令和の日本型学校教育では、児童生徒が自己調整しながら学習を進めることの重要性が指摘され、全国の自治体や学校でその方向性を模索している。福岡県筑前町(宮崎敏宏教育長)では町をあげて「自分で選んで自分で決める」複線型授業への授業改革に取り組んでいる。特に、以下の共通の視点を設けて進めている。

中学校理科の複線型の授業
【町全体の共通視点】
①1単位時間で30分以上子供に委ねる ②自分の意志で個別と協働を選択する ③1人ひとりの考え(過程・結果)の見える化、④質の高い課題提示⑤単元末や特定の教科だけではなく、単元全体で構成する
例えば課題提示では、多様な考え方、複数の解決方法を想定しており、学習進度や習熟度が異なる際の対応など、町全体で具体的な方策を検討している。
2025年6月17日は「GIGAスクール甲子園」として、筑前町の教職員全員が一堂に会し、6本の複線型の授業を参観して参加型ワークショップで深めた。例えば、中学校理科の授業では、生徒が解決したい課題を選択して、解決するための学び方を選択する形態であった。生徒は解決したい課題に出会い、自力解決・他者協働の学習過程を往環しながら、学びを調整するスキルが向上している。

全員参加のワークショップ協議
自己調整する学習の充実のためには、1つの学級や教員が頑張ってもなかなか進まない。筑前町のように、学校間や学級間で授業実践を共有・可視化して、教職員の協働性を活かした研修を進めてることが必要である。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年12月8日号掲載