小暑(しょうしょ)は青空が広がり、太陽が照り付け、南風が吹き始める暑い夏の訪れをあらわす頃で、7月7日~22日頃に当たります。梅雨の終わりも近づきいよいよ夏の本番です。夏という言葉は「熱」「暑」「生きる」などが語源と言われる節もあり、季節に色のイメージを当てた「朱夏(しゅか)」という呼び名もあります。
蓮始開(はす、初めて開く)は蓮の花が水面からスッと伸び、夜明けからゆっくり花開く事を表し、暑さをねぎらう「暑中見舞い」の便りを出す頃でもあります。期間は梅雨明けから立秋の前日(8月8日頃)、それ以降から8月末日までは「残暑見舞い」とされることが多いようです。
また、五節句の一つの七夕があります。旧暦の7月7日に七夕飾りとして笹に願い事を書いた五色の短冊をつけ、天に向かい捧げる昔からの風習も残っています。古くは、奈良時代に遡るようです。織姫と彦星が天の川で年に一度だけ会えるというロマンチックな伝説をもとに小さな子供も願い事を記し、七夕が終わると神社等で燃やしてもらうようです。(以前は川や海に流していました)。
行事食には五色のそうめんを食べるようです。麦の収穫を祝い、無病息災を祈っていただきます。五色は世界の五大要素を「緑、赤、黄、白、黒(または紫)」で表したもので、古くから神事で用いられた色に似せ、きゅうり、大葉、ミニトマト、錦糸卵、うなぎのかば焼き等をのせます。この時季ならではの旬の食材は、さやいんげん、にんにく、冬瓜、魚介ではドジョウ、鱧が獲れ、鰈も脂がのりおいしくなります。
新ショウガの炊き込みご飯、実山椒とちりめんじゃこの甘辛煮を添えた
新ショウガを使って炊き込みご飯を作ってみました。米に油揚げと新ショウガ、酒と薄口醤油を加えただしで炊き上げます。学校給食では作られることは少ないですが、米の1・5倍のだし汁+調味料(5%の酒と10%の薄口醤油)を加え、米の15%の油揚げは細かく刻み、17%の新ショウガは細切りにして水にさらしてから入れます。
炊飯器でも良いのですが、土鍋の場合、中火で沸騰したら弱火にして12~15分、20秒強火で焼き締め、10分蒸らし、底からよくほぐします。文化鍋等を使用する場合、強火で沸騰したら弱火にし、7分炊き、蛍火(極々弱火)にして13分、強火で焼き締めるところからは土鍋と同様です。
実山椒
新ショウガ
今回の写真には、前日に作った実山椒とちりめんじゃこの甘辛煮を添えました。辛味の種類の違いを楽しめます。
【食育メモ】7月7日の夜、雨が降り、天の川が見えないことが多いですが、旧暦のこの頃は、梅雨も明けた8月半ば頃なので星空がよく見えたようです。
【著者】フードディレクター・澤坂明美=管理栄養士。女子栄養大学香友会と業務提携し『プロカメラマンとフードコーディネーターに教わる料理写真講座』を継続開催、女子栄養大学認定料理教室等を主宰する。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年6月16日号掲載