午後からのパネルディスカッションは、長島美保子会長、中田智子栄養教諭、(公財)栃木県学校給食会常務理事・齋藤孝洋氏をパネリストに、(一社)日本冷凍食品協会・三浦佳子広報部長の進行で行われた。
(写真右から)県給食会常務理事・齋藤氏、大平学校給食センター栄養教諭・中田氏、全学栄会長・長島氏、日本冷凍食品協会広報部長・三浦氏
三浦:最初に栃木県学校給食会(県給食会)の取組をお聞きします。
齋藤:県給食会が窓口となり食材の共同購入を行っています。購入にあたり需要者側の意見が反映されるよう、栄養管理・品質管理・物資の各委員会で審議決定する方法をとっています。栄養管理委員会は価格・原材料・栄養価・調理性・食味を審査。品質管理委員会は物資が食品衛生法などに適合しているかを確認するため提出資料を審査。物資委員会はこれらの審査結果から総合的に審査します。
三浦:より良い学校給食を提供するための取組が分かりました。長島先生はお聞きしてどのように感じましたか。
長島:今回の会場でもある県給食会は設備も整っており、栄養教諭や学校栄養職員は恵まれた環境で職務にあたれると思いました。また、給食の物資管理に細心の注意を図り、冷凍食品なども現場のニーズを取り入れながら提供しているようで素晴らしいですね。
齋藤:1966年に学校給食で冷凍食品の取り扱いを開始した当初は、常温で配送していたためかなりのロスが発生していました。1968年に全国で初めて文部省のモデル指定を受け、学校給食のコールドチェーンを実現。県内13か所の学校給食センターに冷凍庫を整備し、県給食会には冷凍トラックが導入されました。
三浦:中田先生は学校給食に地場産食材を使用する上で、注意していることはありますか。
中田:2023年度の地場産物の使用率で栃木県は全国2位となっています。ただ地産地消といっても学校給食に出すのが難しいようでは使えません。県給食会の栄養管理委員会では、県学校栄養士会の全会員の意見を集約し学校給食に使いやすい食材を提供して地産地消につなげています。
三浦:全国の地産地消の活用例を見てきた長島先生は栃木県の給食をどのように感じましたか。
長島:給食の地産地消を高めようとしても現場だけの努力には限界があります。栃木県のように県給食会が現場と手を組み、地場産物を栄養教諭ならではのアイデアを活かした形で提供していることに感心しました。
三浦:冷凍食品を学校給食に使用する利点は。
中田:冷凍食品はバリエーションが幅広いので献立も工夫でき、共同購入することで価格も抑えられ、食品ロス削減にもつながります。
齋藤:共同購入方式によって物資選定から、選定物資の予約をとり使用量を集計し業者に伝え、県給食会で開発している冷凍食品もあり、生産効率を高められます。
三浦:栃木県学校給食会の先駆的な取組は皆様のご参考になりますね。本日はありがとうございました。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年9月15日号掲載