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教育ICT

高等学校1人1台端末活用~「教える」から「自ら学ぶ」へ<鼎談>中川教授(放送大)・寺嶋准教授(大阪教育大)・松下准教授(香川大)

2021年7月5日

2022年度から高等学校でも新学習指導要領が年次進行で実施される。教科も大きく再編され、創意工夫に基づく教育活動の充実が求められており、文部科学省は、その実現のための1人1台端末活用を求めている。高等学校でも既に1人1台端末を配備している自治体もある中、どう活用して良いかわからない、という現場教員の声も届く。高等学校の新たな学びをテーマに、高校生向け電子辞書や関数電卓等を提供しているカシオ計算機と共同研究をスタートした中川一史教授(放送大学)、寺嶋浩介准教授(大阪教育大学)、松下幸司准教授(香川大学)がオンラインで鼎談した。

“学びを変える”プラットフォームに

小中で進んだICT配備
次は高等学校で始まる

放送大学 中川一史 教授

■中川 11台端末活用に向けて、多くの高等学校が抱えている課題は3つあるのではないでしょうか。

1つは整備の問題です。この1年で、ほぼ100%の公立小中学校等に11台端末が配備されました。大学でもオンライン授業が日常化しており、就職活動もほぼオンラインで進む状況が続いています。端末やネットワーク活用による情報収集は必須になりました。一方で、高等学校だけが、整備・活用の面で遅れをとっています。このままで良いというわけにはいかないでしょう。

2つめが、活用場面の提供です。現在の高校生は、スマートフォン活用が中心ではありますが、ICTスキルの一部を日常生活の中で既に身に付けています。それを学びに活かし、さらに伸ばすための場を提供する必要があります。

3つめが、教員の情報共有です。高等学校ではこれまで、教科「情報」がICT活用やスキル育成を担ってきましたが、今後は、すべての教科での活用と、各教科の学びをつなげていくことが求められています。この横軸展開のためには教員の情報共有の仕組みが必要です。現状では、各教科の壁がありそうです。

大阪教育大学 寺嶋浩介准教授

大阪教育大学 寺嶋浩介 准教授

■寺嶋 その通りだと思います。現状で高等学校の11台端末配備は、42自治体が目標としています。導入・活用する方向で進めないと保護者からは批判されるでしょう。一方で、保護者負担に反対する声が取り上げられることもあり、各設置者のビジョンが試されます。管理面から考えると端末の機種をそろえたくなる気持ちは理解できます。一方で、自分事として捉えられない、と感じる可能性もあります。

■中川 スマートフォンでもノートPCでも何でも良い、という完全BYOD方式で始めている高校もあります。この場合、生徒の自主性や主体性が顕著に表れますね。

■寺嶋 高校生のインターネット等の1日の利用時間はかなりに上るという調査もあり、大変利用しています。このパワーを学習に向けることが必要です。

情報共有についても、高等学校では小中学校に比べて校内研修等の頻度や時間が間違いなく少ないと感じます。

「探究の時間」で
1人1台端末を活用する

香川大学 松下幸司 准教授

香川大学 松下幸司 准教授

■松下 多くの高等学校では現状、一斉指導による情報伝達の学びを展開しています。新学習指導要領では「1人ひとりが主体的に学ぶことができる」ことを求めています。総合的な学習の時間は「総合的な探究の時間」に変わりますが、ここに教科の壁を超える「情報共有」の可能性、11台端末活用の必然性と伝達式の授業スタイルから脱却する可能性が生まれるのではないでしょうか。

■中川 「総合的な探究の時間」に加え、各教科に古典探究、地理探究、理数探究など「探究の時間」もあり、「探究」を重視していることがわかります。「探究のプロセスと育成すべき資質・能力」についての文部科学省の説明資料では、「課題の設定」「情報の収集」「整理・分析」「まとめ・表現」のプロセスが小中学校、そして高等学校でも示されています。これは、端末を学びに活用するプロセスとほぼリンクする内容です。

■寺嶋 このプロセスを既に自ら実施している生徒もいますが、多くの生徒にとっては難しい。ここを支援することが、教員に求められています。

■中川 ノートのまとめ方等、小中学校で身に付けていることについて高等学校では、あまり手ほどきをしてきませんでした。探究学習については小中学校で始まっているものの、11台端末活用と組み合わせて行う点については全校種でほぼ一斉スタートですから、次年度からしばらくは、高等学校においても、手ほどきから行わなければなりません。

■寺嶋 まずは各教科の「探究の時間」で取り組むことになります。

■松下 スモールステップが重要です。それぞれのプロセスを各教科の中で身に付けることを意識する。さらに各教科で生徒1人ひとりがどのような学習状況にあるのかについて、教員間で情報共有することが重要ではないでしょうか。

■中川 学校全体で生徒1人ひとりの情報を共有できると、学びは大きく変わりますね。

■松下 学びを変えるプラットフォームが、探究的な学習であり、11台端末を活用した情報共有です。各教科で「学び方」を磨き、それを「総合的な探究の時間」に活かす、さらにその経験が各教科の「探究」や知識習得・定着につながる、というサイクルが理想です。

■寺嶋 「総合的な探究の時間」は、各教科の「探究」の時間で身に付けるべき「学び方」を教員が情報共有するきっかけになりそうです。

小中学校での実践を
高等学校でも活かす

■松下 高等学校で、見取りにくい、と感じるものが、生徒相互の反応を得るプロセスです。これを科目の学びの中に、意識してデザインすることで、互いの反応に刺激を受けながら自らの学びを深化していくことが期待されます。高等学校の学びにおいて重要な機能ではないでしょうか。

