クラウドサービスを提供するアマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWS)は10月23日、教育DXに向けて「AWS ITトランスフォーメーションパッケージ教育版(ITX for Education)」を発表した。本サービスは公共分野を対象にしたクラウド移行支援プログラムの教育版だ。
教育委員会、提案・構築事業者、EdTech企業を対象とし「次世代校務DX」「多様なEdTechサービスの提供」「生成AIによる教育データの分析・活用推進」の3つで構成されている。いずれもAWSのクラウド移行が前提だが最終的にどのクラウドを採用するかは自由だ。AWSクレジット(割引)の提供も可能。

次世代校務DX化移行に向けた多様なアセスメントプログラムを無料で提供する。現行データ基盤を分析した上で教育データ利活用のためのモダン化のポイントや案の提示も可能。強固なアクセス制御による対策(ゼロトラスト・ネットワーク)を可能とする最適な構成の策定も支援する。
AWSサービスを利用している多様なEdTech各社のサービス導入も紹介。紹介可能なサービスは今後順次追加する。
生成AIの専門チームが教育機関向け生成AI活用の実証の実施や本番環境への拡張計画の作成を支援。AWSクラウドでは生成AIに関する各社の製品を利用可能で、データについては国内のみで利用でき、データ分析エージェントや教材作成エージェントについては自然言語でやりとりできる。学習指導要領に合わせて教材や小テストを生成することも可能だ。

(左から)NTTデータ東海 櫻井潤児氏、名古屋市教育委員会 天野望氏、愛媛県教育委員会 谷口京子氏、シンプルエデュケーション 平田直紀氏、アマゾンウェブサービスジャパン 瀧澤与一氏
AWSのクラウド環境を利用して教育DXを進めている自治体として、名古屋市と愛媛県が登壇。
名古屋市では、ガバメントクラウドにAWSを採用していることから、将来的に福祉系システムや人事給与系システムとデータ連携が可能である拡張性を重視し、教育系でも同様にAWSを導入。校務支援システム(小中高等学校・特別支援学校)はゼロトラスト環境で構築し、校務用端末と指導者用端末のデータ移行が不要になった。
また、他校への出張時や教室でのすき間時間も校務を行うことができるようになった。校務・学習データを連携したダッシュボードも2026年9月から導入予定。個人情報や匿名性を担保しながら学校と教育委員会がリアルタイムで分析結果を共有できるように準備を進めている。なお本システム構築はNTTデータ東海。
愛媛県では「えひめICT学習支援システム(EILS=エイリス)」をAWSクラウドにより構築。2021年度からCBTシステム開発に着手した。開発者はシンプルエデュケーション 。その後、CBTシステムと連動した読書記録アプリやタイピング検定、計算検定、読解力検定、英語フリートーク教材や読み物教材など、子供の課題感に合わせたアプリや教材を開発。AWSが提供する多彩なAIツール等を利用して柔軟な開発やバージョンアップを進めている。