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学校施設

第81回 【教職員のメンタルヘルス】重要な教頭の「複眼的」視点

2021年11月22日
連載

職員室には50代の教員が23人いるだけで、40代はいない、ほかは35歳以下の教員ばかりで若い教員が主流になっているのが現状です(もちろん多少の地域差はあります)

遅くまで残っていますがやるべきことはやっているし、それが苦にならないようです。コミュニケーションを取りながら楽しくやっている現状を見ると、ただ早く帰れとは言い難く、ある程度は仕方がないかと思う部分もあります。

若手教員について気になる点はありますか?

常識的なことを教わっていないことが多いように思えます。例えば、出勤簿を押印していないとか、服装や話し方、子供や保護者に見られているという意識が薄い。だから子供たちに生活の基本的なことを教え込めないのでしょう。教科書がなく煩雑なのです。自分が教えられてこなかったから、マニュアルがないから、わからないし気がつかないのです。

■提案はシンプルに

1学期間、各クラスの様子を見てきたうえで、教員が同じベクトルで指導に当たるために2つの提案をしました。

1つ目は、授業の最初と最後のあいさつを徹底させましょう、いい加減だったらやり直させる。あいさつで子供たちのスイッチを入れましょうということです。

2つ目は、授業中に寝ている子供をほったらかしにしない。見て見ぬふりをせずに必ず起こして、姿勢を正して授業を受けさせましょう。この2点だけについて、まずみんなで徹底してその成果を検証することを提案しました。

■若手の行動力は長所

先生方の「生徒指導的関わり」では、普段はどんな感じなのですか?

例えば、不登校傾向の子供がいたら、すぐに家庭訪問に行き、登校渋りの子供が「夜の7時頃なら学校に行ける」と言ったら、学校によんで勉強を見るなど、若いからフットワークが軽いのは良い部分ですね。

そこに加えて前述の基本的なことの指導ができたら、学力など本質の所に入っていけるのではないでしょうか。やっていることは間違いないのですから。

■職場には聞き役も必要

今年異動してきた教員の例です。1学期が経過したのですが依然として「自分では一生懸命やろうとしているのですが、学年や先生方の雰囲気に合わなくて、正直、この間はつらかった」と言われたそうです。

職場の同僚から、教頭先生なら話を聴いてくれると助言されたらしく、深夜に及ぶまで本人の話を聴いたこともあったそうです。

来年度に向け人事異動の調査が始まり、校長たちからは次のような苦悩が寄せられます。

■人材不足が深刻

①学年主任を任せる人材はいるのだが、何度も卒業生を出した経験のある「進路指導主任」の適任者がいない(中学校)

②遅くとも2校目の勤務校で主任等を任せる場合が多いが、学年主任自身に余裕がなく、初めて学級担任を受け持つ教員の指導まで手が回らない。

③学年主任等を指導する立場の教頭の力量や質が問われており、校長が教頭の仕事の一部を肩代わりしてやりくりしている。

④子育て、介護はお互い様だが、その一方で「担任は持てません」、「低学年しか出来ません」という教員の配置に苦労が尽きない。

 

2年前の初任者から、体育祭や修学旅行等の通常の形式で行われた学校行事の体験がほとんどありません。来年度、学校運営が通常に近い形に戻った際、2年目までの教員が学校行事の責任者になりメンタル不調に陥らないためにも、今から各行事の概要や手引きの内容をPCに保存して、誰が担当者になっても安心して引き継げる準備しておきましょう。


筆者=土井一博(どい・かずひろ)順天堂大学国際教養学部客員教授

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2021年11月22日号掲載



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