日本イーライリリー㈱は地域貢献活動として、ヤングケアラーを取り巻く環境改善に向けた取組を2022年から開始。その一環として、「LLライブラリー」では地域の子ども食堂や児童館などを社員が訪問し、ヤングケアラーの認知啓発を促す図書の寄贈を行ってきた。図書館寄贈先は3年間で累計約60か所となり、取組に賛同する団体も現れるなど活動は広がりを見せている。10月22日(水)には東京・港区の麻布子ども中高生プラザで寄贈セレモニーが行われた。

麻布子ども中高生プラザは、赤ちゃんから高校生世代を対象にしている施設。2階の学習室には本やマンガが置かれており、勉強や読書が楽しめる。今回は「ヤングケアラー みえない私」(相葉キョウコ/著 集英社)、「漫画 君たちはどう生きるか」(吉野源三郎/原作、羽賀翔一/イラスト、マガジンハウス)、「満月珈琲店のレシピ帖」(桜田千尋/著、主婦の友社)、「ヤングケアラー 介護する子どもたち」(毎日新聞取材班/著、毎日新聞出版)、「ヤングケアラーの歩き方~家族グレーゾーンの世界を理解する本~」(大庭美代子/著、加藤雅江/監修、風鳴舎)などヤングケアラーに関する本が寄贈された。
ヤングケアラーとは本来ならば大人が担うと想定されている家族の介護や日常生活上の世話を過度に行っている子供や若者。ヤングケアラーの支援に向けて2024年6月、「子ども・若者育成支援推進法」が改正され、国や地方公共団体などが各種支援に努めるべき対象にヤングケアラーが明記された。
介護を担う人手不足もあり、子供や若者が家族の介護や世話を担うケースが増えている。日本イーライリリーは2022年2月から有志社員によるプロジェクトを立ち上げ、こうした子供や若者を取り巻く環境改善を目的とした「ヤングケアラー支援活動」に取り組んでいる。
社員が居住または勤務する地域の施設へ、ヤングケアラーの認知啓発を中心とした図書を寄贈するプログラム「LLライブラリー」は2022年に開始。2024年は北海道から沖縄県まで全国32か所の子ども食堂や児童館に図書を寄贈。図書寄贈はこれまでの3年間で22都道府県60か所に広がっている。「LLライブラリー」の“LL”はLive, Love, Link, Learn & LocalそしてLillyの頭文字を組み合わせたもの。地域で愛され、つながる図書となることへの期待が込められている。
LLライブラリーで寄贈する図書は、①ヤングケアラーの認知啓発、②子供らしい、自由な時間(レスパイト)、③家事やキャリアを考えるのに役立つ本、以上3つの基準で特定NPO法人ふうせんの会と一緒に選定。ヤングケアラーの認知啓発の本だけでなく、子供の時間を大切にする本や、家事やキャリアを考える本をセットにしている。LLライブラリーは全国の社員の思いとともに、寄贈先のフィードバックを聞き、着実な認知と支援の広がりを確認しながら進めていく。