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学校図書館

第四次「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」学校図書館の果たす役割とは<(公社)全国学校図書館協議会 理事長 設楽敬一>

2018年7月23日
設楽敬一氏

設楽敬一氏

今年4月、文部科学省による第四次「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画(以下、第四次計画)」が閣議決定した。読書活動によって言葉を学び、感性を磨くなどして、人生をより深く生きる力を身に付けるために、社会全体で環境整備を進めることを重視し、平成14年に「第一次基本計画」が策定されてからおおむね5年に1回策定されている。第四次計画策定にあたって開催された有識者会議の委員も務めた、(公社)全国学校図書館協議会の設楽敬一理事長に今回の改正のポイントと、学校図書館の役割について聞いた。

学習に活用できる環境を整え「自ら学ぶ」力をつける場に

――第四次「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」(以下、第四次計画)は、「学校図書館の役割」に大きく重点が置かれているようです

平成14年策定の第一次「子供の読書活動の推進に関する基本計画」では、公共図書館が中心でした。しかし子供の読書活動に学校図書館の果たす役割はますます重要となってきました。
第四次となった今回の改正の主なポイントは、①読書習慣の形成に向けて、発達段階ごとの効果的な取組の推進 ②友人同士で本を薦め合うなど、読書への関心を高める取組を充実 ③情報環境の変化が子供の読書環境に与える影響に関する実態把握・分析とされています(=下表に詳細)。学校図書館の関わりがあるのは、特に①②です。

文部科学省ホームページ『第四次「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」の概要』より

文部科学省ホームページ『第四次「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」の概要』より

――策定にあたり昨年文部科学省で開催された有識者会議は、どのように進められたのでしょうか

当初は「高校生の不読率※1」の高さに注目が集まりました。(平成29年調査では高校生50・4%。小学生5・6%、中学生15・0%)。
ただし平成12年以来の調査をみると不読率は50%台で推移し、少しずつ下がっている。実際は高校生も頑張って読んでいるのではないか、と。その間スマートフォンの普及等、読書環境に影響する新しい要素もあったにもかかわらず、数値は下がっているのですから。
むしろ対策が必要なのは、読んでいる子供と全く読まない子供の差があることであり、高校生になる前の段階での取組が必要、と考えられ、基本計画では①発達段階ごとの効果的な取組を掲げることになったのです。

――学校図書館は、小学生期~高校生期まで、発達段階の長い間に関わります

子供が文字が読めるようになって、さらに「ひとり読み」ができるようになるための要は、学校であり、特に小学校の読書指導が重要です。読書指導には、「本を読む楽しさを知ること」と「読解力を育むこと」の2つの要素があります。特に「読解力」は、全ての教科で求められる力であり、単に本を読むだけでは身につかない。そうした読書指導のための環境をいかに整えるのか。

そこで第四次計画では校長を「学校図書館長」として、読書指導の推進役に位置付けています。先生方は、教科の「教え方」は知っていても、子供たちに「学び方」を教えることは難しく感じています。そこをマネジメントするのが司書教諭であり、リーダーシップをとるのが校長なのです。

第四次計画は、新学習指導要領が推進する「主体的・対話的で深い学び」とも結びついています。

学校図書館の役割は、「学習に活用できる」ことです。その点が地域の公共図書館とは異なっています。第五次

「学校図書館図書整備等5か年計画」(※2)も活用し、蔵書や学習指導の充実を図るよう、各方面での取組が進められています。

――学校図書館の役割が変化しているのでしょうか

かつて学校図書館は「静かに本を読む」というイメージで、校舎の奥の静かな場所にあり、9類(文学)の蔵書が多かった。しかし今、授業に必要なのは3類(社会科学)、4類(自然科学)、5類(技術、工学)などです。学習の過程では子供同士が活発に意見を交わすこともあります。

最近の新しい校舎では、学校図書館を子供の動線上、昇降口の近くなどに設置するケースが増え、新しい本も多くなっています。学校図書館を積極的に授業に取り入れようとしている学校が確実に増えています。

子供たちが学校図書館で自ら学ぶ力を身に付ければ、将来地域の図書館を使って、生涯にわたって学び続けるようになるでしょう。公共図書館を活用できる技を、学校図書館で身に付けるのです。

まずは本に興味を持つことです。子供たちにとって、学校の先生が本を読んでくれた経験が重要です。先生方には、自身が面白かった本や、読んで欲しい本を、1冊でも2冊でも子供たちに紹介して欲しい。

――全国学校図書館協議会(以下、全国SLA)では、第四次計画を受け、また新学習指導要領に向けて、今後どのような取組を行っていきますか

先生方の多くは、子供の頃に本を活用した授業を受けた経験がありません。そういった中でも20代の先生方は「生活科」「総合的な学習の時間」の授業を受けた世代で、本を活用する発想はあるはずです。ただし先輩の教員から授業の方法を受け継いでいない。全国SLAではこうした若い教員への支援に取り組みたいと思っています。

学校司書の養成プログラムについても充実させます(※3)。

学校図書館の環境を整えることで、先生方が学校図書館を活用しやすくなり、それによって学校図書館を活用した授業の必要性を多くの先生方に知って欲しい。「主体的・対話的で深い学び」のために、授業を変える必要があるのです。

学校図書館としても、紙のメディアに拘らず、インターネットなどさまざまなメディアを使った学習環境を視野に入れていく必要があると考えています。

※1不読率 1か月に1冊も本を読まない子供の割合
※2 文部科学省では平成29年度から33年度までの「学校図書館図書整備等5か年計画」(第五次)を策定し、学校図書館の図書資料と新聞配備、学校司書の配置のための地方財政措置を行っている
※3 28年11月に文部科学省から「学校図書館の整備充実について(通知)」が出され、学校司書のモデルカリキュラムも示されている

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2018年7月23日号掲載

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