実践発表は栃木市立大平中学校・大平学校給食センター栄養教諭の中田智子氏(栃木県学校栄養士会顧問)が、「栃木県内の冷凍食品の活用(食育指導・献立例・発注・保存管理について)」をテーマに報告した。発表の要旨は次の通り。
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栃木市は小学校29校、中学校13校、全児童生徒1万352人。大平学校給食センターでは小4校、中2校の2311食を調理している。
「個別的な相談指導の実際」として、身長体重の伸びが滞っている食物アレルギーの中1生徒への指導事例を紹介。食物アレルギーに関する栄養指導を受けた経験がなく、アレルゲンを食べてしまうことを心配する。栄養診断では経口摂取量不足。このため校内の連携組織「栄養サポート会議」で相談し栄養教諭の介入を決定した。
発育不良の改善の短期目標は母親と本人の面談・個人目標の設定を行い、「朝食に牛乳を飲む・夕食でご飯をもう一膳食べる」などの行動計画、除去食・代替食の理解など栄養教育計画、母親と連携し成長期に必要な栄養素と食事を提供することに取り組んだ。再評価では、計画は全て達成したが身長・体重増加の個人目標値には届かなかった。さらに「生徒が自らの力で安全に成長期に必要な栄養摂取ができる」などの長期目標を設定・実施。卒業前には身長(24.4㌢)、体重(15.8㌔)が増加した。
教科と連携した食に関する指導は栄養教諭だからできる授業を考え、地域や他分野とのネットワークを生かした内容を工夫。地域食材のかんぴょうの生産現場を学び、中1技術家庭科家庭科分野で「かんぴょうの卵とじ」調理実習に発展させた。
同センターでの冷凍食品の活用状況は、1学期間で延べ132品使用。栃木県学校給食会(県給食会)の製品は素材品が中心で県内産食材を使用。冷凍食品メーカー製品の海老かつやいか天ぷらを使った「エビカツサンド」、「いか天丼」などが人気で献立を豊かに。夏季には冷たい麺類を提供するが、のびにくくコシがあり好評だった。
冷凍食品の発注先はほぼ県給食会で、納品は毎日行われている。県給食会が開く委員会で現場からの意見要望を伝えている。冷凍食品活用のメリットは①調理作業の簡略化、②献立の多様化、③安定した価格での食材提供、④衛生管理された食材、⑤地場産物の活用促進、⑥食が楽しみとなる工夫など。
「管理栄養士・栄養士は、資格を使って人々の命、健康、幸せに貢献する仕事」とまとめた。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年9月15日号掲載