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教育ICT

デジタル・シチズンシップと著作権教育 <最終回>「豊かな著作物を活用したICT教育を」

2020年4月6日
連載:35条改正&学校教育

著作権を理解して「著作権マインド」を身につける

社団法人コンピュータ 一般ソフトウェア著作権協会(ACCS) 専務理事・事務局長 久保田 裕

一般社団法人コンピュータ
ソフトウェア著作権協会(ACCS)
専務理事・事務局長
久保田 裕

本連載ではこれまで、著作権の基本的なルールと、教育において他人の著作物を利用する場合の現在のルール、そして、著作権法の改正でより柔軟になる将来について解説してきた。また、著作権教育だけでなく、ICTを活用する児童生徒には情報モラルを身につけるべきであるとして、著作権教育から情報教育全般に触れてきた。

著作権の知識はこれからの学校での活動から日常生活、そして、将来の業務で必要であることもあり、ぜひ身につけるべきだが、初めから細かい条文を学ぶ必要はない。例えば、私たちは普段交通ルールを守って行動しているが、運転免許を持っている人を含めて道路交通法の条文を読んで勉強する人はほとんどいないだろう。著作権の基本的なルールを理解して「著作権マインド」を身につければ、学校でも家庭でも大きな失敗を犯すこともないはずだ。

では著作権マインドを身につけるためにはどうすれば良いだろうか。

私は、細かいルールを学ぶ前に、「なぜ著作権というルールで表現物は守られるべきなのだろう」という著作権の根本、本質を考え、学ぶことこそ一見遠回りだが近道なのだろうと考えている。

つまり、著作権で保護されるさまざまな作品(創作物)について興味を持ってもらい、創作者や創作の苦しみや素晴らしさに思いを馳せることが、創作物への尊重につながり、また自ら創作物を生み出す契機にもなるのではないだろうか。

先生方にもぜひ豊かな著作物を活用したICT教育を萎縮することなく推進していただきたい。児童生徒が多彩な著作物に触れることは新たな創作の源泉となるだろう。改正著作権法の施行後に先生方が解釈で悩むことのないように、教育関係者と権利者とでガイドライン作りも進めているので安心して欲しい。

また、重ねての指摘になるが、さまざまな教育活動においては、情報を適切に利活用するためには著作権法の知識だけでは不十分だ。それ故に情報機器やネットサービスの使い方にとどまらない情報教育も合わせて推進していただきたい。対象を情報に広げてしまうと、学ぶべき事項も飛躍的に増えてしまうが、これも著作権と同じく、授業でのテーマに合わせて情報を適切に扱うマインドを育てていくことが重要だ。インターネットのサービスは日々新しくなり、全てを把握することは大変だが、先生方には少なくとも目の前の子供達が利用しているアプリやサービスの便利な点とリスクは把握していただけると具体的な指導が行えるだろう。たとえばSNSについて、一律に使っては駄目としても問題を先送りしているだけだが、なぜSNSで知り合った人に会うのは危険なのか、どう利用するのが適切か、等を具体的にクラスで話し合ったり、情報モラル10か条を作成する機会を持つ方が建設的だ。

3月から新型コロナウイルス対策のために学校は休校となり、子供たちも自宅で不自由に過ごしており、先生方も授業も学校行事も部活動も行えず苦労されていると思う。この状況に、休校対策として、様々な権利者が動画や書籍、学習教材などを無料でネット公開し、子供達の学びや楽しみのために活用されることを願っている。著作権とは、著作者・著作権者が自ら創作した著作物を自分だけが自由に使えるように保護するルールだ。だから無料で公開することも自由なのだ。著作権は必ずしも教育にとって障害になるものではない。先生方にこそ著作権に親しんでいただき、子供達の学びや創作のために役立てて欲しい。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2020年4月6日号掲載

デジタル・シチズンシップと著作権教育

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