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図書館

学校図書館を築く自治体の挑戦(1) 荒川区-1

2016年10月3日
連載

学校図書館は法的な位置付けとして、その目的を「学校の教育課程の展開に寄与する」とされている。一方で利用状況については自治体や学校間で大きな差があるようだ。学校図書館を子供たちの学びの礎としている自治体ではどのような施策をとっているのか。本連載で考える。

司書教諭と学校司書の打ち合わせ週2時間を確保

継続した活動のために

瀬下校長(右)小長谷教諭(中)山下学校司書(左)
右より、瀬下校長、小長谷教諭、山下学校司書(峡田小学校)

学校図書館を学校教育の柱に据える東京都荒川区。平成16年度に学校図書館蔵書管理システムの整備を開始し、17年度に学校図書館指導員(学校司書)を2校に配置した。18年度には「荒川区学校図書館活性化計画」を策定、公立の全小・中学校で学校図書館図書標準を100%達成。21年度からは区内の全小中学校に学校司書を週5日6時間勤務で配置している。今年度からは「司書教諭と学校司書が授業での学校図書館活用に関する打ち合わせ時間(以下、打ち合わせ時間)」として、週2時間を確保した。

同区立峡田小学校の瀬下清校長は「司書教諭や学校司書が残業して準備や打ち合わせをするのは限界があり、継続しない」と語る。一般的に司書教諭は学級担任も持ち、小学校なら担任の学級の、中学・高校は教科の授業を行う。〝司書教諭と学校司書の打ち合わせの時間が持てない〟というのは、多くの現場で共通の悩みだ。

昨年同校に赴任した小長谷啓子司書教諭は、日本語の専科として、各学級の日本語のサポートが必要な児童を指導している。担任は持たないため、休み時間に学校図書館に行くことはできたが、打ち合わせの時間は不足していた。

講師の補充も実現

峡田小の学校図書館
峡田小学校の学校図書館。隣接する別室に情報ファイルコーナー等もある

今年度からの小長谷教諭と山下希望学校司書による「打ち合わせ時間」の主な内容は①授業に関するもの②コーナー作りなど図書資料の整備③児童の図書委員会活動④蔵書など。①について小長谷教諭は「自分は各教員と学校司書との橋渡し役」と話す。全教員が日常的に授業で学校図書館を活用する同校において重要な役割だ。小長谷教諭は授業を行う教員からの図書資料等の要望を伝え、山下学校司書はスムーズな授業に向けて準備する。

今年度初めて「調べる学習」の2時間の授業を全学級で実施した。小長谷教諭は各担任へ授業時間確保を働きかけ、実際の授業も担任と共に行い、山下学校司書は学習材などを準備。計画的な実施に結び付いた。時間の確保によって、今後の授業計画といった中長期的な展望も山下学校司書とじっくり話し合えるようになった。現在、情報リテラシーの授業を計画中という。

「打ち合わせ時間」確保のためには、授業を代わりに行う教員の補充も必要だ。小長谷教諭の場合は木曜日の5時間目と、金曜日の2時間目の授業を講師の時間に充て、司書教諭としての業務を行う時間に充てている。同区では現在、全校を対象に2時間の講師を補充する制度を実施。現場の細かいニーズを教育委員会がすくい上げ、同制度が実現した。(11月7日号へ続く)

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