基調講演は「学校給食の今日的課題と栄養教諭の役割~改正食育基本法と第5次食育推進基本計画も踏まえて~」と題して、全国学校栄養士協議会(全学栄)会長・長島美保子氏が登壇。栄養教諭に求められ、期待されていることや、改正食育基本法と第5次食育推進基本計画における食育・学校給食などについて語った。講演の要旨は次の通り。
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2004年に栄養教諭制度が創設されてから20年が経過した。栄養教諭は「教育に関する資質」と「栄養に関する専門性」を併せ持つ教員である、という自覚を持つ必要がある。
栄養教諭の職務は、専門知識を活かした児童生徒への個別的な相談指導や、教科や特別活動における教育指導などがある。
これらを実行するために、情報化も取り入れて学校給食の管理業務の効率化を図り、食に関する指導の時間を確保することが求められている。
文部科学省では、栄養教諭の在り方の整理が急速に進められている。2025年4月30日、「栄養教諭等による食に関する指導等の充実について」として通知を発出し、栄養教諭を食に関する指導における中心的な役割を担う教員として位置づけ、一層の活用を求めている。
通知では栄養教諭の従来からの職務「食育その他教育活動に関すること」「学校給食の管理に関すること」に、「学校の管理運営に関すること」を追加。これにより栄養教諭が学校の組織運営や研修に携わるとともに、保護者や地域住民と連携し、学校の管理運営にも目を向けることが規定された。
また20年振りに食育基本法の一部を改正する法律が2026年5月に施行された。改正のポイントに「学校等における食育の強化」が挙げられ、ここでも食の指導にふさわしい職員として栄養教諭を例示している。
総則の第5条では「食育は教育基本法や、その他の関係法律による施策と相まって」行うと記されており、法的な裏付けに則り、食育の指導にあたることになる。さらに第20条でも食育の中核的な役割を果たす存在として「栄養教諭」が明記された。なお他に、学校等における食育の強化の例では「農林漁業教育」を追加し、外部人材の活用の規定を新設している。
そして同年6月24日には「第5次食育推進基本計画」が決定。2026年度から2030年度を計画期間とし、重点事項に「学校等での食や農に関する学びの充実」「健全な食生活の実現に向けた『大人の食育』の推進」「国民の食卓と生産現場の距離を縮める取組の拡大」の3点を掲げている。達成すべきさまざまな目標は「個人目標」と「地域目標」に整理され、実行主体が明確になった。「学校給食における地場産物等を活用した食育に関する取組等を増やす」は、「地域目標」の中に位置づけられた。
学校給食における「地場産物を活用した食に関する指導の取組」は、栄養教諭の皆さんの努力によって、2025年の時点で目標値12回を上回る月14回以上となったことから、「月15回以上」が新たな目標となった。今後は児童生徒への資料提供や校内放送等に加え、給食の時間や教科等の時間を使った直接指導の機会が増えることを願っている。
給食管理の効率化に向けたさまざまな取組があるなかで、冷凍食品を正しく理解して活用し、献立の幅を広げ、豊かにしていくことが大切だ。学校給食で冷凍食品を使うメリットは①豊かな献立作りができる、②季節による価格変動が無く、安定した調達が可能、③調理工程の煩雑さを省き、調理時間の短縮につながる、④献立調理業務の効率化により、食に関する指導の時間を確保できる、などがある。
大切なのは普段からメーカーとのコミュニケーションを図り、学校給食現場の希望を伝えること。実際に、鉄分や食物繊維など不足する栄養素を補えるもの、アレルギー対応、食文化や行事食に対応するもの等が提供されている。
学校給食は成長期の児童生徒の健康増進はもちろん、食に関する指導を効果的に進めるための重要な教材。何より子供たちのために、豊かな給食を目指していきたい。
教育家庭新聞 教育マルチメディア 2026年9月28日号掲載