日本の食文化にとって秋は”五穀豊穣””実り”の重要な季節。和食文化国民会議(以下、和食会議)は、11月24日(いいにほんしょく)を「和食の日」と制定し、11月を「和食月間」と位置づけ、この時期は給食を通じて和食を学ぶ取組「だしで味わう和食の日」を推進し、全国の学校や保育所が参加している。
また和食会議の役員や会員企業・団体が講師となり、全国の小・中・高等学校・特別支援学校で行う「特別出前授業」を今年も実施。10月下旬~12月上旬には14校で行う。

石臼で大豆や米を粉にしたり、すり鉢で大豆を粉にしたり、ミルを使って胡椒や岩塩を細かく砕いたり、お茶は粉末茶にした
11月4日には東京・新宿区立落合第一小学校(久保田恵美校長)の3年生を対象に「和食の日」の特別出前授業が実施され「和食の『だし』・『うま味』の大切さ」と「すがたを変える食べもの」の2つの授業が行われた。東京都副知事の松本明子氏らも視察した。
児童が「五味」を体験し、和食の文化への興味を深めたのは「和食の『だし』・『うま味』の大切さ」の授業。児童一人ひとりの前に塩昆布・梅干し・ダークチョコレート・だし・こんぺいとうの5品が並び、一つずつ味わった。講師で和食会議副会長の後藤加寿子氏は「しょっぱい(塩味)・すっぱい(酸味)・にがい(苦味)・あまい(甘味)・うまみ」の五味について解説し、フランスの食育「味覚の一週間」で”うまみ”について自身が子供たちに教えた経験も交えながら、だしやうまみ、「いただきます」といった日本の食文化の大切さを紹介した。
もう一つの授業「すがたを変える食べ物」は、国語の単元「すがたをかえる大豆」に関連づけている。児童は石臼で大豆や米を挽き、粉にするなどを体験。昔の人の手作業の大変さに触れた上で、「なぜわざわざ粉にするのかな」といった問いかけに、児童は「粉にするとおせんべいなど色々なものにできる」「食べにくいものが食べやすくなる」「粉にすると混ぜられる」と自分たちの考えを話していた。

体育館にゴザを敷き、3年生全員で「いただきます」。講師の後藤氏らと共に喫食
授業の後は、体育館で和食給食を喫食した。

だしを活かした献立を和食器でいただく
この日の献立は、ごはん・十夜のかしわむし・小松菜のおひたし・湯葉入りすまし汁・お茶だんご・牛乳。すまし汁やおひたしでだしの”うまみ”を味わったほか、きな粉をまぶした「お茶だんご」は、出前授業で大豆や米・お茶を挽いた体験につながる一品。体育館にゴザを敷き、和食器で配膳された特別な給食を児童たちは楽しんだ。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年11月17日号掲載