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学校施設

第94回【教職員のメンタルヘルス】教員世代の交代の曲がり角に

2023年6月19日
連載

〈教職2年目、担任していたクラスに発達に課題のある子供が入ってきました。保護者が普通学級を強く希望したのです。教員になりたてで、知らないことが多く、途方に暮れていた私でしたが、今思うと、その子供から実に多くのことを学びました。なかでも印象的だったのは、その子供の存在によって、周りのクラスメイトたちが友達に優しい気持ちになっていったことでした。特別支援学級の若い先生方とともに、私たちはその子供から成長させてもらったと今でも感謝しています。〉

この語りは、「教えること」と「学ぶこと」が表裏一体であることを意味し、「教える」という行為が一方的に働きかけるだけでなく、「子供から教わる」ことでもあるという双方向性を示しています。教員はさまざまな出会いによって大きな成長を遂げます。このような出会いは、それまでとは異質な人や情報などに対して柔軟に対応できる開放的な学校環境のもとでこそ実現するのです。そして出会いを意識化し、多少ともその意識について同僚と意見交換ができるような時間的、精神的余裕と教員間の連携が必要です。

多忙化の意味については、時間的に慌ただしいという表面的な状態だけでなくて、教職活動が細切れの過密状態に陥り、教員と子供が向き合うことが出来にくくなっている状況を意味します。教員自らの日々の教育実践について振り返りながら、じっくりと考えるゆとりも無くなっている状態を示しています。教員としての職務の現状が、専門性を高めるより低下させる方に向かっていることに注目すべきです。

■年齢構成アンバランスに

学校は組織として運営されます。困難な教育問題が発生したり、保護者からさまざまな注文が出されたりしても、組織として意思統一して問題解決にあたることが期待されます。以前までは50代の年配教員が多く、子供ともっと豊かに活動できる3040代の教員層が薄いという傾向がありました。しかし最近は50代が大量退職を迎え、40代の採用数が極端に少なかった影響で30代以下の教員が学校の主力を形成するようになっています。その年齢構成のアンバランスの影響が、保護者対応をはじめ様々な局面で出ています。

今後は層の薄い40代が学校管理者層となっていきます。その際、若い20代が確実に育ち、学校の統一性や活力がもたらされるかどうか心配です。豊かな発想力や創造性を秘めている20代教員に期待する一方、今の学校現場が教員の世代交代の大きな曲がり角にあることは間違いありません。

■多様な視点を持つ意味

教員研修で面接実習をすると、本人は高い自己評価をつけ、保護者役のパートナーが下した低い評価とギャップが生じることがあります。ある意味、自分を客観的に眺められる多様な視点が身についていないことを物語っています。

理由の一つとしては、教師の多忙な日常等で学校社会にスポイルされるため、さまざまな他者との交流を通じて、自分とは異なる見方や価値観、評価を知って多様な基準を取り入れる経験が乏しく、社会的自我が未熟なのかもしれません。理由は成育歴に潜んでいることも考えられるし、教職に就いてから数年続いたコロナ禍の影響で、外部の研修や出張が延期になり、交流し助言をもらったりする機会が乏しかったことも考えられます。

授業力のなさ以上の問題は、対人関係能力の欠如です。授業に関する知識、技術は研修で向上を図れます。対人関係が円滑に運べないことは深刻です。例えば保護者対応の場面で、相手の質問の意味が理解できずコミュニケーションが成立しないのです。その上、相手の気持ちを受け入れることが自分を否定されたかのように受け止めるので、保護者をより激高させてしまうのです。


土井一博(どいかずひろ)=順天堂大学国際教養学部 客員教授

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2023年6月19日号掲載

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