つくば市教育委員会教育長であり、長年にわたりいばらきコンピュータ活用教育ネットワーク会長を務めている森田充実行委員長に、JAET茨城つくば大会の見所について聞いた。
森田充教育長 茨城つくば大会実行委員長/いばらきコンピュータ活用教育ネットワーク会長
「つくばから発信!未来を創造する次世代の学び」をテーマに、幼稚園から高校まですべての校種で公開授業を行います。
本市では「つくばスタイル科」を通してICTを活用した探究的な学びを展開しており、プログラミング教育も全国に先駆けて2017年度に小学1年生から中学3年生までの全学年で必修化しています。
生成AIの教育活用については、当初は英語のスピーチ練習から始め、現在は「学びの伴走者」として新たな意見をもらったり、ふり返りの質を高めたりする活用が広がっています。
JAET大会に向けて各校では、協働して指導案を作成しており、教育委員会指導主事による「学び推進訪問」を、通常よりも回数を増やし、かつオンラインツールも利用しながら伴走してきました。
幼稚園では、ICT活用のタイミングや方法を工夫しながら創造的な表現を引き出す研究に取り組んでいます。
当日はよい活動を見られることを期待しています。
今回の授業公開校のうち竹園高校、竹園東中学校、竹園東小学校、竹園西小学校、竹園東幼稚園はすべて竹園地区で極めて近隣にあることもあり、通常から授業交流や研究会を行っています。幼・小・中・高と一体的に進めることが可能である点も、モデルとして全国に発信したいと考えています。
このうち竹園東小学校は、全国で初めてPC活用に着手した学校で、当時利用していたPCなどが展示されています。
公開される授業の数も多く、当日は本市の子供たちが「ホンモノの問い」を持ち、ICTを利活用して、多様な他者と対話をし、実験や観察を通して試行錯誤を繰り返し探究する姿を多くの方に見ていただきたいと願っています。
パネル討議で各校の実践を網羅
パネル討議では授業公開校が2組に分かれ、各校の研究主任と、各校を伴走してきたJAETの役員が登壇します。JAETの役員は、本市がICT活用に取り組んできた当初から長年にわたりお世話になった方々です。
これまでのICT活用の歴史を踏まえながら新たな実践についてご助言いただける充実した内容になることでしょう。
すべての学校の授業公開を見ていただきたいところですが、パネル討議により全校の実践の成果を共有できればと考えております。
パネル討議を始めとする全体会は当日の申し込みも受け付けています。子供とともに教員も学ぶ姿を見ていただき、それぞれの学校に持ち帰っていただければと考えています。
2授業公開。研究テーマは「創造力を豊かにするICT活用~表現する楽しさを味わうための環境構成~」。「遊び」を通して学びの芽生えを促すプロジェクトとして「食育」「科学の芽」「豊かな感性」に取り組む。
12授業公開。研究の3本柱は「教科×ICT=個に【応じた】学習」「探究×ICT=個を【伸ばす】学習」「教科・探究×生成AI=個々の学びの【伴走者】としての生成AI活用」(リーディングDXスクール)。
12授業公開。「竹園スタイルの学び」とは児童自身の問いから始まる課題設定、仲間との対話、多面的・多角的な視点から熟考する活動。ICTを活用する学習活動を「探究・記録・整理・再考・共有・比較・作成・発表・深化」の9つのプロセスに分類して独自の羅針盤としている(リーディングDXスクール)。
13授業公開。「生徒が自己決定・自己調整する学習」「創造力を高める効果的なICTの活用」「ルーブリックの活用とふり返りの充実」に重点的に取り組んでいる。生成AIによりふり返りの質を高めることに挑戦(リーディングDXスクール・生成AIパイロット校)。
34授業公開。VRやAR、生成AIなど最先端の機器等を積極的に学びに活用。園生の対話力、教員のファシリテート力を向上させるために、全学年で朝鑑賞の時間を設定(生成AIパイロット校・パナソニック教育財団実践研究校)。
16授業公開。ICTや生成AIを取り入れた授業デザインを各教科で展開。探究の充実を図っている。生徒のふり返り記述の質的変化や学習意欲を分析し、授業改善に資する枠組みの構築を目指している。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年10月20日号