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ユネスコ登録10周年迎え和食会議合同部会を開催~日本の普遍的な食文化継承し世界へ発信

2023年3月3日

「和食:日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されて10周年を迎えた。(一社)和食文化国民会議(以下、和食会議)は「ユネスコ無形文化遺産登録10周年~『和食』を未来へ~」と題し、2022年度和食会議合同部会を2月6日に開催。講演やパネルディスカッションを通じて「和食」の現状と課題、今後の展望について話し合われた。

【基調講演】
登録までと今後を展望 和食文化国民会議 熊倉功夫名誉会長

和食文化国民会議熊倉功夫名誉会長

和食文化国民会議 熊倉功夫名誉会長

和食会議の熊倉功夫名誉会長は基調講演で、ユネスコ無形文化遺産登録10周年をむかえた和食の登録までの背景、これを踏まえた和食の今後の展望について語った。

20117月、日本食文化をユネスコ無形文化遺産に登録するため検討会が設置されたが、登録に向けて様々な課題が見えてきた。食文化がユネスコ無形文化遺産として登録されたのは「フランスのガストロノミー」「地中海料理」「メキシコの伝統食文化」の3例だけだった。食文化を無形文化遺産として認めてもらうには2つの道があったと熊倉氏は語る。

1つ目は少数の人たちにより受け継がれている貴重な食文化を認めてもらうもの、2つ目は国が持つ普遍的な食文化を認めてもらうもの。1つ目の貴重な食文化は認定が容易だが、全国民が認めてもらって良かったと思えるものにしようと、日本の食文化自体をユネスコに認めてもらうことにした」。

こうして2013124日に「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録された。その後、和食文化国民会議が設立。そこから生まれた活動の一つが「だしで味わう和食の日」であり、その日には全国の学校で天然だしを使った和食給食献立が提供されている。

2017年に提唱した「和食の心とかたち」には「和食は多種多様な食材の利用を通じて日本人の健康に寄与することが期待される」とある。身体に良いというのが和食の一番のポイントで、今後も和食の良さを伝えていきたいと語った。

【講演】
和食にリラックス効果 龍谷大学農学部 山崎英恵教授

龍谷大学農学部 山崎英恵教授

龍谷大学農学部食品栄養学科の山崎英恵教授は「和食の心地よさを探る」を演題に講演。和食は食べた人の気分を和らげるとされるが、どのような効果があるのか、出汁を用いた実験の結果を紹介した。

山崎教授は、食後の気分の変化を科学的に捉えるため、日常の気分の変化を検出する「気分評価アンケート」と、自律神経活動を測定する「心拍変動パワースペクトル解析」で心と身体の状態を測定した。

「気分評価アンケート」は短時間で直感的に回答できるものを作成。「気持ちよい」「すがすがしい」「悲しい」など30の感情を4段階で評価できるものとした。「心拍変動パワースペクトル解析」は心拍の変動を計測し、自律神経の動きを判別。緊張や不安を感じると交感神経が高まり、リラックスしている時は副交感神経が高まるとされる。

同学の学生24人を対象に実験した結果、鰹と昆布の合わせ出汁を飲んだ後には副交感神経の活動が高まり、リラックス状態にあることが見られた。この変化は合わせ出汁の香りが大きく影響していると推測される。また、合わせ出汁を1回飲んだだけでも疲労感が軽減されることも実験を通して明らかとなった。

【パネルディスカッション】
和食の現状から未来

パネルディスカッションで話し合う各氏

パネルディスカッションで話し合う各氏

「『和食』の現状と課題、そして未来へ」と題したパネルディスカッションが行われた。パネリストは和食会議の調査・研究部会長で長野県立大学健康発達学部教授の中澤弥子氏、普及・啓発部会長で料理研究家の後藤加寿子氏、技・知恵部会長で菊乃井代表取締役の村田吉弘氏、全国「和食」連絡会議議長で服部栄養専門学校理事長・校長の服部幸應氏。コーディネーターは伏木亨会長。

村田吉弘氏はユネスコ無形文化遺産に登録されたことで和食が世界でも有名となり、海外から訪れる客も増えたと語る。「パリの有名なレストランも若い料理人を日本で研修させることを望んでいる。海外の料理人は、うま味を含め和食の秘密を知りたがっている。今後、さらに和食は世界に広がる」と期待を込める。

後藤加寿子氏は和食のうま味をフランスの小学校で教えてきた。「フランスの小学生は和食について学べるが、日本の小学校もフランスから講師を招くなどして、海外の料理について学べる機会を設けてほしい。保護者も子供たちと一緒に海外の料理を学び、家庭で実践してほしい」と語る。

中澤弥子氏は文化庁文化交流使としてヨーロッパで日本の食文化を教えてきた。「そこで感じたのは、日本には伝統的な食文化を後世につないでいきたいと考える人が多い一方で、核家族化が進み家庭では食を伝えることが難しくなっている。地域や学校と連携しながらどう伝えていくかが課題だ」とする。

服部幸應氏は「学校はこの10年間で大きく変わった。海外からの留学生は、卒業後にパスポートが切れるので日本のホテルや料理店で就職することができなかったが、今は和食を学んだ留学生は卒業後5年間は日本で働ける。このため日本で就職することを目標に頑張って和食を学んでいる」と和食を学ぶ留学生に期待を込めた。

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2023年2月20日号掲載

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