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教育旅行

探究学習に豊富な切り口~北海道(道央圏)教育旅行 現地研修視察会レポート

2025年12月8日

広大な大地と豊かな自然に恵まれた環境から学ぶ農・畜・水産体験、ネーチャー・スポーツ体験、そしてアイヌ等の異文化理解など、豊富な学習素材が北海道教育旅行の魅力の一つ。探究学習を切り口にした新たな視点を加え、北海道(道央圏)教育旅行現地研修視察会が9月末、首都圏・関西圏の中学校・高等学校の教育旅行担当者が参加し、(公社)北海道観光機構の主催で実施された。以下は概要と参加者レポート(抜粋・編集)。

最新設備で多彩な学び~北海道ボールパークFヴィレッジ

「北海道ボールパークFヴィレッジ」は新千歳空港から約45分。日本ハムファイターズの拠点として2023年3月に誕生。野球観戦だけの施設ではなく、背景にはファンや協賛企業、地域との「共同創造空間」として地域活性化や社会貢献を目指す球団理念がある。

これらの背景を含めた同パークの概要を学ぶことから様々な疑問や問題点が発生し、探究学習のテーマには事欠かないと思われる。


【参加者レポートから】

〇最新の施設で280人規模の本校でもすべてに適している。建物だけでなく周囲の環境も良く、野外でも生徒を吸収できる施設や場所があることはとても良い。(埼玉・高等学校)

〇屋根の開閉は常時行うものではないそうだが、偶然開閉の様子を見ることができ、その迫力に強い印象を受けた。最新の球場設備は、スポーツ観戦だけでなく地域振興や企業活動を学ぶ題材としても有用だと感じた。(神奈川・中学校)

〇パーク見学の意義は①開閉式屋根や天然芝ドームという先進的建築技術を体験できる、②複合的な街づくりのモデルとして、地域活性化、観光産業などの実例として考察できる、③スポーツを文化・教育・健康に広げる視点、④北海道の気候に適応した球場経営(屋根構造、天然芝の育成技術など)から自然との共生を学べる、⑤アメリカのスタジアム文化を参考にした設計・運営から、国際比較の視点を持てる。(神奈川・中学校)

「食と農業」楽しく~KUBOTA AGRI FRONT

新千歳空港から約45分の「KUBOTA AGRI FRONT」は、持続可能な農業をはじめとした”食と農業”の課題を学び、未来を考える場。㈱クボタが開設した「”食と農業”の魅力・可能性を、楽しくおいしく学ぶ農業学習施設」だ。

探究学習には▽農業技術の発展と効率化・生産性の関係▽持続可能な農業と環境への配慮▽テクノロジーの進化と未来の農業など。


【参加者レポートから】

〇農家をシミュレーションできるのは子供たちの興味関心がわきやすいので、農業に関心が持てなくても経営への関心が持てる。また将来の食糧不足の問題として、考えやすい。一度に全員は体験できないので、他のプログラムもあれば尚よい。(大阪・中学校)

〇日本の基幹産業である農業の現状や課題、そして消費者のあるべき姿について考察することは、生徒に重要な学びになると感じた。特に思考力や判断力が求められる体験プログラム「アグリクエスト」は、高校生の知的好奇心を刺激し、主体的な学びを促す良い機会になる。(大阪・高等学校)

〇関西圏ではほぼ見られない大規模なスマート農業施設の見学で、農業へのイメージを大きく変える可能性がある。(大阪・高等学校)

アイヌ文化を体感する~ウポポイ(民族共生象徴空間)

アイヌ文化に触れ生きた異文化理解の場となる「ウポポイ(民族共生象徴空間)」は新千歳空港から約40分、札幌から約1時間。2020年に開設され、アイヌの歴史や文化・言語などを紹介する「国立アイヌ民族博物館」、アイヌ文化を体感できる「国立民族共生公園」などで構成されている。

