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図書館

「本」を知ることで一生学び続けられる~金沢大学附属特別支援学校の読書活動推進

2026年3月16日

「令和7年度金沢大学附属特別支援学校教育研究会」が2月6日に開催された。特別支援学校における読書活動を推進し、児童生徒の生きる力を育む読書の効果を明らかにしたほか、指導計画や支援についての研究成果が発表された。

公開授業が参観できる会場参加と後日オンライン配信も合わせ、参加者は100人を超えた。公開授業は小学部・中学部・高等部で行われたほか、全体会、ポスター発表、国立特別支援教育総合研究所・丹野哲也氏による研究講評、金沢大学教授・滝口圭子氏による講演は配信も行われた。

全体会 金沢大学附属特別支援学校 北翔平 研究主任

研究テーマは「Society5.0を豊かに生きる資質・能力の育成~読書活動の推進を通して~」。予測困難な時代において、与えられた知識を暗記ではなく、自ら集めた知識で納得感のある答えを作りだす力が求められている。北氏は「これは知的障害のある児童生徒も同じ。自分の力で学ぶ力、学びながら成長していく力を学校内外で育むことが大事」と話す。本研究で「読書」に重点を置いた理由は、読書が子供の言葉の育成に加えて、非認知能力の育成にも効果的とされているからだ。

同校では高等部卒業後は就労する子がほとんどだが「本の存在を知ることで、本があれば一生学び続けることができる」。そこで‘自ら本に手を伸ばす子供を育てる’ことを目指し、卒業後の生活の充実につなげる。

研究の目標として「すべての児童生徒が読書による文字・活字文化の恩恵を受けられるよう、一人ひとりにとって適した取組の推進とその効果を明らかにする」「知的障害がある児童生徒の本への親しみを明らかにする評価モデルの開発・提案を行う」を掲げた。

環境整備と仕掛け~児童生徒の状態の見取り

知的障害のある児童生徒が利用しやすい形式で本の内容にアクセスできる環境整備と、本との出会いを仕掛けることに力を入れた。児童生徒の状態は次の3つで見取る。①教員による見立て(児童生徒の普段の様子をもとに解釈)②身体情報の活用(集中している状態の時のそれぞれの特徴的な姿勢や動作を指標にする)③脈波の計測(デバイスを着用し個々の状態を把握)。

金沢大学附属特別支援学校の中学部の「読み聞かせグループ」の授業のようす。絵本の読み聞かせに合わせて、動作を真似する生徒の姿も見られた

中学部「読み聞かせグループ」の授業のようす。絵本の読み聞かせに合わせて、動作を真似する生徒の姿も見られた (写真提供:金沢大学附属特別支援学校)

選書と豊かな経験の一体的な計画を

児童生徒の選書や興味・関心を示した本の特徴から、効果が見られた取組の工夫は次の3点。

①身体経験や生活経験に結び付きのある本を選ぶ傾向が見られたことから、それらの経験を考慮した選書とともに、豊かな身体経験や生活経験を得られる活動を一体的に設ける必要がある。

②読書の目的を明確にすることで、読書に価値を感じながら本に向き合う姿が見られた。読書が自分にとって意味のあるものと捉えてもらえるような活動を計画する。

③他者とつながる・係るツールとして本を活用(関係性への欲求の充足・推進)児童生徒の行動観察から「読み聞かせ」がコミュニケーションのきっかけとして大きな役割を果たしている。

“本と近い”環境構成で主体的な学びへ

取組の一つを紹介する。小学部1組は生活動線上に学校図書館がなく自発的に本を手にする機会が少ないが、読み聞かせへの興味・関心が高い。児童Aは集団活動は消極的であるものの、読んだ本の知識を教員に話すことができるので、教室の環境を工夫した。クラス文庫を設置し、絵本・物語・図鑑・教科と関連する図書を配置した。

児童Aは家族と恐竜博物館を訪れ、骨格標本で恐竜の大きさを実感する体験をした。教員は恐竜に関するブックトークを行い、恐竜の名前、大きさや生態といった視点を提示。クラス文庫には恐竜の図鑑とともに1mの物差しや30㎝の定規を配置し、読書と量感覚を結びつける環境を整えた。

その結果、図鑑を開きながら1mの物差しで教室内を測るなどして恐竜の大きさを実感したり、算数の「測定(長さ)」の学習で、恐竜の大きさを友達に伝えるなど、学習内容と自分の「持っている知識」を組み合わせながら積極的に発言する姿が見られた。本がすぐ手に取れる物理的な近さ、体験の実感が残っているうちに本に触れられる時間的な近さが重要だ。

他にも「生徒同士のやりとりを大切にした読み聞かせ」(中学部)、「おすすめの本紹介を通して、新しい本へと興味を広げる」(高等部)などさまざまな取組が紹介された。

 

教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年3月16日号掲載

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