無線通信機器大手のアイコムは、9月1日の「防災の日」より、高等学校やPTA、地域の防災組織などを対象とした「無線機を使った防災訓練の教育プログラム」の無償貸与を開始する。
本プログラムは、基地局の被災などによりスマートフォンの通信障害が懸念される大規模災害時に備え、代替の通信手段となるトランシーバーの有用性や使い方を実践的に学ぶもの。5月から開始した中学校向けの無償貸与において好評を得たことから、今回対象枠を拡大した。


貸与されるトランシーバー
プログラムは1コマ(45〜50分)で完結する構成となっている。はじめに無線機の解説動画(約9分)を視聴し、次にロールプレイング形式の防災訓練(約20〜30分)を実施、最後に全体での振り返り(約5分)を行う。対象人数は1クラス40人程度を想定している。
訓練は、生徒が4つのチーム(避難者発見、食料情報収集、非常食発見、作戦本部)に分かれて行う。校舎内にあらかじめ配置された情報カードを探索し、発見した情報をトランシーバーで共有しながら、避難者の安全な場所への誘導や必要となる食料の確保といったミッションの完遂を目指す。ルール説明などの進行役は教員が担う。
貸与される機材・教材は、免許不要で交信できるトランシーバー20台、教員用の指導マニュアル、生徒用のワークシート、訓練用のカード一式。
貸出期間は教材到着日から最大14日間となる。往復の送料を含め学校側の費用負担は発生しない。申し込みは同社の特設サイトにて受け付けており、教材の到着希望日の3カ月前の月末が締切となる。なお、1カ月あたりに貸与できる学校数は2校程度としている。

行田市の中学校での授業の様子
すでに本プログラムを利用した学校からは、実践的な学習効果を評価する声が寄せられている。
埼玉県の行田市立長野中学校の安藤秀一校長は、基地局の被害によってスマートフォンが使えなくなるリスクに対する生徒の関心が高かったと指摘。「安全な場所にいる人と連絡が取れれば救助を求めることができ、逆の立場であれば自分が助けることもできる」と、無線通信を学ぶ意義を語った。
また、大阪府の桃山学院中学校の田中智晴教頭は、「教員の意識を高める上でも有意義であった」と述べ、生徒のみならず教員に対する有効性も実感している。さらに、岩手県立久慈湘北高校の菅原彩教諭からは、自校の設備や備蓄状況に合わせて情報カードを自作したり、AEDの演習を組み合わせたりすることで、より生きた教材として活用できるとの応用例も示されている。
