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教育ICT

第48回全日本教育工学研究協議会(JAET) 全国大会でクラウド活用を公開

2022年12月6日

ワークショップで藤山台中学校・坂下中学校が討議

ワークショップ「次世代学校支援システムを通して、これからの『元気な学校』の可能性を拓く」では、公開授業を終えたばかりの春日井市立坂下中学校・田中雅也校長と藤山台中学校・梶田英男校長が講演。また、新しい校務環境の在り方について田中校長、梶田校長、(株)EDUCOMカスタマーサクセス部の木下氏、ネットワークサポート・ヘルプデスク・ICT支援員を担当する鈴木氏が討議した。コーディネータは玉置崇・岐阜聖徳学園大学教授。春日井市では「EDUCOMマネージャーC4th」や「スクールライフノート」、「C4th Home & School」等を活用している。

公開授業を終えたばかりの坂下中学校・田中雅也校長と藤山台中学校・梶田英男校長、EDUCOMが「元気な学校づくり」をテーマに討議した。コーディネータは玉置崇・岐阜聖徳学園大学教授

公開授業を終えたばかりの坂下中学校・田中雅也校長と藤山台中学校・梶田英男校長、EDUCOMが「元気な学校づくり」をテーマに討議した。コーディネータは玉置崇・岐阜聖徳学園大学教授

多様な視点で子供を支える

–JAET大会の公開授業校となったことに、ワクワクしたか

■田中 新しい学習指導要領が全面実施となり、また、GIGA環境が整ったタイミングでの授業公開は、学校全体の目標とする良いチャンスと受け止めた。

■梶田 公開授業校に決まってから本校に赴任したため不安はあったが、教員が前向きで、新しい学習指導要領を実現するためにはこの環境を利用するしかないと、共に頑張ることができた。

公開授業が終わった。ワクワクする気持ちは増したか

■田中 子供が変わり、教員も変わった。今では校内授業研究会を教職員主体で繰り返すことが当たり前になっている。

■梶田 子供の学びが主体的になった。これが継続できれば良いとワクワクしている。

学校運営の責任者としてどんなときにワクワクするか

■田中 管理職・校長の存在感がどんどん薄くなっていると感じるとワクワクする。教職員が同じ方向に向かって協働することが当たり前になり、生徒の幸せに結びつく良い授業ができることの幸せを実感している様子があり、教職員集団としての成熟を感じている。

■梶田 様々な制限の中、工夫を凝らして生徒が新しいチャレンジをするたびにワクワクする。

子供の未来にワクワクをとどけるにはどうすれば良いか

■木下 まずは多忙な先生自身がワクワクできる時間的余地を提供できるようにすることが大切なのではないか。

■鈴木 ネットワークサポート、ヘルプデスク、ICT支援員を担当する立場としては、先生の新しい取組やチャレンジを提案・支援したい。

■玉置 新しい関わり合い方は新しい挑戦につながる。

スクールライフノートは今後、どのように活用サイクルを進めていくのか

■梶田 「心の天気」は使いやすい。「学びの天気」については、これまで使っている紙のノートを継続したいという声もあるので、組み合わせて使っている。

■田中 多方面から子供を見て支えることはシステムでもできる。どのような方法を選択するのか、判断していきたい。

■玉置 1000校以上導入されていると、様々な使い方が生まれる。「学びの天気」を授業のめあてや自分の課題の記入、ふり返りとして活用している例もある。互いのふり返りを読み合えるメリットは大きい。

調査によると、教員と子供の関係づくりが学力に大きく影響することが明らかになっている。一般に、就学援助率が高いほど学力は低い傾向にあるが、就学援助率が50%以上でありながら学力の高い学校の子供は「先生は私の気持ちを分かってくれる、期待してくれている」と考えている。様々な方面から子供を見取るチャンスを生かしてもらいたい。

■田中 前任校は就学援助率が3割程と高めであったが、人間関係づくりなど安心感をもって取り組める学習環境と、あきらめずに粘り強く取り組むことや学ぶことの意義の周知にこだわり、繰り返し生徒にメッセージを送り続けていた。前任校でGIGA環境を活かし先進的な取組が行われ成果を上げているのは、その素地・基盤があってこそ、と感じる。

■梶田 学校が安心できる場であれば、力を発揮できるようになり、考える力も表現する力も上がってくる。

■鈴木 今までは伝えるだけで終わっていた。「心の天気」は、伝わったかどうかを先生と子供がお互いに確認することができる。

■田中 コロナ禍、学校は保護者・生徒に向けさまざまな情報発信をした。それが伝わったかどうかがわかる双方向の仕組みへの改善はとてもありがたかった。

未来の仕組みで求められるものは何か

■木下 データが連携することで、周りの大人が子供をより深く、多面的に理解できるようになること。それにより子供を見守る大人同士もこれまで以上に一体感を持って子供に接することができるようになる。また、子供自身が自分のデータを見ることで、自身の成長と現在の状態を確認できることも必要。子供自身が自分の状態を把握し、より良い選択ができる、そんな支援ができる仕組みを構築していければと考えている。

