愛知県大府市では、富士ソフトの教育メタバース「FAMcampus」を活用した長期欠席児童生徒支援事業が4年目の運用を迎えている。
全国的に不登校児童生徒数が過去最多を更新し続ける中、同市においても2019年からの6年間で長期欠席傾向にある児童生徒数が約2倍に増加。外出が困難であったり対人関係に不安を抱えたりする子供たちへのアプローチは、自治体や教育現場における重要な課題となっていた。こうした状況を受け、市は従来の対面型支援に加え、オンライン空間を活用した新しい居場所と学びの提供へと舵を切った。

大府市は2023年度に「おおぶレインボープラン」を策定し、総合的な長期欠席者支援を推進している。その中核施策の一環として導入されたのが、教育メタバースを活用した支援事業だ。
導入にあたっては、単に仮想空間を提供するだけでなく、富士ソフトの「不登校支援パッケージ」を採用。メタバース空間の整備に加え、子供の特性に配慮したカリキュラム、専門性を備えた講師、そして一人ひとりに寄り添う不登校支援専門員の4要素を統合した体制を構築した。市と民間事業者のノウハウを融合させることで、企画立案から日々の運営支援まで一貫した伴走型のアプローチを実現している。
支援の枠組みとして、大府市は毎週火曜日と木曜日の9時15分から12時10分の時間帯にFAMcampusを開放し、1日2コマのプログラムを提供している。
学習内容には、小学1年生から中学3年生までの範囲を各自のペースで進められる教科学習を設定。さらに、子供たちが意欲的に参加できるよう、謎解きゲームやプログラミングをはじめとする趣味・実用系の授業を積極的に取り入れている。
加えて、子供たちが自身の作品や好きなものを発表できる展示会を開催するなど、自己表現や他者との緩やかな交流を楽しめる機会を設けた。安心できる空間の中で、自身のペースに合わせた学習と社会性の育成を同時にサポートする設計だ。
事業の継続に伴い、児童生徒の参加率は年々上昇し、メタバースが日常的な居場所として定着してきた。毎年実施しているアンケート調査では利用満足度の向上が確認されているほか、保護者からも「子供の変化を感じた」「事業を評価できる」といった前向きな評価が増加している。
市教育委員会では、長期欠席傾向にある子供たちに対し、一人ひとりの状況や思いに寄り添った多様な学びと居場所の確保が極めて重要であると捉えている。「誰一人取り残さない」という基本理念のもと、市は今後も多角的な支援を通じて、子供たちが安心して学び成長できる環境づくりを推進していく構えだ。