■寺嶋 小学校の授業方法としては一般的な方法ですが、これを高等学校の学びにアレンジすることは、かなり価値があります。

■中川 文部科学省は「StuDX Style」で「GIGAに慣れる」などのテーマで事例を公開しています。授業案ではなく、互いの作品にコメントを書き合う、等の活用シーンを紹介しており、それを各教科でうまく展開しています。外国語では発音を録音して教員にデータを送り、教員はそれを評価する、理科では実験の様子を録画して記録、グループで共有して考察を深めるなどです。これはそのまま高等学校での学びにも活かすことができるものです。

■松下 私たちはスマートフォンについて、「どう使えば効果的か」を考えて使っているわけではありません。自分のものとして様々なことに使っています。11台端末についても「効果」のみを見てはいけないのではないかと考えています。また、効果そのものの捉え方も変わる必要があります。

■寺嶋 11台端末活用は、授業外からの活用から考えても良いのではないでしょうか。中学校でも、生徒会や委員会活動、部活動での活用が増えています。

一斉休校の際、多くの学校で、GoogleフォームやMicrosoftFormsのような仕組みで健康観察情報や出欠席連絡を共有する仕組みが導入されました。これらは今後も継続されていくでしょう。

この方法は高等学校の授業にもなじみます。事前に動画で課題を送り、その結果を教員が確認して対面授業でフィードバックするなどの同期、非同期の学びを組み合わせた仕組みも、高等学校では導入しやすいはずです。

■中川 そうですね。学びは、授業だけで行うものではない、50分間にすべて詰め込むものではない、ということに多くの人が気付くきっかけになりました。これを授業時間外や「探究の時間」で行えば、高等学校の11台端末の可能性が具体化します。

■寺嶋 高校生であれば、教員のみが「どのように端末を使うのか」を考えるのではなく、高校生と対話しながら考える方法もお勧めしたい取組です。

■中川 教員と生徒が共に語り合って進める形を考えることもポイントになりそうです。

「自ら学ぶ」「学び合う」
「学びをつなぐ」仕掛けをつくる

■寺嶋 自ら情報を収集してまとめ、考え、それを基に交流し、学びなおしたり広げたりすることが大切です。そのためには、思い切ってそのような学びを実現できる「ツール」を仕掛けとして生徒に与え、委ねる方法を考えても良いのではないでしょうか。

■中川 生徒が自ら学び、さらに学び合う仕掛けやデザインですね。個別最適な学びや多様な学びを支援する「学びのツール」があれば、新たな授業デザインづくりに移行しやすくなりそうです。

今取り組んでいる共同研究では、様々な辞書や関数電卓など、高校生の学びに必要なツールとデジタルノートを融合し「自ら学ぶ」「学びを連続していく」仕組みの構築を考えています。

■松下 「紙を出しなさい」「書きなさい」等の教員による学習指導のコントロールから脱却し、自分が必要なタイミングで調べる、書き込める、まとめることを促す仕組みは、学びの主体を生徒に委ねる授業デザインになりますね。

■寺嶋 個の学習の学びと深まりを支援し、協働につなげていく仕組みにも、ClassPad.netはマッチします。

協働学習について、小中学校では多くの事例がありますが、これを高等学校に展開するためのツールになれば良いと考えています。

地方の学校では教科担当が不足し、他校と合同して遠隔授業を展開する仕組みが始まっていますが、ツールを使って異なる学校の生徒同士の知がつながることで、各校のニーズを満たすことができるのではないでしょうか。

■中川 授業作りに取り組んでくれる協力校を依頼して、グッドプラクティスを出していきたいですね。

■松下 1人ひとりが自分の学びを理解し、振り返り、学びをつないで関連付けるための第一歩は「振り返り」にあります。他の生徒や他者の知とつながることは、生徒の力を振り返り、学び直し、発揮するきっかけになります。

環境の変化は、学びを変える布石になります。学びの進化や社会の状況に合わせ、授業スタイルも学びのツールも、改善し続けていくことが大切です。

高等学校の独自性を発揮する機会に

■寺嶋 これまで教員は「何を教えるか」を考える必要がありました。特に高等学校では、その傾向が強くありました。

新学習指導要領では、小中高等学校を通じて生徒の学びをどう支えるかが中心になっており、ICTを通じた学びが前提になっています。

そこを教員が理解して支援の方法や環境、お膳立てを考えることが必要です。

■松下 1人ひとりが学ぶ力を蓄え、それを活用する文脈作りと、生徒の自由度を保障する教員の勇気が求められている、と感じます。生徒の意見も取り入れて臨機応変かつ柔軟に対応するという教員のスタンスは、新しい学びに向かうきっかけになります。

■中川 これまでも、小中学校で身に付けた力を踏まえた学習が行われてきました。今後は、GIGA環境で身に付けた力を踏まえた学びの展開が求められます。

現場の混乱は、しばらくはあるでしょうが、11台端末活用を真正面から考えざるを得ない状況を前向きに捉えてほしいと考えています。

高等学校には、小中学校以上に、各校に独自性があります。新学習指導要領、探究の時間、そして11台端末は、その独自性をさらに発揮するチャンスともいえます。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年7月5日号掲載

 

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■基調講演「授業支援」から「学習支援」へ
中川一史教授(放送大学)
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