探究学習のポイントは▽アイヌ文化を知り、紹介・保存のあり方を探る▽民族共生の意義を考える▽地域社会やアイヌ民族とウポポイとの関りを調査するなど。


【参加者レポートから】

〇教育的意義として①日本の多様な歴史の一側面に触れられる②差別や偏見をなくすための教育に繋げられる③北海道の歴史や地域性とアイヌ文化の関わりを学ぶことができる④民族文化の保存や展示に関わる学芸員、ガイド、研究者、工芸職人など多様な仕事を知ることができる等がある。(神奈川・中学校)

〇芸能等の鑑賞は全生徒が一度に入場できる施設なので是非見せたいが、行程に合わせた実施ができないので時間調整が必要。迫害の歴史や民族差別などの講話が聴ければより良いと思う。本校の周辺地域は朝鮮人に対して差別や迫害を行った歴史があるので、そこに関連した話ができるような展開を考えたい。(神奈川・高等学校)

〇人権教育に取り組む本校としては、修学旅行で「共生」を学ぶ機会があるのは、北海道を選択する理由の一つとなる。学校で事前に学ぶ必要があるので、資料提供をはじめとした事前学習の協力が欲しい。(大阪・中学校)

生きた防災学習に~有珠山ロープウェイ

「有珠山ロープウェイ」では、展望テラスから洞爺湖や有珠山を一望しながら、雄大な大自然の営みが体感できる。新千歳空港から約90分、札幌から2時間にある。「火山マイスター」による説明、ロープウェイ乗り場のパネル展示、映像上映などで防災学習になる。

探検学習のポイントには、▽有珠山の成り立ちと噴火の歴史▽ロープウェイ運行の役割と安全対策▽有珠山周辺の生態系や自然環境への影響▽火山噴火と人々の関り▽今後に向けて持続可能な観光の提案など。


【参加者レポートから】

〇マイスターによる案内内容があって初めて学習できるので、ルートに入れたい。洞爺湖でのアクテビティ(サップ、トレッキング)も魅力的である。(埼玉・高等学校)

〇教育的意義として、①山頂に上がることで火山の仕組みや地形変化の知識をリアルに体感できる、②噴火のたびに全住民が安全に避難してきた実績があり、「自然と共生する」防災文化の一端を体感できる、③洞爺湖有珠山ジオパークとして世界ジオパークに認定され「火山とともに生きる」文化を学べる、④山頂展望台から噴火口や昭和新山、洞爺湖、羊蹄山まで一望でき、地形を直感的に理解でき、「生きている地球」を実感できるなど。(神奈川・中学校)

〇自然の雄大さを満喫できるだけでなく、火山噴火という自然の脅威、それに対する備えの重要性について深く考える機会となる。ガイドの説明を聞き目で確かめることで、防災学習の効果が高まることを実感した。機会があれば防災学習の一環として積極的に旅程へ組み込んでいきたい。(大阪・高等学校)

大学の意義考える~北海道大学散策ツアー

新千歳空港から約60分、札幌市内の北海道大学でフィールドワーク活動の舞台となる「北海道大学散策ツアー」。古川講堂、クラーク像、ポプラ並木と新渡戸稲造顕彰碑、総合博物館などをめぐる。


【参加者レポートから】

〇関西の高校生には馴染みが薄いが、北海道という大地の特性を生かして大学が果たす役割を認識することは大切。博物館の収蔵品が膨大なので、生徒はあらかじめテーマを絞り込み興味がある分野を探究すれば学びは多い。広大で美しいキャンパスは、大学という高等教育機関に対する認識に変化をもたらすきっかけになる。(大阪・高等学校)

〇中学生にとって大学見学の機会は少なく、進路意識を高める上で有効だろう。キャンパスの雰囲気や案内体制も整っている。(神奈川・中学校)

〇教育的意義として①総合博物館の見学で実際の研究や学問の広がりを体感でき、「大学で学ぶことの意義」を知るキャリア教育の機会となる、②北海道の発展を支えた高等教育機関としての歴史を学び、クラーク博士や新渡戸稲造らの人材を輩出してきた文化的背景を知ることができる、③札幌市内にありながら、自然と共生する環境デザインを学べる、④英語表記や国際的なキャンパス環境を目にすることで、多文化共生の姿を体感できるなど。(神奈川・中学校)

 

教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年12月8日号掲載

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