2026年度文部科学省概算要求が公表された。次の学習指導要領の開始を待たずに、その内容を実現できるように学校DXを加速。次世代校務DX環境についても初期費用が計上されている。情報活用能力向上に向けた施策も推進。
「質の高い公教育の再生」「新しい時代の学びの実現に向けた学校施設の整備等」「高等教育機関の多様なミッションの実現」などにおいて6兆599億円が計上され、昨年度より5506億円余りが増額されている。
出典:令和8年度文部科学関係概算要求のポイント
学校ネットワークアセスメント費用とその結果に伴うネットワーク整備強化の予算を引き続き計上するとともに、次世代校務DX環境整備に伴う初期費用が計上された。
出典:令和8年度文部科学関係概算要求のポイント
「今の環境でできる校務DX」と「環境整備を伴う校務DX」を推進。「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」および「教育データの利活用に係る留意事項」を改訂。
出典:令和8年度文部科学関係概算要求のポイント
整備支援=都道府県域での共同調達・共同利用及び帳票統一を前提に、自治体の次世代校務DX環境整備に係る初期費用(校務系・学習系のネットワークの統合に係る費用や、校務支援システムのクラウド化に係る費用等)を支援。680万円/校、補助率1/3。
準備支援=次世代校務DX環境整備を行う際に必要となる帳票統一・ネットワーク環境等に関する都道府県域内の実態調査、ロードマップの策定、RFP作成等の各種プロセスを支援。5000万円/都道府県、補助率1/3。
ネットワークアセスメントの結果を踏まえた学校ネットワークの課題解決に係る初期費用(機器の入替えや設定変更等)を支援。240万円/校、補助率1/3。
教育情報セキュリティポリシーの策定・改定支援、セキュリティリスクアセスメントや端末利活用等の専門家による支援、ネットワークの共同調達の支援等、学校DXに向けた技術的なコンサルタントに要する経費を支援。20万円/校、18校未満の場合は360万円として算定。
出典:令和8年度文部科学関係概算要求のポイント
これまでの「リーディングDXスクール事業」を発展。情報教育に係る学習者用教材を開発、実践事例を創出。
授業ですぐに使える動画教材や教員向けの研修コンテンツを作成。学校DX戦略アドバイザーを派遣。
全国の認定講習受講希望者がオンラインで負担なく受講できる認定講習プログラムを開発・運用、中学校技術科の免許取得を促進。認定講習プログラムの全国展開を支える連携大学への支援。
情報領域を専門とするような民間企業等の外部人材が、中学校技術科・高校情報科の指導者等として参画する仕組みを検討。手引きを作成。
これまでの「リーディングDXスクール事業」を発展。生成AIパイロット校は「教育利用」「校務利用」を指定。教育課題の解決に向けた生成AIの実証研究、生成AIの利活用や校務での活用に関する調査研究を実施。事例の発信と手引きの作成を行う。
「活用可能性を有する先端技術に関する調査研究」「教育課題特定型実証研究」「先端技術提案型実証研究」をそれぞれ実施。AR・VR・XR、メタバース等を利用した教育課題解決に関する実証を行う。各研究は1~3件を予定。
すべての国・公・私立の小学校5・6年生、中学校全学年に英語のデジタル教科書を提供。一部の小・中学校に対しては算数・数学のデジタル教科書を提供。高等学校での授業実践等のモデル創出のため実証研究も実施。研修モデルも創出する。
出典:令和8年度文部科学関係概算要求のポイント
配置校数5000校。負担割合国1/3、都道府県1/3、市区町村1/3。
働き方改革アドバイザーを派遣して教育委員会を伴走支援。内容は働き方改革に関する計画の策定や、実施した施策の効果検証ほか。創出・改善された各教育委員会の取組を発信する。1団体(民間)につき約6000万円。
出典:令和8年度文部科学関係概算要求のポイント
市区町村教育委員会に、学校管理職経験者等による学校問題解決支援コーディネータを配置。学校や保護者等から学校だけでは解決が難しい事案等について直接相談を受け付ける。必要に応じて両者から事情を聴取し、専門家の意見も聞きながら、事案ごとに解決策を整理・提示。対象は50市区町村、補助率1/3。
都道府県における広域的な支援体制を構築。単独でコーディネータの設置が難しい小規模自治体における困難事案に対応。対象は30都道府県・政令市、補助率1/3。
保護者等から学校に対する電話やチャット等による連絡の一義的な対応を、外部事業者に委託して整理・分類すること等による、学校では対応困難な案件の行政による早期対応や、学校における働き方改革への影響について調査研究を実施。対象は民間事業者、1団体約6000万円。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年9月15日号