また、スクールライフノートに学習eポータル機能を搭載する予定。シングルサインオンで様々なアプリやツールにアクセスできるようにし、子供の行動導線としてシステムが利用できるようになればと考えている。

■田中 自分の健康や安全を子供自らが確認できること、つまり自分を見つめることができることはとても大事。例えば健康・安全について、活動量や姿勢、目の疲れ等、メタ認知できるツールとしてウエアラブル端末の子供版があっても良いのではないか。

■鈴木 過去にそういったウエアラブル端末「EDUCOMウオッチ」の構想があった。この時代だからこそ改めて再検討したら面白い。

未来にワクワクをとどける上で子供たち、さらには先生もワクワクするために何をしていくことが必要か

■田中 学校生活を送る中でデータが溜まり、子供たちがそのデータをどのように活かしていくのかを学び、経験していくことが必要。そのためにもアプリやシステム利用、データ活用に過度な制限をかけるのではなく、チャレンジしたり、トライしたりなど、とにかくやってみる、という考え方や環境も重要。そうした中で子供自身が「こんな仕組みなんだ」「こんな活用ができるんだ」といった気づきとともにワクワクが生まれ、そんな子供たちを支える教員もその姿を見てワクワクするといった好循環がされると良い。アプリやシステムはそういった取組を支えてくれるとありがたい。

藤山台中学校 梶田英男校長
ふり返りの充実で次の学習に意欲

どの教科でもICTを使うことができるように「藤中スタンダード」を決めて取り組んでいる。「授業の流れをGoogleクラスルームに投稿→スライドでまとめ→スプレッドシートでふり返り」というものだ。ふり返りの充実は、次の学習の意欲につながる。昨年度の1年生は、藤山台小学校で先進的に取り組み、当時の上級生よりもスキルが高かったため、授業活用について提案してもらった。

ICT活用を支えるには、情報モラルや端末操作スキルも重要。今年度7月まではほぼ毎月、情報活用学習として実施。9月から生徒会が中心となり端末活用のルールの見直しを行っている。

タイピングテストは毎月実施。現在は1分間で平均90文字以上入力できる。

学期ごとに授業活用アンケートも行っている。端末活用で、より良い学びに向かっていると考えている生徒は977%である。主に「友達の意見を共有できる」点を評価するコメントが多い。

生徒はICT活用に慣れることで主体的になり、デジタル環境を自由に活用している。そのとき教員に求められることは、タイミングの良い価値づけだ。正誤判定者にならないことが生徒の主体性を育んだと考えている。

■スクールライフノートで毎日の活用を習慣に

本校では毎朝、心の天気に記入させている。教員はスタンプやコメントを返すことができる。これは、端末を毎日活用するための習慣づけに役立った。毎日記録することにより子供の変化に気付くこともできる。

「学びの天気」は、授業のふり返りや感想を、時間割ごとにマークで記入できるもの。教科や月別、日別で変化を一覧することにより、発見がある。その日学習した内容は、テキストでまとめ、教員はそれにコメントを記入することができる。「学びの天気」を教科のふり返りシートとリンクさせている例もある。

坂下中学校・田中雅也校長
日常的な授業改善を繰り返す学校文化に

2021年度当初は、慣れている教員を中心にGIGA環境を活用し、他の教員はそれを見ながら学ぶ様子があった。今年度は、年度当初から教員も11台環境で打ち合わせや研修を行うのが当たり前になった。

昨年度から「TTP:徹底的に真似る」「NNT:とにかく慣れる」を合言葉に、そして本年度は「NNC:さらに慣れる」ことを合言葉に、GIGA環境を活用しながら、年3回の校内授業研究会を軸とした日常的な授業改善に全校で取り組んでいる。

まず、朝の景色が変わった。学校情報アプリ「C4th Home&School」と校務支援システムの出席簿が連動しているので、保護者から欠席連絡が届くと、端末で教室からも確認でき、確認・承認により出席簿にも反映され、確認がすんだか否かまで一覧表示される。個別に返信もでき、保護者も都合の良いときに連絡できると好評だ。電話連絡はごく一部の保護者のみになった。部活動ごとの設定もでき、スマートフォンからも発信・閲覧ができるので週末などにも活用している。生徒による毎日の検温報告もアプリで行うようにした。

校内フリースクール(登校支援室)では、jamboardで子供の居場所を共有したり、チャットで活動情報を共有したりしている。

生徒会活動でも生徒がGoogleサイトで情報発信したりスプレッドシートで生徒総会の質問・回答をまとめたり等、ICTGIGA環境を積極的に活用している。

日常的な授業改善を繰り返すことで主体的に学び続ける生徒を育てるために、上手にGIGA環境を活用しながら、教職員が同じ方向を向いて協働することを文化にしたいと考えている。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2022年12月5日号掲載

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