秋が深まり、朝晩の冷え込みも増してくると紅葉が徐々に最盛期を迎えます。里山では白い霜が降り始める頃で、楓蔦黄(もみじ、つた、きばむ)という末候に表現されています。
11月の和風月名は「霜月」です。冬の足音が近づいています。立冬(今年は11月7日)頃から吹く北よりの強い風は木枯らしと呼ばれ、この頃には初雪の知らせが届き始めます。
知始凍(ち、はじめてこおる)…冷たさが強まり台地も凍ってきます。黄色の冠をつけたような水仙が咲き始めます。七五三や酉の市も行われ一年の終わりが間近になって来る頃です。
季節の花は紫式部の美しい実がはじけそうにつき、山茶花の朱色や大輪の菊が鮮やかに咲き、お茶の花もひっそり咲いています。
旬の食材として白菜、里芋、サツマイモ、レンコン、トンブリ、りんごやみかんも美味しくなります。魚介類では秋鮭、いくら、カキ、鰤が出回り、なべ物の季節がやってきます。
新たな品種が次々に開発されるりんごですが、手軽にできるデザートを作ってみました。今回は紅玉が手に入ったので色鮮やかな紅い皮を生かした「コンポ-ト」です。

りんご(紅玉)

塩水漬け
材料はりんご(2個)、食塩不使用バター(10g)、グラニュー糖(30g)、レモン果汁(5g)、好みでラム酒(5g)を仕上げに入れても。
りんごは8等分のくし形切りにし芯を取り、褐変を防ぐ為に薄い塩水に漬けます。フライパンにバターを入れ、弱火にかけ、水けを拭き取ったりんごを並べます。バターが少しずつ溶けてきたらグラニュー糖を振りかけます。蓋をして5分程加熱しレモン果汁を振り入れます。再び蓋をして5分くらいで外し、汁けがなくなるまで煮詰めて完成です。

フライパンソテー

りんごのコンポート
お好みでシナモンパウダー、ホイップクリーム、アイスクリーム、ヨーグルトなどを添えてどうぞ。りんごの品種により糖分は調整してください。
【食育メモ】りんごは「医者いらず」と言われることがあります。一日に1個のリンゴを食べれば健康を維持できるという意味です。りんごに含まれる食物繊維のペクチンには腸内環境を整える効果があり、ポリフェノールは抗酸化作用をもち活性酸素を減らす効果が期待できます。カリウムは塩分を体外に排出する助けになり血圧を下げる効果もあるとされています。また、ビタミンCは免疫力の向上や美肌に欠かせません。リンゴ酸、クエン酸は疲労回復の手助けをしてくれます。
【著者】フードディレクター・澤坂明美=管理栄養士。女子栄養大学香友会と業務提携し『プロカメラマンとフードコーディネーターに教わる料理写真講座』を継続開催、女子栄養大学認定料理教室等を主宰する。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年11月17日号掲載