2025年度以降GIGA端末の更新時期がピークを迎える。端末処分は、各自治体の教育委員会が主体となって判断・実施する仕組みとなっており、具体的な対応方針や情報管理の在り方が全国で問われている。そうしたなか、一社・児童生徒のデータプライバシー協会は、全国の教育委員会を対象に「GIGAスクール端末処分に関する実態調査」を実施。その調査結果から、「端末のデータ消去方法/処分費用の実態」に関する内容について公表した。
GIGA端末に適正と言えないデータ消去方法(初期化・磁気消去)と回答した教育委員会が23%。また、通電不可端末などでやむを得ず物理破壊する際も「SSDは2mm以下に粉砕が必要」と定義されている「物理破壊」と「初期化・リセット」を合わせると、全体の約4割を占める。一方、最も安全とされる「専用ソフトウェアを利用した暗号化消去・上書き消去」は、12.5%にとどまる。
文部科学省「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」は、GIGA端末の処分時には専用ソフトウェアを用いたデータ消去の実施を規定している。この専用ソフトウェアによる消去では、1台ごとの消去ログやデータ消去証明書の発行が可能となり、より確実なデータ消去が実現する。
今回の調査では、「資産管理番号を区別可能(=データ消去作業ログが取れる)な証明書を委託事業者から取得予定」は20.2%にとどまり、37.5%が「1台ごとの消去ログが取れないデータ消去履行確認の実施」と回答している。
今後、多くの自治体でGIGAスクール端末の処分事業者選定が本格化を迎える前に、1台ごとの消去ログが取れる適正なデータ消去作業を、各自治体が実施していくべき、と同協会は指摘する。
データ消去作業を外部委託する予算を確保している教育委員会は28.8%と、3分の1以下にとどまることが判明。GIGA2.0の調達価格に処分費用を含める(=処分までの予算確保)予定の教育委員会は25%。
また、9.6%の教育委員会がデータ消去作業を内部で行う工数・設備・予算確保をしていると回答。同協会は、内部作業によるリスクを把握した上で、適正な処分・データ消去委託先選定をする必要があると指摘している。
調査結果により見えてきたのは、「データ消去が不完全なまま処理が進む恐れ」 「GIGAスクール端末のデータ消去履行確認等が不十分な恐れ」そして「予算確保が十分でない場合に、適切なデータ消去がなされない恐れ」などのようです。デジタル社会において真に心豊かな人生実現のためにICT教育の充実やデジタルリテラシー向上が大切になっています。その実現のためにもより安心安全で利用・活用のできる環境づくりも不可欠です。
ぜひ、調査結果も参考に、あるべき姿をお考えいただき、子供たちと全ての人々のデジタル活用向上に資するべく、力を合わせていきたいと思います。
調査対象:1787自治体の教育委員会(都道府県、市区町村)
調査手法:郵送配布・FAX回収によるアンケート調査
実査時期:2025年4月末~5月上旬
有効回答数:104