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日本修学旅行協会「第16回 教育旅行シンポジウム」~教育旅行と産業観光をテーマに開催

2022年1月11日

(公財)日本修学旅行協会は「第16回 教育旅行シンポジウム」を「教育旅行と産業観光~産業観光を教育旅行にどのように位置づけるか、SDGsの視点も踏まえて~」をテーマに、2021年12月25日(土)、東京・千代田区で開催した(共催:公社・日本観光振興協会、全国産業観光推進協議会)。


■産業観光の課題や今後の方向性などを語る

修学旅行などにおいて、ものづくりの現場などを見学したり、体験したりする「産業観光」は、子供の職業観や勤労観を育成するなど、大きな学びにつながっている。今回のシンポジウムでは、教育旅行における産業の効果的な学び方や「産業観光」の課題、これからの方向性などが基調講演やパネルディスカッションで話し合われた。

 


第一部 基調講演「今、何故教育旅行に『産業観光』か」

須田寬氏(全国産業観光推進協議会会長、日本修学旅行協会顧問、東海旅客鉄道顧問)


■観光により人の交流が生まれ経済が活性化する

今後はSDGs17の目標を達成するためにも産業観光が大きな役割を果たすことになると須田氏は語る。観光には人と人の交流により文化が生まれる「人的交流を促進させる側面」と、お土産を買い、食事などをすることで「地域経済を活性化させる側面」があるという。こうして観光により文化が生まれ、経済が活性化することが、まちづくりにつながっていく。

 


■産業観光は地域の人との交流を生む緊急かつ重要な行動

「産業観光」とは、①歴史的・文化的に価値のある産業遺産、②工場などのものづくりの現場の見学、③そこから生み出される産業製品の観賞の3つを観光資源として人的交流を図ることを意味する。「コロナ禍で不要不急な旅行を自粛する動きがあるが、地域の経済を活発化させる産業観光は緊急かつ重要な行動」とし、須田氏は修学旅行で産業観光を行うことの重要性を説く。

 


■コロナ禍でも適している工場見学などの分散学習

最近では修学旅行先で1日を分散学習にあてる学校が増えているが、工場見学などは安全面や学習面などからも少人数での分散学習が望ましい。また、コロナ禍において密を避けることになり、地域の指導者とのコミュニケーションを図ることにもつながるという。

 


■SDGsの17の目標のうち12項目が産業観光に結び付く

SDGsで挙げられている17の目標のうち、12項目が産業観光と深く結びついているという。例えば、目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」は風力発電や太陽光発電など電気を生み出す現場を見学することでエネルギーについて学ぶことができる、目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」では産業の現状を見学することが、新たな技術を生み出す担い手の育成につながっている。

 


■ものづくりにかける思いが身につく

産業観光を通じて、ものづくりにかける思いが身につくことから、技術大国・日本を築く人材を育てることにつながっていく。Withコロナの今だからこそ、教育旅行に産業観光を取り入れて、苦しい時代を乗り切ってほしいと須田氏は語る。

 


第二部 パネルディスカッション

続くパネルディスカッションでは、はじめに5人のパネリストが、それぞれの立場から産業観光の取組が発表された後、産業観光の魅力について議論が交わされた。コーディネーターは日本修学旅行協会の竹内秀一理事長。


【パネリスト】

守屋文俊氏(東京都立中野工業高等学校 統括校長)

淺川俊彦氏(東京大学教育学部附属中等教育学校 副校長)

丁野朗氏(全国産業観光推進協議会 副会長、日本観光振興協会総合研究所 顧問)

足立克己氏(一社・大阪モノづくり観光推進協会 専務理事/事務局長)

長島誠人氏(JTB 事業基盤機能 人事チーム調査役)


【コーディネーター】

竹内秀一氏 (公財・日本修学旅行協会 理事長)

 


■修学旅行に産業観光を取り入れることで新しい学びに応える

「新しい学習指導要領では探究的な学びが求められている。また、生徒の職業観を育成するキャリア教育の充実と推進が明示されており、修学旅行を含む特別活動が要として位置付けられている。一方、学校ではSDGsの取組などが進められており、こうした学びは学校の中だけでは、できるものではない。そこで修学旅行をはじめとする教育旅行の重要性が、今後ますます高まってくることが予測される」と竹内理事長は語る。パネルディスカッションでは教育旅行における産業観光について様々な角度から議論が進められた。

 

 

 


◆工業高等学校における産業観光

守屋文俊氏(東京都立中野工業高等学校 統括校長)

現在、都立工業高校は全部で18校あるが、守屋氏は2019年度にアンケートを実施し、修学旅行でどのような産業観光を行っているかを各校の学校長に聞いた。それによると各校で学ぶ専門科目に合わせて自然体験や市内観光、平和学習などを取り入れているケースが多かった。

中野工業高等学校が北陸での修学旅行を実施した時は、富山では細工蒲鉾の絵付け体験、福井県鯖江市ではメガネ工房の見学、福井県越前市での越前打刃物の現場などを見学。また、越前和紙の里では手作り和紙の見学を行ったが、ここでは生徒が自分の卒業証書づくりを体験した。

同校では7割の生徒が卒業後に就職するが、うち半数が製造業や食品業の道に進む。そうした生徒が歴史ある工房などを見学することで幅広い職業観などが育成される。日本の企業が、どのような形でSDGsに取り組んでいるか、修学旅行を通じて学んでいければと思っていると守屋氏は語る。

 


◆総合的な学習と研修旅行の結合を

淺川俊彦氏(東京大学教育学部附属中等教育学校 副校長)

