東京都立桜修館中等教育学校(信岡新吾校長)では、12月6日と20日、中学1年生・全4クラスで技術・家庭の家庭分野の授業にて日本料理の出前授業を実施した。講師は東京會館 日本料理顧問・鈴木直登氏。同校では例年1年生を対象に鈴木氏による出前授業が行われており、今年度で9回目を迎えた。
鈴木氏は「現代の名工」として古代の食から江戸料理・現代の日本料理まで日本の食文化を伝える第一人者として、書籍の執筆や食育講習会など日本料理の文化継承活動に長年取り組んでいる。2025年旭日双光章を受章。

実演も交えながら講義。生徒たちは桂剥きの手元をじっと見つめていた
今回の授業では、日本の食についての講義とともに、出しの引き方、すまし汁の作り方、魚のさばき方、米の研ぎ方炊き方などの実演を行った。
かつての出前授業のテーマは”健康と食品”だったが、近年は「”環境と食品”に変化した」という鈴木氏。今回「日本の食にとって一番ポイントとなるのが”水”であり、水が美味しくないと食べ物も美味しくなくなってしまう」と生徒たちに語りかけた。
水をなるべく綺麗に使って海に返すこと、自然環境に負荷をかけないことを自分の気持ちのなかで意識して生活していくことが大切である。そこで自ら実践している灰汁の利用や、料理の過程においては米の研ぎ汁を植物の水やりに利用することで土が水をろ過すること、流水ではなく溜め水で魚を洗うことなどを紹介した。
土はいつ出来たのか、なぜ米は畑ではなく田んぼで育てるのか。生徒たちと対話しながら、公害の歴史にも触れつつ、欧米と日本の水と食の違いや、自然環境と食について解説した。
実演では魚の御造りや大根の桂剥きも行われ、鮮やかな匠の技に生徒たちは驚きと共に見入っていた。

鈴木氏と一緒に調理も
講義と実演の後は、生徒たち自身も調理を行い、全員で喫食した。この日の献立は梶木鮪の照焼、吸物、ご飯、漬物。吸物の椀種には焼きはんぺん、焼きしいたけ、白玉、柚子が入り、梶木鮪には柚子大根が添えられた。吸物には講師が引いた出汁が使われており、残った鰹節は醤油で味付けしたふりかけに。炊き立てのご飯とふりかけを何度もお代わりする生徒の姿も見られた。
授業後は「美味しかった!」という声とともに、「水を大切に使おうと思った」「洗剤をあまり使わない方が環境に良いことが分かった」「手を洗う時も、未来のことを考えて石けんを使った方がいいと思った」、炊いたご飯を「2度に分けて茶碗によそうことを初めて知った」といった感想や、国語で丁度取り組んでいた単元「『不便』の価値を見つめ直す」(光村図書)に紐づけて考えを巡らせている生徒もいた。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年1月1日号掲載