
安田アニータ/文
清水裕子/絵
おおつかのりこ/訳
西村書店
A4変型判 41頁
2200円
登山家、田部井淳子の伝記絵本。女性として初めて世界一の山エベレストに挑んだ。高く、高く、てっぺんめざして!
10歳で山登りの楽しさを知った淳子は、出産後、女性たちを集めて登山隊を結成。綿密な計画を立て、トレーニングを重ねるが、エベレストに登るためには資金が必要。多くの企業に頼むと「女は家で子どもを育てなさい」と断られる。登山道具が高くて買えず、水を通さない車カバーから手袋を、冬用のカーテンからあたたかいズボンを作った。
4年後にようやく開始できたエベレスト登山では、氷と岩が寝ていた淳子たちのテントを押し流す。淳子は立ち上がることさえできない--。
田部井淳子は、その後も世界76か国の国内最高峰を踏破。一方で山の環境問題に取り組んだ。エベレストは捨てられたテントや酸素ボンベで汚れていたため「山に持ち込んだものはすべて持ち帰る」ことを訴え続けた。
原書はアメリカで出版された。彼女の生き方からは、あきらめずに夢を追い、困難を切り抜ける力が伝わってくる。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2025年12月8日号掲載