前田真里/著
くもん出版
A5判 72頁
1430円
「長崎」を「ナガサキ」と表記するのは、原子爆弾を落とされた長崎から平和への願いを発信するときだ。全国から集まった小学生が、長崎や自分の住む地域の太平洋戦争を記事にまとめる。
小学校6年生の横井さんは、愛知県半田市の赤レンガの建物に銃弾の跡があることを調べた。壁を狙うほどの低空飛行は、パイロットの顔が見えたかもしれないと想像する。半田市では戦闘機を製造しており1万2000人もの小中学生が労働していたこと、燃料不足で工場から滑走路までの1㌔を牛が戦闘機を引いて動かしたことなども取材。その後、長崎で被爆したクスノキを調査し、記事にした。
小学5年生の花城さんは、ナイジェリア大使の話から今も戦争が続き、子供の兵士がいることに衝撃を受ける。日本軍が体当たり攻撃の準備をしていた洞窟をはじめ、沖縄戦の取材を進める。
この記者事業に関わる著者は、小学生が時に涙してまとめた記事を「宝物」だという。どうすれば戦争がなくなるのか、自分ならどうするのかと親子で一緒に考えたい。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年8月11日号掲載