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教育ICT

「集金代行サービス」の全校導入を教委がバックアップ~みなかみ町教育委員会・群馬県

2025年7月23日
学校業務改善・校務DX

学校徴収金のデジタル化が全国に広がっている。群馬県利根郡みなかみ町教育委員会(小学校6校・中学校1校)でも全校で学校徴収金の集金代行サービスを導入する。そのうちみなかみ中学校では昨年度から導入済、水上小学校では2学期から活用が始まるところだ。

同町では昨年度、みなかみ中学校での導入をきっかけに教育委員会がバックアップ。町内の全校導入に至ったという。その経緯を、昨年度同中学校で本取組を担当した事務職員の吉野敦幸氏(みなかみ町立水上小学校)に聞いた。

みなかみ中学校では2024年度から集金代行サービスを導入。水上小学校(写真)では2学期から活用できるように準備中

導入前――開校初年度は現金徴収

みなかみ町では2022年度に中学校4校が統合されてみなかみ中学校となりました。私は2020年度から統合準備委員会の1人として統合に関わっていました。

学校統合により徴収する生徒数が増えるため、学校徴収金の集金方法は統合準備委員会の議題の1つでした。当時の選択肢は「口座振替」と「現金徴収」の2つの方法でしたがこれまでの経験から、現金の方が徴収率が高く、保護者の銀行口座開設関連の業務も不要になるという判断により、初年度は現金による集金としました。

しかし開校後、実際に現金で集めてみると、300人以上の生徒が1人につき1万円以上を持ってくるため400万円弱の現金が学校に一気に集まることになり、徴収期間は毎日のように銀行に行く必要がありました。

銀行は学校の近くではありますが校外に数百万円単位の現金を携行することには大きなプレッシャーもかかります。また、教員も生徒から集金袋を集める、そこから現金を出す、その金額を確認するなどの管理も大変だったのです。

そこで次年度からは異なる集金方法を検討しようということになりました。

検討開始・情報収集――コンビニ支払いができる仕組みを探す 

しかし口座振替にした場合、保護者は、金融機関が指定する口座を作る必要があります。以前行った経験から、あえて導入したい方法ではないと感じていました。

既に口座を所有しているご家庭の場合は良いのですが学校徴収金のために新規で口座を開設する場合、通帳の印鑑が誤っていた場合は学校から保護者に電話をして修正を依頼する必要もあります。

入金忘れも発生しやすく、未納のお知らせも都度、必要です。口座の確認や金融機関のやり取りについても手間がかかり、4月当初の多忙な時期に学級担任の仕事が増える可能性があります。

そこで金融機関を介さずコンビニエンスストアで支払う方式にしたいとインターネット検索で製品や事例などの情報を収集したところ、リコーリースの集金代行サービスである公立小中学校専用プラン「スクールコレクト」の導入事例を見つけたのです。

導入校にヒアリング

早々に導入校のうち2校(群馬県渋川市渋川北・金島中地区共同学校事務室と埼玉県春日部市立東中学校)の事務職員に連絡をして、使い勝手などをヒアリング。

2校それぞれやり方は異なっていましたが、両校とも第一声が「とても良い。回収率も高い」というものでした。1校は口座振替を基本として間に合わなかった場合はコンビニ決済をする仕組み。もう1校は最初からコンビニ決済をする方法でした。さらにリコーリースを含め類似サービスをもつ他事業者にも説明を受け、スクールコレクトを導入したいと考えました。

大きな理由が、コンビニエンスストアでの入金のほか、自宅からスマートフォンを利用したキャッシュレス決済もできる点です。

本町は山間部にあり、みなかみ中学校の校区は広く、スクールバスで1時間近くかかる生徒もいます。中にはコンビニエンスストアが近隣にない地区もあることから、自宅からでも決済できる点が大きな決め手となりました。コロナ禍を経て保護者がキャッシュレス決済に慣れていることもあり、利便性が高いと考えました。

導入に向けた準備――保護者の理解を得る

本仕組みでは、回収手数料のほか、保護者が学校に入金するごとに振込手数料が必要です。そのため、年間の支払い回数や1回ごとの入金額についての保護者の理解が必要です。

みなかみ中学校では当初、PTA予算で利用を進める方向で2学期にPTA本部役員会に打診。同意を得てPTA総会で決議を得ることとしました。同時並行で学校運営に関して討議する校内運営委員会に集金代行サービスの導入について相談し、同意を得て、集金回数は年3回、1回につき集金額は1万~15000円程度とすることとしました。

職員会議で周知した際も特に反対意見はなく、学年の集金担当は「もう銀行に行かなくてよくなるのですね」と喜んでいました。

導入後――当初から高い回収率

2024年度から導入を始め、回収率は当初から95%以上と高く、学校で集金袋を集める、現金を数える、集金担当は早めに出勤するなど細かい作業がなくなりました。

保護者からは「子供に現金を持たせる必要がなくなってありがたい」という声も届きました。自宅からのキャッシュレス決済の利用率も高く、全体の約3割程度が利用していました。

必要な作業は、リストの作成と払込用紙の印刷です。万が一払込用紙を紛失しても、一度データを作成しておけば、すぐに印刷することができます。

教育委員会が予算化

みなかみ町では毎年10月、教育委員会が各学校の管理職、事務職員を集めて次年度予算に関する要望をヒアリングする会を実施しています。

2024年度に向けた予算ヒアリングでは、みなかみ中学校の集金代行サービス導入について教育委員会に報告。学校徴収金に関する事務作業は自治体で効率化を進めることが望ましいという文科省の方針を確認し、システム利用料の教育委員会での予算化についての検討を依頼しました。

すると教職員の働き方改革になり、現金を取り扱う必要もなくなるということで予算化されました。さらに、全校に同システムを導入することとなりました。

全校同じ仕組みで効率化

群馬県では共同学校事務室を設置しており、事務職員が月に数回集まって事務処理を行っています。全校で同じ仕組みを導入することで、事前のデータ作成や担任との連携の仕方など事務処理の流れが同じになり、連携しやすくなります。

また、教員が異動した際も新しい仕組みを覚える必要がなくなり、保護者にとっても、小中学校で同じ仕組みであることで利便性が高まります。

1円単位になりがちな徴収金ですが、電子決済の場合、つり銭などを用意する手間も不要です。一方で納付回数が減り1回あたりの納付額はこれまでよりも大きくなったため、例えば2学期の集金額は1学期中に保護者に連絡する等、早めに周知をしています。

これまで大変であった納付状況のチェックについては、現在はPC上で確認することができ、かつ学級担任も学年会計担当も見ることができて共有しやすくなりました。

予想以上にスムーズに全校に新たな仕組みを導入することができ、様々な効率化が図られ、教育委員会のバックアップに感謝しています。

教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年7月21日号

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