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図書館

身近で誰もがアクセスできる 子供の読書環境を豊かに~東京大学CEDEP×ポプラ社 シンポジウム

2023年4月22日

 東京大学大学院教育学研究科附属 発達保育実践政策学センター(CEDEP)とポプラ社によるシンポジウム『デジタル社会は子どもの読書環境をどう豊かにできるか?~「紙」と「デジタル」のベストミックスの模索~』が3月14日、オンライン開催された。2019年からスタートしたCedepとポプラ社による共同研究プロジェクト「子どもと絵本・本に関する研究」の成果と、関連する学術研究、さらにGIGAスクール端末導入から2年経つ現在の、学校図書館の実践が紹介された。

ディスカッションでは、読書の「豊かさ」とは何か、デジタルによる読書は何歳ぐらいからが適切なのかが話し合われた。写真<上段右より>野澤祥子准教授、秋田喜代美教授、佐藤賢輔特任助教<下段右より>千葉均社長、青木いず美司書教諭

ディスカッションでは、読書の「豊かさ」とは何か、デジタルによる読書は何歳ぐらいからが適切なのかが話し合われた。写真<上段右より>野澤祥子准教授、秋田喜代美教授、佐藤賢輔特任助教<下段右より>千葉均社長、青木いず美司書教諭

シンポジウムでは、CEDEP・野澤祥子准教授、文部科学省大臣官房審議官・里見朋香氏、CEDEP・佐藤賢輔特任助教、群馬県甘楽町立福島小学校・青木いず美司書教諭、秋田喜代美学習院大学教授・東京大学名誉教授、ポプラ社・千葉均代表取締役社長、CEDEP・遠藤利彦センター長が登壇した(名前は登壇順)。青木司書教諭の実践紹介と秋田教授の指定討論の一部を紹介する。

電子書籍導入で読書量増
甘楽町立福島小学校

福島小学校の青木いず美司書教諭は「GIGAスクール端末導入から2年 授業での電子書籍サービス等を活用した実践とその効果」として実践を紹介した。

 20213月にカーリルの学校図書館支援プログラムを導入。同校の蔵書と甘楽町4校・甘楽町図書館・かんらまち電子図書館・青空文庫の蔵書検索が可能となった。同校では以前から学校図書館の活用を積極的に行ってきたが「これまでは蔵書の検索さえできなかったので、カーリルの導入で大きな変化とチャンスを迎えた」という。同年5月には11台端末が導入され、教職員が色々なことにトライしていく機運が高まった。読書活動にも変化が見られ、夏休み前に「こどもの本総選挙」のWeb投票を1年生も含めてチャレンジしたり、「日本絵本賞ポップ交流サイト」への投稿を4年生以上は各自の端末で行うなどした。

 こうした取組によって、夏休み以降の電子書籍サービス『Yomokka!』のトライアルもスムーズに決定し、7月から各学級ですぐに利用が始まったという。

 学校図書館での貸し出しは週に15冊までで、1人あたりの平均貸出冊数は1か月110冊程度。『Yomokka!』導入以前と大きな変化はなく、紙の本の貸し出しに『Yomokka!』による電子書籍の貸出数が半年で1人平均50冊上乗せされた。

 Yomokka!』による読書は主に朝読書やスキマ読書などに活用されており、自席で集中して読書ができることも各担任から好評で、2022年度から『Yomokka!』を本格導入することになった。なお同年9月からは総合百科事典ポプラディアを利用できる『Sagasokka!』も活用している。

‘豊かにする’とは何か
格差ない読書環境を

秋田教授による指定討論「デジタル社会は子どもの読書環境をどう豊かにできるのか?」では、そもそも読書環境を‘豊かにする’とはどういうことなのか、豊かさとは何か、大人はそのために何ができるのかを今後議論していくことの大切さが語られた。

 「コロナ禍で数か月の図書館の閉鎖を経験し、改めて本と子供がつながることの大切さを多くの人が感じたと思います。子供たちが紙・デジタルに関わらず書籍にどこからでもアクセスできる大切さ、特に格差なく、ということがとても大事だと考えます」。

 秋田教授が座長を務めた文部科学省「令和4年度子供の読書活動推進に関する有識者会議」について紹介し、2022930日の第5回会議で青山学院大学・野末俊比古教授による‘様々なデジタルメディアがある「マルチメディア」の時代から、「トランスメディア」の時代へ’、賢くメディアをつないでいく、という発表を紹介しながら、「福島小学校の青木教諭の実践は、必要な時に必要なメディアを使ったり、相乗効果がある利用の仕方について指摘して下さった」。個別最適な学びと協働的な学びの実現において、子供自身が主体的に本を選び、学校だからこそ協働的な学びになることが重要とする。

 有識者会議では「読書活動を推進する上では、発達段階や子供の状況等に応じて紙媒体や電子媒体を柔軟に選択できるようにすることが望ましい」と多くの委員から意見が出た。乳幼児期には読む声、紙や布の感触、さまざまな実感を伴うことが大事だ。また読書バリアフリー法で示す通りアクセシブルな電子書籍も重要になってくる。既存の取組にICTを効果的に活用することで、子供たちにとって読書活動がより身近で魅力あるものとなる可能性がある。

 「紙とデジタルがお互いに媒介となり、その相乗効果について研究と実践を手をつなぎながら行っていくことが、子供のWell-Beingを生み出し、豊かな社会をつくっていくための読書として求められるのではないか」。

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2023年4月17日号掲載

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