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教育ICT

「対話」は「話し合い」とは異なる 学びとる力がつくと「学習の個性化」が進む<熊本市教育委員会 主任指導主事 前田康裕氏>

2022年5月6日
第85回教育委員会対象セミナー・福岡

GIGAスクール構想に伴う1人1台の端末環境の活用をテーマに「第88回教育委員会対象セミナー」を4月2日に広島で、「第85回教育委員会対象セミナー」を3月29日に福岡で開催した。いくつかの講演内容を紹介する。なお肩書きは3月末時点。


熊本市教育委員会 主任指導主事 前田康裕氏

熊本市教育委員会 主任指導主事 前田康裕氏

前田康裕氏は、協働的な学びから個別最適な学びに変遷するためのポイントと情報端末の役割について話した。

◆・◆・◆

教員研修でも授業を行うクラスでも、まず「学ぶとは何か」を考えさせている。「失敗から学ぶ」等の表現があるように、何らかの気付きから生まれるものが「学び」だ。「習う」は、先に学ぶべきことがある際に使う。どちらも重要であるからこその「学習」である。しかしGIGAスクールで求められる学びとは「教える」ことから「学びとる」ことへの変革であり、端末の導入は主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善が目的である。

「教える」授業では、ポイントを教員が解説することが多い。否定はしないが、この感覚で端末を使うと、端末を使うことが目的になりかねない。端末には、思考の可視化、情報収集や整理分析、協働して考えるための道具としての役割が求められている。

「学びとる」授業では、課題解決のために対話を行う。

相手の意見を尊重しながら相互に影響し合い、学習プロセスの中で情報端末やネットワークを使っていく。この過程で子供それぞれの学びが生まれる。そのため、振り返りを各自でしっかり行うことがポイントになる。

学習課題は、リアルで必然性があり、かつ協働しないと解決できないものを設定したい。ある50代の教員は、映像を見せて問いをたくさん出させて課題を設定していた。

対話は話し合いとは異なる。対話を促す役割が端末にはある、という観点を持つことが重要だ。何となく感じていることを言語化して自分の考えをはっきりさせたり、新しい考え方や見方を発見したりという相互作用が働くものである。

■振り返りで「気付き」を共有

振り返りは、楽しかった、よくわかった等の「授業後の感想」ではない。自分が学びとったものの言語化だ。

例えば「〇〇さんの発言から、文章を短くすることの大切さを学んだ」等、具体的な経験を様々な視点から振り返って一般化・概念化することで新たな場面で試したり新たな課題に適用したりできるようになることが重要である。

教員は、良い「気付き」を皆に共有して形成的に評価する。子供は、各自の気付きが皆の学びに還元されることがわかり、他の子の気付きに興味を持つようになる。

自己評価カードでは、「気付きを明確にしている」、「自らの伸びや課題を実感している」、「他の経験・学習と結びつけている」、「友達からの学びを意識している」といった記述を評価する。

教員は当初、手書きでこのカードにコメントをしていたが、コメントを予め印刷して選択できるようにしたところ、時間が短縮できた。デジタルデータにすると共有できるので、さらに効果的だ。

協働的な学びにより自ら学びとる力がつくと、学習の個性化が進み、興味のあること、得意なことが活かされる学びに進んでいく。【講師】熊本市教育委員会主任指導主事・前田康裕氏

【第85回教育委員会対象セミナー・福岡:2022年3月29日】

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2022年5月2日号掲載

 

  1. 奈良教育大学教職大学院准教授 小崎誠二氏
  2. 熊本市教育委員会 主任指導主事 前田康裕氏
  3. 東北大学大学院教授 堀田龍也氏
  4. 福岡市教育委員会教育ICT推進課課長 永田朗氏
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