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教育ICT

「探究」をもっと深める 実験Dayで様々なアプローチを体験~葛飾区立東金町小学校・東京都

2024年11月7日

 2023年度からの2年間、(公財)パナソニック教育財団の特別研究指定校として「探究のプロセスを蓄積し、自発的に未来を切り開く思考力・表現力を高める東金アジャイル教育~日本型教育実践とICTを利活用したSTEAM型教育をベストミックスした令和の学びのスタンダード化の実現~」に取り組んでいる葛飾区立東金町小学校(河村麻里校長・東京都)。10月22日にその成果を公開した。特別研究指定校は東京都の公立小学校としては約10年ぶり。


同校は2022年度に同財団から1年間の一般研究助成を受け、STEAM教育の5つの視点からカリキュラムマネジメントに取り組み、その翌年には特別研究指定校として、「日本型教育実践」と「STEAM教育」をベストミックスした「アジャイル教育」を開発した。

探究的な学習では「課題設定」「情報収集」「整理・分析」「まとめ・表現」を繰り返すが、アジャイル教育では「課題設定」と「情報収集」の間に「学習計画」を挟み込み、「まとめ」の後に「ふり返り」を加えることで、児童がより主体的に問題解決できるようにした。また、授業中に1人で考える時間を「もくもくタイム」、友達と話し合う時間を「もしもしタイム」、クラス全体で話し合う時間を「なるほどタイム」と設定した。

24年度は、各教科の学習を「習得」「活用」に分け、さらに生活科や総合的な学習は「プロジェクト」「探究」に位置づけた。

1年生国語「じどう車くらべ」ではアジャイル教育の「習得」の部分を実践。ルーブリックでは、もくもくタイムで「友達の考えを聞く」「自分の考えを伝える」の2つができたらS(十分満足)、どちらか1つができればA(満足)、どちらももう少しでできそうならばB(おおむね良い)と学習到達度を設定。

もくもくタイムで児童は、はしご車の「しごと」と「つくり」について考えた。もしもしタイムでは他の児童の作品を端末で見ながら、消防車の特徴を考え、なるほどタイムで「長いはしごが付いている」「人を乗せて動くカゴがある」など、各自が考えた特徴を発表した。

 

1年・国語「じどう車くらべ」で他の児童が提出したものを見ながら消防車の特徴を考える

 

4年生算数「L字型の図形の面積を求めよう」では、アジャイル教育の「活用」の段階を公開。「活用」は各教科の目標を達成するため教員が課題を提示する問題解決型の授業。L字型の図形の面積について、もくもくタイムでどのような求め方があるかを考え、もしもしタイムで互いの考えを友達と見せ合い、2度目のもくもくタイムで改めて解き方を導く。

児童は提出ボックスに解答を送り、なるほどタイムで図形を付け足して長方形にしてから2で割る作戦などを発表。最後のまとめでL字型の図形は正方形や長方形の図形をもとに考えることで面積が求められることを共有。今後は「プロジェクト」で児童は自ら課題を設定。下学年の児童に調べたことを伝える。

今年度の1学期の「探究」で児童は自分の好きな事を知るためのイメージマップを作成。その中で一番好きだったことについて調査したが、好きという理由だけで探究を続けることは難しく、調査もインターネットに頼りがち、調べるだけで終わるなどの課題があった。

そこで、夏休みを利用して教員が調べ学習を行い、それをモデルとして児童に公開。課題設定も5W1Hにまとめ、取組の過程を明確にした。また、様々なアプローチを体験するため、課題について実験や工作を行う「実験Day」も設定。公開授業では3年生、5年生、6年生が総合的な学習の時間に「探究」の段階の「実験Day」に取り組んだ。

 

6年・実験Dayで「電車のデザインが変わる理由」について調べた児童

 

ルーブリックでは学習到達度を次の3段階に設定。S「調べたことや考えたことを整理してAIや友達に報告・相談。自分の考えに自信が持てたり、改善したりすることができる」、A「調べたことや考えたことを整理してAIや友達に報告・相談することができる」、B「前時に引き続き、自分の課題について情報を集めることができる」。どこまで到達したかを児童はポートフォリオに記録した。

課題は「声優はどのようにしてアニメに声を吹き込んでいるのか」「どうしたらホームランを打つことができるのか」など様々だ。児童は自分の学習計画に沿って、絵の具を使用したい児童は図工室、実験を行いたい児童は理科室などに移動。

もくもくタイムでは図書やインターネットを使った情報収集とともに、子供でも活用できる生成AIにも相談していた。

 

教員の時間を確保

河村麻里校長

河村校長は、

  1. 放課後に教員が自由に使える時間を増やした
  2. ICTを恐れずに使って慣れることを実践
  3. 企業連携や大学連携を推進してICT環境を整備
  4. さまざまな教員研修の充実
  5. 研究推進委員会のメンバーが教員全体で使用する研究推進デザインを展開

などの取組で教員の時間の確保に努めている、と話した。

 

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2024年11月4日号掲載

 

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