東京大学教育学部附属中等教育学校は、総合的な学習で探究学習の課題を設定、はじめに文献などを使って課題について調べてから、フィールドワークを実施。そこで調べたことを発表するという流れを6年間で何度も繰り返す。

そうした学校での学びと宿泊行事を結び付ける取組が行われている。中1では木曽路を中心とした中山道ウォークに取り組む。岡谷の蚕糸博物館では半日かけて近代産業の起こりについて学ぶ。

生産と暮らしが隣り合っている現場を見てもらうことを目的に中3では「若狭での里山里海」を体験。養殖漁業などを体験することで、首都圏では失われた生産者と消費者の絆を見直す学びを行っている。

2では長崎で初日に全員で平和学習を行い、その後は「平和」「近代化」「自然」の3コースに分かれて体験。「近代化コース」では池島炭鉱や端島など石炭産業の遺構や三菱造船の造船所などを見学し、現代日本の産業と福祉の原型を探る。また、「自然コース」では火山灰地質を活かした農業や地熱発電など自然と共生した産業のあり方を学ぶ。

1・中3・高2の宿泊学習の共通テーマは「日本のルーツを探る」。宿泊行事が終わってからも見てきたことを自分の中に落とし込むなど、その後の生き方につながるものとなっている。

 


◆産業観光の発展段階と次世代モデル

丁野朗氏(全国産業観光推進協議会副会長、日本観光振興協会総合研究所顧問)

産業観光は1960年代から1970年代の、工場を外部に見せることで安全性をアピールする(第1世代)時代から、バスに乗って工場を見て回るなど産業観光の大衆化が起こる(第2世代)。さらに、産業観光から収益を得るなど産業観光自体が事業として自立するようになり(第3世代)、近年では地域ぐるみで産業観光に取り組むようになってきている(第4世代)。

産業観光には様々な事業モデルがあり、以下の8つの活用視点が挙げられる。①企業の広報・CSRとしての産業観光、企業ビジネスとしての産業観光、企業及び製品ブランド化のための産業観光、地域投資機会としての産業観光、小さな工場街をまちごと活かす、世界遺産活用とヘリテージツーリズム、最先端技術・産業を観光交流に活かす、⑧産業・技術をアート(芸術)で魅せる。

2019年には日本遺産「播但貫く銀の馬車道・鉱石の道」高校生フォーラムが開催され、日本遺産「銀の馬車道・鉱石の道」の沿線市町の6つの高等学校と愛媛県立新居浜南高等学校ユネスコ部が集まり、ディスカッションが行われた。高校生が地域課題にどのように取り組むかをテーマに熱い討論を交わした。これからの産業観光は「第4世代」が増えてくるため、地域がどのように受け入れの基盤を作っていくかが問題となってくると丁野氏は語る。

 


◆町工場が最大の観光資源!モノづくりのまち「東大阪」の挑戦‼

足立克己氏(一社・大阪モノづくり観光推進協会専務理事・事務局長)

大阪モノづくり観光推進協会では東大阪市の「製造業」工場見学プログラムの受け入れを行っている。学校が産業観光を行いたいという要望を旅行会社に伝えると、そこから大阪モノづくり観光推進協会に依頼が入ってくる。そこで問題となるのが、学校の思いがしっかりと伝わっているかということ。学校の教育理念や育成したい子供の資質・能力に合わせてプログラムを組む必要があるという。

人口49万人の東大阪市はものづくりのまちとしても知られる。ここでスポットがあてられるのが、ものを作り出すために工場で働いている人になる。町工場で働く人たちは自分たちが持っている技術を、子供たちに伝えたいという思いを持っている。そこで工場見学を通じて、ものづくりに励む人たちを見てもらい職業観を養いたいという学校の思いにもつながることになる。

いずれも小さな町工場のため、一度に大人数の見学はできない。そこでグループに分かれての見学となる。学校見学が決まると、見学日に合わせて社員の勤務シフトや業務の段取りなども変更して調整を進めていく。最近ではコロナの影響もあり、急に見学が中止になることもあるが、それが小さな町工場にとっては大きな打撃となることを分かったうえで産業観光に臨んでほしいと足立氏は語る。

 


◆「深い学び」につながる産業観光と今後の方向性

長島誠人氏(JTB 事業基盤機能 人事チーム調査役)

「産業観光」を提案する際には、これまでは伝統工芸制作でものづくりへの心を伝える、農林漁業体験で地域との共生を学ぶ、工場見学でものづくりの工程を知るなどが行われてきた。こうした体験は今後も行われていくが、今後は探究的な学びやSDGsの要素を取り入れたプログラムの開発などが求められるようになってくるという。

探究的な学びやSDGsを取り入れた学びを提案する理由としては、社会が大きく変化する中、子供に将来生き抜く力を子供に身につけてもらうことにある。また、社会の変化は地域や企業にも及んでおり、産学官プログラムを実施するケースも増えている。

JTBでは、SDGsをテーマに産官学連携でキャリア教育を実施するため「ヨコハマ探究学習プログラム」を作成。横浜市内の工場見学や職場体験を行う際に、企業が取り組んでいるSDGsについて学び、それぞれの企業が抱える課題などに対して、子供たちとディスカッションを行い、自分なりの回答を出すプログラムとなっている。

今後はいつでも、どこでも、誰とでも学び合えるようなプログラムが求められると語る長島氏。教室だけでなく自宅でも学習できるものや、オンラインを使って現地に行かなくても学習できるもの、世代や国籍を越えて学び合えるようなプログラムの開発が目指される。

 

公益財団法人日本修学旅行協会

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