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図書館

第54回日本子どもの本研究会全国大会開催~授業実践や読書会 YAの発表も

2022年9月27日

「未来をひらく子どもと本―たしかな つながりを はぐくむ―」をテーマに「第54回日本子どもの本研究会全国大会」が7月30・31日、国立オリンピック記念青少年総合センター(東京・渋谷区)で開催された。主催は(一社)日本子どもの本研究会。一昨年、昨年はオンライン開催だった本大会だが、今年度は対面での開催となった。作家・ノートルダム清心女子大学附属図書館長・児童学科教授の村中李衣氏による記念講演「絵本の読みあいから見えてきた物語の力―女性受刑者との関わりを中心に―」をはじめ、2日間に渡って25の講演や講座、読書会、分科会が実施されたほか展示発表も。教員ほか教育関係者、公共図書館司書や職員、さまざまな分野の人が参加した。

731日に実施された学校教育に関する分科会を中心に紹介する。

■分科会【小学生と読書】低・中学年と高学年における実践をそれぞれ紹介した。

▽東京都公立小学校元司書教諭・現在講師を務める熊谷多津子氏は「低学年の図書館年間指導と選書のポイント」として、低学年・中学年での実践を紹介した。2021年度は123年生11学級の11時間を担当。低学年の図書館利用・活用指導を系統的に行った。各学年で、読書ノートに沿ってオリエンテーションを行ったほか、「学び方ノート」としてプリントを作成し、学期に2回程指導を行う。

学び方ノートでは「分類」に特に力を入れたという。例えば1年生では、絵本の並び方、図書ラベルの見方を解説。絵本にはってある「E」のラベルを紹介したり、クイズ形式でラベルを探してみる。23年生では、本の分け方・並び方、本の分類10区分と内容、ラベル記号の仕組みに取り組み、学年に合わせた丁寧な説明を積み重ねていった。

高学年が本を手に取る工夫を紹介(西内氏)

高学年が本を手に取る工夫を紹介(西内氏)

▽東京都公立小学校教諭の西内牧子氏は、高学年の担任として取り組んできたことを紹介した。

放課後は習い事や塾、宿題と、多忙な高学年。学級30人中10人程が中学受験をする。本と向き合う時間と心の余裕を持つことが難しいが、「厳しい状況だからこそ、心を癒したり、人とのつながりを感じたり、友達と楽しさを分かち合う喜びを感じたりできる『本』の魅力を教室で伝えたい」と考えているという。

「高学年は子供によって読書力に差があり、見極めるには時間がかかる」。多忙な子供たちに本を出合わせるための工夫の1つは、学級づくりの一環としての取組だ。子供の手の届くところにタイムリーな本を置くために、最近出版された本や今学習している内容、世の中の出来事と関わりのある本を公立図書館から借りてきて、朝の会で紹介する。1冊の本のページをバラバラにして子供たちに渡し、順番に並べ替えるゲームをする“本で遊ぶ”取組も。

国語の学習では5年生「この本、おすすめします」で、2年生に読み聞かせするのにぴったりな本を近隣の公立図書館で11冊選び、班ごとにビブリオバトルを実施。チャンプ本を決め、読む練習をして2年生に読み聞かせをする。

本の著者を招いての授業では、授業の後、子供たちの感想を著者に送った。著者からの返事がきたことで、子供たちがさらに積極的に作家へ手紙を書くようになったエピソードを紹介した。

高学年で本と出会わせる工夫の1つは“あせらず じっくり おしつけず”だという。「この本が面白かった、とさりげなく伝える」ことが大切だ。

 

■分科会【学校図書館・探究的な学び】副題は「多様な情報とつなぎ、子どもの学びを支える学校図書館の役割」。

▽東京都杉並区小学校司書の土屋文代氏の勤務校は、ICT活用推進校。着任当初、調べ学習ではインターネット活用が中心で、図書資料の活用が少ない状況だった。“なぜ学校図書館が使われないのか”を考えるために、ICTの校内研究会に参加するほか、教員の困り感から課題を整理するなどした。情報担当教諭との連携、ICT支援員のサポートなど教職員の協働などについて紹介。

中学校の学校図書館の活用のようす(道浦氏)

中学校の学校図書館の活用のようすを紹介(道浦氏)

▽兵庫県神戸市の中学校司書の道浦百合氏は、授業支援の事例として、2年理科「自由研究テーマ設定」、3年家庭科「幼児と絵本」の授業実践などを紹介した。

現代の中学生は、Z世代と呼ばれ、自分の好きなものを好きなタイミングで好きなだけ得ることができる環境で育っている。それは一斉授業のみのスタイルとは相性が良くない、とも言える。

「学校図書館の良さは、“同級異材”であること。同じ学校の生徒たちが、違う教材でお互いの尊厳を傷つけることなく学べる。個別最適な学びと、協働的な学びにも結び付く」と語った。

 

■分科会【中高生の読書】「SNSYA(ヤングアダルト)の読書Life」をテーマに、中学生から大学生まで、5人のYAが語る本のある生活を紹介。
中・高・大学生が登壇者・司会となる分科会も(中高生の読書)

中・高・大学生が登壇者・司会となる分科会も(中高生の読書)

SNSで出会うアートと本と人と」(後藤瑞穂さん)、「ココア共和国から広がる詩の世界」(岩井路加さん)、「川の図書館 BOOKSwapJapan(熊谷沙羅さん)、「本と居場所」(熊谷大輔さん)、「『趣味=読書』ではない中学生の僕(運動部員)の本の探し方」(須藤零さん)の発表のほか、特別ゲストとして大阪国際児童文学振興財団・土居安子氏がYouTube版「本の海大冒険」YA編を紹介した。

※  ※  ※

(一社)日本子どもの本研究会は、1967年、学校の教員や学校司書、公立図書館の司書や職員、読書ボランティア、作家や大学の研究者など、さまざまな分野の人たちにより設立された。全国大会や講座、セミナーは、会員以外でも参加が可能。HP=https://www.jasclhonken.com/

教育家庭新聞  健康・環境・体験学習号  2022年9月19日号掲載

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