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地場産物を活用し交流を深める とちぎ食育元気プラン2020

2020年7月22日
楽しい交流給食

楽しい交流給食

栃木県では、食育における施策として「第3期栃木県食育推進計画(とちぎ食育元気プラン2020)」を2016年から推進。最終年度となる今年度までの計画で、「豊かな食に感謝し親しむ機会の増加」「健全な食生活により心身の健康を培う環境づくりの推進」「食の安全・安心等について関係者相互の信頼を築く取組の推進」の3つの基本目標を掲げている。目標達成に向け、県内の学校では給食への地場産物の利用拡大推進や農作物の生産者との交流など、多様な食育が行われている。

同計画では、基本目標達成のため、指標が5つ設定されている。栃木県食育推進本部は、同計画の2019年度の実績を6月23日に公開した。

昨年度の「食への感謝の気持ちを持つ県民の割合」(目標値90・0%)は66・5%、「学校給食における地場産物活用割合」(目標値50・0%)は39・6%。昨年度は目標未達成となった一方、「農業体験を複数回したことがある県民の割合」は71・3%(目標値75・0%)となっており、達成が目前だ。

「主食・主菜・副菜を組み合わせた食事が1日2回以上の日がほぼ毎日の者の割合」(目標値80・0%以上)達成のため、「とちぎのヘルシーグルメ推進店」の登録拡大や、スポーツ少年団などへの公認スポーツ栄養士の派遣に取り組んでいる。「食の安全・安心に関する意見交換会の参加者数」は目標値達成後も毎年増加。昨年度は1万8436人となった。

今年度は、食育活動による新型コロナウイルス感染症予防の啓発、野菜摂取量増加・減塩・朝食欠食をなくす「食べて健康!プロジェクト」の推進、小中高生を対象とした「食と健康づくり実践教室」の開催支援など、親しみやすい食育の推進に取り組む。

高校生から教わる

■農業系高校生との交流 双方の学習意欲が向上
農業系高等学校の農場で実施された児童の農業体験

農業系高等学校の農場で実施された児童の農業体験

農業系高等学校が小学生に指導をする形式で、農業体験や見学を実施する取組もある。

小学生との交流は、高校生にとっても学習の成果を生かす貴重な好機となっており、学習意欲がお互いに高まりあっている。

交流給食では、高等学校で収穫した野菜や果物を給食に使用。児童は給食時に高校生からの説明を聞き、高校生と共に楽しく会食をする。高校生が作った野菜であることを児童が知ると、給食に使われている食材を身近に感じ、残さず味わって食べようとする姿も見られた。

学校では、様々な工夫をした取組の実施や食育だよりによる情報提供も行ったため、親子で食に関することをよく話題にするようになった家庭もある。高校生と交流のあった児童だけでなく、保護者も、食に対する意識が少しずつ変容している。

高校生が児童に農作物を紹介

高校生が児童に農作物を紹介

家庭でも、最初に児童が日常生活の中で、栄養のバランスを考えて食べることや食事マナーを守って食べることなどを意識するようになった。そのため、家族そろって食生活の改善が図られつつある。

生産者から学ぶ

■地場産物活用に向け推進委員会を設置

同県は文部科学省事業として、2017年度に「つながる食育推進事業」を実施。栄養教諭が中心となって各機関・団体と連携し、家庭での理想の食生活が継続できる食育の実践モデルを構築した。同事業をもとに、2018年度から、県内公立小中学校などを実施校とした学校での実践的な食育や保護者を巻き込んだ多様な取組を県独自で行っている。

同県では地場産物の活用を促進するため、栃木県地場産物活用学校給食推進委員会を設置。(公財)栃木県学校給食会がJAなどと連携し、学校給食に地場産物を活用することで、豊かな食に親しむ機会を増やす。

■農業体験で食材に学ぶ 生産者との交流給食も
農場では生産者から収穫などについて話を聞き食への関心を高めた

農場では生産者から収穫などについて話を聞き食への関心を高めた

食育推進活動の一つに、生産者をゲストティーチャーとして招いて実施する講話と交流がある。県内農産物を生きた教材として活用し、農業体験も実施。農作物を育てる大変さや収穫する喜びなどを実感している。

また、自分たちの食べている学校給食が多くの人々の苦労や努力に支えられていることを知り、食に対する感謝の気持ちを育成できるように、生産者や納入業者の人々を給食に招待。交流給食も実施している。

ニラ農家との交流授業を行った学校では、同市の特産物であるニラの生産過程や収穫の様子などを学習。JAキャラクターとふれあいをもつ機会もでき、児童の関心が高まった。生産者や納入業者を身近に感じることで、好き嫌いなく頑張って食べようとする意欲向上も見られた。

生産者も、子供たちとの交流を通じて学校教育への理解が深まり、この体験が学校・地域との連携・協力関係の構築につながっている。

■社会科見学で給食センターを知る
給食センターの見学は児童を一日中わくわくさせる

給食センターの見学は児童を一日中わくわくさせる

同県の小学3年生は、社会科見学として、給食センターの見学を行っている。これに合わせて、給食週間中、調理作業の写真やスパテラの実物を受配校に展示。児童が給食を身近に感じられる工夫を施している。見学時の児童からの手紙などは、調理員の目にとまる場所に掲示し、日ごろの励みにしている。

親子で学習する

■親子で地元料理を学習 地産地消の理解深める
親子料理教室では、親子や兄弟姉妹で協力しながら調理を楽しんだ

親子料理教室では、親子や兄弟姉妹で協力しながら調理を楽しんだ

夏季休業期間には、児童と保護者を対象に、親子料理教室を行う。「地域の味覚を味わおう」というテーマで、数多くの地場産物を活用した料理を選んで実施。地産地消の取組や生産者の紹介、地場産物についての食べ物クイズを行うなど、地域理解に努めた料理教室となっている。

食生活改善推進員や健康づくり推進委員会が主催する場合は、栄養教諭と健康づくり推進員が児童の食に関する課題を解決するテーマを設定し、家庭の食事に取り入れられるメニューを決める。「パパっと簡単!朝ごはん!」をテーマに、みそ汁を手軽に作れるみそ玉作りなどを実施した。

協力しながら食材を切り、調味料を計量するなど、親子で料理を楽しむ様子が見られたほか、兄弟で協力する家庭もあった。児童からは、「給食もおいしいけれど、やっぱり自分で作った料理がいちばんおいしい!」という声もあがった。

この取組では、関係機関や地域関係者と連携することで、専門家から指導・助言を得られた。

■家庭で振り返りを促すチェックシートも提供

家庭や学校で食に関する振り返りができるように、同県が作成した「食育チャレンジシート」も活用している。同シートは学校や家庭における食に関する課題解決のためのチェック項目やめあてをまとめており、毎月19日に定められている「食育の日」に、学校・家庭で食を振り返る機会を提供している。

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2020年7月20日号掲載

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