ICT市場調査コンサルティングのMM総研は、今年6~7月にかけて、全国の教育委員会を対象に、1人1台端末の更新(GIGA第2期)について、採用予定OSと採用理由、調達時期や台数などを聞いた「小中GIGAスクール第2期におけるICT整備動向調査」を実施。7月31日、その結果を公表した。
GIGA第2期ではOSシェアに大きな変化が見られた。端末のOS及び台数に回答した1174団体の621万台をベースに分析すると、GoogleのChromeOSはシェア60%(第1期から18ポイント増)と大きく伸ばし、過半数を超える結果となった(データ1)。
中小規模の自治体から、政令市や中核市など大規模自治体まで幅広く採用された。次いでAppleのiPadOSが31%(同2ポイント増)と第1期は僅差で3位だったところから2位に浮上した。一方、MicrosoftのWindowsは10%(同19ポイント減)とシェアを大きく落とした。全体でみるとGoogleが大きくシェアを伸ばし、Microsoftは大きく減らす格好となった。また、回答者の所感として第1期の端末の評価点と理由について聞くと、Windowsは「OSアップデートなど、運用しにくい」「動作が遅い」などの理由から最も低い点数となった。
GIGA第2期において、第1期から継続して同じOSを利用する自治体が67%と多数派であり、OSを切り替えた自治体は全体の28%であった(データ2-1)。第1期での採用OS別にみるとChromeOSは9割以上、iPadOSは約8割の自治体が継続利用している。他方、複数OS採用やWindowsの自治体では6割以上の自治体がOSを切り替えている。
GIGA第2期でのOSの選定理由を聞くと、同じOSを利用する自治体は「現在利用しているOSのため」が94%で大多数を占め、次いで「運用しやすい」が31%となった(データ2-2)。これまで利用してきたOSに慣れており、継続したいという声が大きい。OSを切り替える自治体では、「周辺自治体が多く利用している」が38%と最も多く、「運用しやすい」が33%、「現場の教員からの意見・アンケート結果で選ばれた」が23%と続いた。切り替えにあたっては、整備運用側の意見だけでなく、現場の意見や周辺自治体の状況などが反映されているものとみられる。
同総研が昨年8月に実施した調査では、GIGA第2期で共同調達するうえでの一番の課題は「端末価格の高騰」であった。今回の調査でGIGA第2期での端末単価を聞き取ると、全体平均は5.5万円となった(データ3)。細かくみると自治体ごとにかなりばらつきはあるものの、全体では政府補助の5.5万円前後の価格帯となった。OS別にみると、ChromeOSは平均5.4万円、Windowsが5.5万円、iPadOSが5.7万円となった。iPadOSは他のOSと比べ若干高く、また購入する自治体によってブレ幅が大きかった。
各市区町村が想定する調達予定時期ごとに台数を集計すると、2025年度に更新が集中することが分かった。調達台数と時期の双方に回答を得た1227市区町村の661万台を対象に分析すると、2025年度は調達台数の72%(661万台のうち475万台)、2026年度は22%(同144万台)となることが分かった(データ4)。政府は調達の平準化をアナウンスしているが、現行の端末が古くなってきていることなど、自治体ごとの事情があり、調達時期の後ろ倒しは難しいものとみられる。
【調査概要】
調査対象:全国の市区町村1,741の教育委員会(1,738委員会)
回答件数:1,249件※一部回答含む
調査方法:電話による聞き取り、一部e-mailやFAXによる調査票の送付・回収を併用
調査期間:2025年6月~7月