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学校施設

正しい予防対策を啓発 熱中症対策シンポジウム<環境省>

2018年6月18日
熱中症対策特集:早期段階で細かい配慮を
児童の取組を紹介する石川養護教諭

児童の取組を紹介する石川養護教諭

一般への熱中症啓発を目的に、環境省が主催する「熱中症対策シンポジウム」が6月3・4日、都内で開催された。専門家による熱中症のメカニズムの解説に加え、自治体や学校がそれぞれの対策事例を発表。自治体職員や教職員などが参集し、当日の様子は埼玉県、東京都(小平市・町田市)、高知県、福岡県の会場でも中継された。

小学生の意識育てる

メカニズムを知り予防対策につなげる

帝京大学の三宅康史教授(医学部救急医学講座教授)は、熱中症のメカニズムとその予防対策について説明を行った。人の体内温度は通常37度前後だが、熱中症が起こす「高体温」とは、外部環境などにより結果としてその設定温度を上回ってしまうこと。ウイルスなどの侵入を受けて脳が指令を出す「発熱」とは異なる。高体温状態を防ぐために、人は血液を通じた「放熱」と発汗による「気化熱」を起こし、体内の設定温度を保つ。そのため汗とともに排出される水分・塩分の補給は重要であり、特に血液循環に関わる持病を持つ場合は注意が必要となる。

〈熱中症の発症条件〉

熱中症を引き起こす条件は、主に環境・体・行動の3つの要因が関わる。気温・湿度が高い、日差しが強く風が弱い、などが「環境」の要因、低栄養状態(朝食を欠食するなど)、持病を持っている、などが「体」の要因、長時間の屋外作業や慣れない運動などが「行動」の要因にあたる。

〈熱中症は2種類〉

熱中症には労作性熱中症(以下、労作性)と非労作性熱中症(以下、非労作性)が存在する。労作性の場合は、若年から中年の発症が多く、屋外での筋肉運動後に数時間で急激発症することが特徴だ。一方、非労作性は心疾患などの持病を抱える高齢者に多く、屋内で発症。数日かかって徐々に悪化していく。持病の悪化にもつながり、労作性よりも死につながる危険性が高い。

しかし、労作性は気温だけでなく、高い湿度でも発症する点に注意しなければならない。湿度が高いと汗による気化熱を起こしづらく、筋肉運動で生まれた熱が体内に溜め込まれてしまう。「中高生では体育館での部活動、特に防具を着用する剣道などは要注意。雨で濡れたグラウンドも、日差しが強くなると湿度が上昇するので運動時は注意が必要」と語る。

ESDと関連づけた児童の主体的な活動

富士市立岩松北小学校(静岡県)の石川薫養護教諭は、ESD教育と関連付けながら行う同校独自の取組を紹介した。「生涯にわたって自ら熱中症を予防できる力を育成するためには、(県内では中高生よりも発症率の低い)小学生のうちから啓発する必要があると考えた」

同校では子供主体の活動、誰にでも分かりやすい、持続可能で負担が少ない、環境問題の意識につなげる、生涯にわたり熱中症予防を意識する基礎となる、などのポイントをおさえた活動を開始した。昨年は色で危険度が分かる温湿度計を全教室に設置。児童全体の啓発につなげ、インフルエンザ流行時期にも活用した。加えて、保健委員会では児童が毎日の気温・湿度を計測し、熱中症指数を記録。結果を職員室脇に設置したボードを通じて全校に伝えている。

運動場には、毎日暑さ指数に合わせて赤・黄の旗を児童が設置。熱中症警戒を示す赤は原則外出を中止とした。旗の色は子供たちだけでなく、教員にとっても指導の目安となっている。

昨年参加した「熱中症声かけプロジェクト」では、保健委員会の児童がポスターを作成。発想豊かで親しみやすい作品が多く生まれた。

さらに、総合的な学習ではグリーンカーテンを作ったクラスが温度効果を測定。学習の総括として、室内温度を下げるだけでなく環境にも優しい涼の取り方を全校に発信した。

今後は外部講師を招いた環境講座や家庭科単元などを通じて活動をさらに広げていく。来年度は体操服のデザインを変更する予定だが、汗がかわきやすい新素材の使用など、保護者と検討を進めている。同校の児童は年間を通じて学校生活の大半を体操服で過ごす習慣があるため、機能性の高いデザインを目指したいとした。

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2018年6月18日号掲載



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