間などの確保を依頼している。

いずれも町所有のバスで送迎する。事前に利用者カードを作成し、見学会当日に借りた本は園・学校経由で返却できる。

授業支援では、小中学校の司書教諭と年1回、学校司書と4・7・9・2月の年4回連絡会議を行っている。授業の単元などに沿ったテーマを年度当初に確認し、各校の要望に応じて団体貸し出しを行う。学校図書館と協力して作成した「読書記録ノート」は町内全小中学生が利用。夏休みの自由研究のサポート、読み聞かせボランティアの学校への派遣も、同館が行っている。

遠隔地の小学校2校には年4回ずつ出張して本の貸し出しを実施する。

公共図書館として学習支援や読書推進の一翼を担うことで、教員の多忙を軽減する狙いもある。

【連携2】
高校生が協力しイベント
YAコーナーも設置
YAコーナーには中高生による本の紹介の掲示板も

YAコーナーには中高生による本の紹介の掲示板も

近隣には2校の高校がある。静岡県立田方農業高等学校の園芸デザイン科フラワーコースの生徒が協力するのは、「親子で楽しむ夏の寄せ植え体験」。こども図書館と扉1つで行き来できる地域センターの多目的室を活用した。夏の時期に屋内で寄せ植え体験ができると好評だという。もちろん関連図書の紹介も欠かさない。

「おはなし会スペシャル~英語deよみきかせ~」は、同県立三島南高等学校が協力。英語部の生徒が英語で、文芸部の生徒が日本語で読み聞かせを行う。両企画とも、多くの親子が集う人気の企画となっている。

高校との連携は、YA世代に向けた取組の一環でもある。YAコーナーを設け、中高生による本紹介の掲示板があるほか、さまざまな図書館企画に高校生ボランティアが参加している。同館で中学校の職業体験を行った生徒が、高校進学後に連携事業に参加するケースも。「徐々に成果が出ていると感じている」。

【連携3】
他機関との連携で
紹介する本の幅が広がる
2F 展示スペース

2F 展示スペース

町の他機関との連携も活発だ。「図書館は情報発信の場。読み物だけでなく、園芸や、健康、衛生、福祉、などさまざまな情報が手に入ることを知らせたい」。厚生部健康づくり課との取組では、保健師、栄養士と共に健康や検診に関する本を選書、ディスプレイし、検診の案内や受診の方法なども一緒に掲示。保健師・栄養士による出張健康・栄養相談も館内で行った。

4月の「こどもの読書週間」に合わせたイベントも。昨年は厚生部子育て支援課・福祉課・町障がい者自立支援協議会と連携。保育士による親子リズム遊びや、絵本作家による自閉症理解のための読み聞かせなどを実施。130人の親子が参加した。4月上旬の発達障害啓発週間の情報発信にもつながった。今年は環境衛生課とコラボレーション。いずれも本の紹介を行い、イベント後には関連書を展示・貸し出しを行っている。

「さまざまな連携によって、紹介する本の幅が広がる」。他機関にとっても、図書館を通じて啓発活動ができるメリットがある。

新潟市教育委員会

学校図書館支援センターは、公共図書館に設置されているケースも多い。今年6月に(公社)全国学校図書館協議会「学校図書館賞」を受賞した新潟市教育委員会は、「新潟市子ども読書活動推進計画」に基づく学校図書館の整備充実が評価された。政令指定都市として行政規模の大きさに関わらず、学校図書館の整備充実のためにきめ細かな施策を行ってきた。市内4つの公共図書館に置かれている、学校図書館支援センターがその柱となり、学校と各機関との連携を図っている。

学校図書館支援センター
4つの市立図書館に設置

新潟市では早い時期から、学校図書館の整備充実に取り組んできた。1961年から市予算での学校司書配置を始め、2005年に近隣13市町村と広域合併後、新たに加わった地域でも学校司書の配置が進められ、2006年には小中学校全校、2017年度には、特別支援学校・高校等を含む市立学校全校への配置を完了した。

2010年には蔵書管理システムを導入、同時に『新潟市学校図書館実務マニュアル』を全校配備。ほかにも、2011年以降、市立小中学校では蔵書の更新をしながら、学校図書館図書標準100%を維持している。

広域合併当初、それまでの新潟市と、新たに加わった地域では、学校図書館の整備や活用状況に差があり、改善が必要だった。また、新規採用された臨時学校司書への支援も求められていた。そこで2008年より、合併した地域の市立図書館から順番に、学校図書館支援センターの設置を進めていった。

現在市内4つの市立図書館に、学校図書館支援センターが置かれている(=図1)。いずれも学校司書経験がある職員を専任で配置する。なお、教育委員会事務局の中で、中央図書館は独立した課であり、他に18ある市立図書館をまとめている。

(図1)学校図書館支援センターが各地区の学校を担当

(図1)学校図書館支援センターが各地区の学校を担当

学校図書館支援センターは、各校への直接の働きかけを積極的に行い、支援している。

主な取組は、①学校図書館訪問を各校につき年1回以上。学校図書館の運営状況の聞き取り、業務相談など ②各種相談対応 ③学校司書研修の開催 ④団体貸出・学校貸出図書搬送 ⑤情報提供 ⑥新潟市の学校図書館と学校図書館支援センターの取組の情報発信

①は、昨年度298回の訪問を実施した。②では児童生徒用の資料相談はもちろん、教員の教材研究用の資料、特別支援学校での先進事例の問合せなど幅広く扱う。校内のおすすめ本リストの見直しの際も、学校の活用状況を確認しながら作成に協力するきめ細かさだ。⑥の情報発信についてはHPで公開中。https://opac.niigatacitylib.jp/gakkoushien/gakushi/gakushi_top/gakushi_top.html

このように学校図書館支援センターのバックアップがある中で、学校も学校図書館活用の拡大に取り組み、学校全体で学校図書館を運営する形が定着している。2015~2019年度の5年間で、すべての市立小中学校が学校図書館活用推進校として実践を重ね、取組を継承している。

関連各課・機関の役割明確化

豊栄図書館の青野萌主任は「学校図書館への支援は、学校図書館支援センター単独でできるのではなく、各課や機関との連携があるから可能になる」と話す。学校図書館支援センターと、教育委員会内や市長部局の関係する17課・機関(=図2)が連携している点も着目したい。

(図2)教育委員会(18の課・機関)が連携

(図2)17の課・機関が連携している

「第二次新潟市子ども読書活動推進計画」に基づき、「子どもの読書活動を推進するための方策」を各課・関係機関ごとに明確化している。例を挙げると、学校の学校図書館活用の拡大には、学校人事課、学校支援課、図書館が関わる。

また教職員研修は、学校図書館支援センター主管で学校司書研修、総合教育センター主管で教員と司書との連携やICT活用などを行っている。

学校図書館支援センター、各課・機関との連携、そして学校全体で取り組む活動は児童生徒の読書習慣の定着に繋がったという。年間平均貸出冊数は年々増加しており、2018年度は小学校118・1冊、中学校14・7冊となっている。また資料を活用した学び方を意識した授業も増え、児童生徒の情報活用能力を高めている。

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2019年9月23日号掲載

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最新号見本2019年10月14日更新
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