公財・スプリックス教育財団は、基礎学力に対する意識の現状を把握することを目的に、世界8か国の小学4年生および中学2年生相当の子供とその保護者を対象に、「基礎学力と学習の意識に関する保護者・子供国際調査2025」を実施。その調査結果から、「外国語を学ぶ意欲」に焦点を当てた内容を公表した。
調査では、①「外国の言語を話す能力」(=語学力)と、「基本的な計算ができる能力」(=計算力)との必要性の認識の違い、②保護者と子供における「語学力」の必要性の認識の差異について、国ごとに比較し、外国語を学ぶ意欲の現状を探っている。
「計算力」や「語学力」が必要かどうかを7か国の小学4年生に尋ねたところ、7か国すべてで『生成AIがあっても外国の言語を話せる能力は必要だ』を肯定する割合が6割を超え、生成AIがあっても語学力の必要性を認識していることが示された。図1(a)
なお、設問の冒頭で『生成AIを使えば、 いろいろな問題を解決できます。また、生成AIは海外の言語で書かれた文章を訳してくれます』と前置きしている。

一方で、世界的には「計算力」のほうが「語学力」よりも必要性が高いと認識している傾向がみられた。図1(b)は、「計算力」と「語学力」それぞれを必要だと回答した割合の差を示している。アメリカやイギリスでは、その差が10ポイントを上回り、計算力をより重視していることがわかった。一方、それ以外の国々では両者の差は5ポイント以下にとどまる。特に日本やフランスでは「計算力」よりも「語学力」のほうが必要と回答する子供がわずかに多い。この結果は、英語がその国で主要言語か否かが、外国語学習の必要性の認識に影響を与えている可能性を示唆している。
同様の質問をその保護者に尋ねた結果、7か国すべてで『生成AIがあっても外国の言語を話せる能力は必要だ』を肯定する割合が7割を超え、子供以上に保護者は生成AIがあっても語学力の必要性を認識していることがわかった。図2(a)

また、フランスを除くすべての国で「計算力」のほうが「語学力」よりも必要性が高いと認識している傾向がみらた。図2(b)は「計算力」と「語学力」それぞれを必要だと回答した割合の差。アメリカやイギリスでは、その差が10ポイントを上回り、子供と同様に計算力をより重視していることがわかった。
日本では「計算力」が必要だという認識が「語学力」よりも5.7ポイント高く、日本の保護者は子供に必要な学力として「語学力」よりも「計算力」を重視していることが示された。一方、図1(b)で見たように日本の子供は「語学力」のほうが必要との回答が多く、日本の子供と保護者の認識にはギャップが見られた。
「外国の言語を話せる能力」の必要性について保護者と子供の回答を比較した。ネパールを除いた6か国で、保護者のほうが子供よりも「語学力は必要」と回答している。図3(a)(b)

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<調査概要>
調査手法:インターネットパネル調査/調査参加校の教室・自宅での実施
調査実施日:2025年4月~7月
調査対象者:世界8か国の小学4年生と中学2年生相当の子供とその保護者
回答数
