第51回全日本教育工学研究協議会全国大会・茨城つくば大会が11月14・15日に開催された。大会テーマは「つくばから発信!未来を創造する次世代の学び」。授業公開は4小中学校及び業務教育学校・1高・1園で公開。授業公開後の全体会では実践校によるパネル討議や学校情報化認定の2025先進校を表彰。2日目はワークショップや研究発表が行われた。

授業公開前の全体会では各学年の代表生徒がこの日の学びのポイントを説明した

身体の動きで5種類のグラフの曲線の再現に挑戦(9年数学)
つくば市立みどりの学園義務教育学校の授業公開では全学年で計34授業を公開。さらに休憩時間にも子供たちの自主的な取組が公開され、様々なICT活用が提案された。生成AIはふり返りや画像生成などで利用していた。
9年数学「関数の見方を広げよう」では、グループごとに加速度センサーを用いて身体の動きにより5種類のグラフの形の再現に挑戦。「関数は苦手」という生徒もゆっくり歩いたり止まったり、離れたり近づいたり、4人同時に動くなど熱心にアイデアを出して試していた。
最も難しい円形グラフの再現に挑戦して思うような曲線が描けずがっかりしてしゃがみ込む姿も見られ、真剣に考えて試行錯誤していた。
5年社会「未来の農業サミットを通して未来の農業について自分の考えを深めよう」では次の5つの選択課題を用意。▼未来の野菜はどこで育つ?~都市の中で野菜を育てる新しい方法を考えよう ▼ロボットと農業のタッグ~ロボットやAIを使って農業の仕事をもっと楽にしよう ▼気候変動と農業の未来~気候の変化に負けない農業の工夫を考えよう ▼未来の農業を支える科学の力~科学の力で農業をもっとすごくする方法を考えよう ▼SDGsと農業のつながり~地球と人にやさしい農業の形を考えよう

「未来の農業」を考えるために5つの選択課題を用意(5年社会)
マイクロビットでトラクターの自動運転をプログラミングした児童は「作業時間を32%削減できる」「自動運転なので経験が少なくても運転できる」と発表。肥料をドローンでまくアイデアや海中ドームで栽培するアイデアもあった。聞いている児童は「質問」「アイデア」「感想」に色分けした付箋に書き込んでいた。
5年体育「HADO イベントプロジェクト」ではARスポーツ「HADO」を誰もが楽しめるようなルールや工夫を考え、ゲームの実践を通してふり返り修正を行う内容。児童は中高生や高齢者、幼稚園などそれぞれのグループで対象を考えて検討していた。

ARスポーツ「HADO」を幅広く楽しむためのルールを検討(5年体育)
4年社会「自然災害からくらしを守る」はSTEAM教室で実施。巨大地震を想定し、災害対策について各グループで検討。あるグループでは災害救助ロボットをマイクロビットでプログラミング。学校近隣の写真をプロジェクターで床に大写ししてロボットを制御していた。段ボールで避難所を作っている児童や地震が起こった際の行動を画像で読み取り、警告音を鳴らすプログラミングをしている児童、みどりの学園の詳細図面(竣工図)を見て避難所に適した場所を検討している児童もいた。

学校近隣の写真をプロジェクターで床に大写しして救助ロボットを制御(4年社会)
1年音楽「形・色から生まれた音~カンディンスキーの作品」では、図工の授業とコラボレーション。カンディンスキーの3種類の絵から1枚選択し、同じ絵を選択した児童同士でグループになってその絵から想像した音を、無料の音楽教育アプリ「カトカトーン」で再現したり、友達同士で作成した音をつなげたりしていた。

絵から感じる音をアプリで表現(1年音楽)
子供たちは休み時間も普段の活動を発表。みどりの学園周辺をマインクラフトで再現した異学年グループでは担当ごとに工夫を発表。「スーパーの内装をリアルに再現した」「電車のホームドアを開閉できるようにした」「遊具を担当し、登り棒に登れるようにした」「階段でオートジャンプが発動しないようにハーフブロックをはさんだ」など各自の工夫を熱心に発表した。
学習指導要領がデジタル化することで授業づくりにおいて学習指導要領がより身近になり、授業づくりに良い影響を与えることが期待されている。
次の学習指導要領で前提となっているデジタル学習基盤を活かすためには初期指導が一層必要になる。
つくば市では、資料の読み取りやふり返りなど、基礎的な学び方を低学年のうちに身につけており、小学校2年生から生成AIを利用しており「どう聞けばより詳しく答えてくれるか」を検討していた。
生成AIは使うことがリスクではなく、仕組みを知らないことがリスクである。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年12月8日号掲載