TOPPANグループのトータルメディア開発研究所とTOPPANは3月4日、博物館や科学館などで利用者の探究的な学びを支援するAIコミュニケーターを開発し、全国のミュージアムを中心に提供を開始した。
本サービスは、一般的なAIチャットボットとは異なり、利用者の問いに対してヒントや関連情報を投げかけることで新たな着眼点を引き出し、興味関心を高めながら“探究的な学び”へ導くことのできる対話型のAIコミュニケーションシステム。

2022年に博物館法が改正され、博物館において、多様な利用者への対応や他施設との連携による地域社会への貢献、デジタルアーカイブ化による資料の積極的活用などが求められている。また、近年のミュージアム運営の現場においては、学校で十分に対応しきれていないSTEAM教育や探究学習を行う教育の場としての受け入れが注目されている。
これまで500館以上のミュージアムの整備・運営に携わってきたトータルメディアの運営・展示ノウハウと、TOPPANの生成AI管理基盤を活用し、ミュージアムの新たな活用の可能性を広げ社会に貢献することを目標に、本サービスを開発した。
本サービスは、解説型の展示ガイドシステムとは異なり、利用者の問いに対して解答するだけでなく、自ら考えるための新たな着眼点の提案や関連情報を投げかけることで、利用者の興味関心を高めながら探究的な学びへ導く。
また、利用者の年齢や言語、居住地、知識レベルの差などに対応した対話が可能なほか、不適切な言葉遣いや話題をブロックし、子供も安心して利用できる倫理的なセーフティ・ガードレールを設定している。モニターやタブレット、スマートフォンなど、施設環境に合わせたデバイスに展開でき、学校団体の学習ツールとしても利用可能。
一般のネット情報をソースとするAIチャットボットと異なり、ミュージアム内の解説情報・図録・研究紀要などの公式な学術コンテンツを選定・構造化し、AIに正確に参照させる。また、資料だけでなく、学芸員が持つ知識やトータルメディア独自の展示解説ノウハウもAIに正確に参照させることで、ミュージアム独自の情報に基づいた対話によって探究的な学びの提供を支えるナレッジベースを構築する。
TOPPANが提供する「生成AI管理基盤」を活用し高精度なAI制御を行うことで、真正なデータベースのみを参照する仕組みを構築します。また、デジタルアセット管理(DAM)サービスを用いて、ミュージアムが保有するコンテンツをトータルメディアが一元管理し、信頼性の高いデータを整備する。
これらにより、回答の揺らぎやハルシネーション(虚偽の情報)を抑え、安全なデータに基づく会話を実現する。
AIコミュニケーターと利用者の対話内容を分析し、「利用者が何に興味を持つか」「どのような質問をしたか」「どこで理解につまずいたか」など、従来のアンケートでは拾いきれなかった潜在的なニーズや学習意欲を可視化する。また、トータルメディアがこれまで培ってきた運営・展示ノウハウを活用し、次回の展示リニューアルや運営改善へのサポートを行う。なお、対話内容の分析にあたっては、事前に利用者へ十分な説明を行い、同意を得た上で実施する。
本サービスは、ミュージアムのニーズに応じて、展示コーナー単位での導入や企画展のみへの対応、ミュージアム全体への導入など、さまざまな形態で導入可能。また、展示解説のみの活用はもちろん、施設全体の回遊促進や、近隣の観光施設を含む地域全体への送客支援にも活用できる。