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教育ICT

全国ICT教育首長協議会 地域サミットを初開催<大阪・福岡・東京>

2019年3月4日
Society5.0を生き延びる力を育む学校環境

全国ICT教育首長協議会は2月12日大阪、20日福岡、28日東京で、「地域サミット」を開催し、関西地区の教育長や教育委員会担当者が参集した。地域サミットは、本協議会としては初の試みだ。現在、全国ICT教育首長協議会には127自治体が参加している。

授業時間の使い方が変わる

12日に開催した大阪会場では文部科学省初等中等教育局の髙谷浩樹情報教育・外国語教育課長が、新学習指導要領が生まれた経緯と考え方について、大阪府箕面市の倉田哲郎市長(全国ICT教育首長協議会理事)は、ICT環境整備に関する市の取組とポイントについて講演。会場内には最新のICT機器なども展示され、参加者は実機を体験した。

横尾俊彦会長(佐賀県多久市長)はビデオメッセージで「Society5・0というAIやIoTがフル稼働している社会を想定した教育が求められている。創造、挑戦、変革という3つのCがあらゆる分野で最も重要になる。ICT教育首長協議会では、この流れを全国に広げるべく、全国の首長や教育委員会の参加を募っている」とあいさつした。

箕面市・倉田哲郎市長

箕面市の倉田市長は「1人1台のPC環境で活用が加速した」と語る

箕面市の倉田市長は「1人1台のPC環境で活用が加速した」と語る

平成20年以降、人口減・子供数微減となっている大阪府内において、人口及び子供の数において府内1位の増加率を達成している箕面市の倉田市長が市のICT環境整備について講演した。

箕面市では保育や児童手当も含め子供に関することはすべて教育委員会が担っている。市では子供の教育に関わる取組に切実感を持って関わる教育委員会とするため、教育委員を公募。34人の応募があり、現在、6名の委員中4名が保護者で構成されている。

一般社会では、1人1台以上のPCや端末所持が当たり前のなか、学校では3人に1台のレベルも不足している状況だ。ICT環境は教育効果があるかどうかの議論をする段階ではなく、まず当たり前の水準として整備することを最優先した。

箕面市の財政が潤沢であるからできたわけではなく、不断の努力で財政を確保した。子供の教育に注力していることが、人口増の大きな理由の1つとなっている。

箕面市では小学校1年生から毎日英語教育に取り組んでいる。小学校英語を教える人材が不足しているなか、これを実現するためには電子黒板と教材が必須の環境である。プログラミング教育も同様だ。今年度2学期から、4~6年生に1人1台のタブレットPCとフルクラウド環境を整備して活用を開始している。複数人につき1台と1人1台では、できることが劇的に違う。「箕面子供ステップアップ調査」によると、学校の成績についても1人1台環境を整備している学年の方が、成績が向上することが検証できた。特に算数と理科の伸び率に差があった。教員が1人1台で活用したい授業、グループ1台で活用したい授業を自由に選択できる環境では、授業の時間の使い方が変わる。説明やプリント配布・回収等の時間が短くなり、対話的なやりとりをする時間が増える。今後、小学校1~3年生及び中学校においても1人1台のタブレットPC体制を検証し、成果が上がれば整備を拡大する。

ポイントは「整備はするが活用を無理強いしない」こと。得意な人の取組を周囲が真似すれば良い。

整備して分かったことは、1万2000人規模のネットワークを教育委員会だけで構築するのは無理があるということ。そこで箕面市は首長部局の情報システム担当が教育委員会のシステム担当を兼任した。首長部局と相談してぜひ取り組んでほしい。

箕面市子供ステップアップ調査ではすべての子供を調査しており、クラス替えをしても後追いができる。結果は可視化して学校長に戻す。学級崩壊の兆候が表れるとアラートが出るようにする、自己肯定感が毎年有位に高い学校の取組を分析する、出身幼稚園や保育所を紐付けて分析して幼児教育で何が重要なのかなどを専任組織が定点観測して政策を担当するセクションへ示すなど指導技術の底上げに役立てていく考えだ。

Office365で新たな学びを体験する

PowerPointの右下画面でカメラ機能を活用して動画教材を作成できる

PowerPointの右下画面でカメラ機能を活用して動画教材を作成できる

体験セッションでは「反転学習」「協働学習」「AI翻訳」「デジタルテスト」「海外交流」などをテーマにOffice365の教育向け機能を体験。

最新のパワーポイントでは、反転授業用教材を簡単に作成できる。PPTファイルの一部に録画映像を挿入でき、説明をしながらペン機能で書き込むと、そのまま録画できる。

AI翻訳機能を活用すると、日本語を英語字幕に、英語を日本語字幕にすることが可能だ。

協働学習向け機能「Teams」ではグループ化した端末に同時書き込み・編集ができる。

Webを使った調べ学習ではデジタルノート「OneNote」に参照したWebをコピー&ペーストすると、出展URLも自動でコピーされた。

文部科学省初等中等教育局 情報教育・外国語教育課 髙谷浩樹課長
教育ICTは政府全体の総意

髙谷浩樹課長

文部科学省初等中等教育局
情報教育・外国語教育課
髙谷浩樹課長

Society5・0は新しい価値やサービスが創出され暮らしや働き方が劇的に変わっていく社会である。予測できない変化を前向きに捉えて生き抜く力を育む、という考え方が新学習指導要領の考え方だ。
新学習指導要領総則では、情報活用能力の育成と学校におけるICT環境整備とICTを活用した学習活動の必要性について言及している。紙と鉛筆の教育から脱して教育もICTを活用していこう、プログラミング教育にも取り組もうという方向性を示した。

この議論は文部科学省単体のものではなく、政府全体の議論である。来年度の予算方針を決める「経済財政運営と改革の基本方針2018~少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現~(骨太方針)」(平成30年6月15日閣議決定)でも「AI時代に対応した人材育成(小学校でのプログラミング教育、高等教育での高い理数能力育成等)」「Society5・0に向けた総合的な人材育成をはじめとした教育の質の向上に総合的に取り組む」とされている。教育再生実行会議でも技術の進展に従って教育をどう変えていくか、という点が議論の大きなポイントの1つだ。

こういった方針に対して、学校のICT環境整備を「この程度は整備してほしい」と示したものが「2018年度以降の学校におけるICT環境の整備方針のポイント」だ。全普通教室及び特別教室に大型提示装置を整備すること、3クラスにつき1クラス分程度の学習者用PCなど「最低限」の整備ラインを示した。地方財政措置でもこれらが積算されており、例えば18学級の小学校は622万円、18学級の中学校で595万円として年1805億円が積算されている。

日本の教育では、新たな時代への対応が大きく立ち遅れている。PISA2015では「協働作業でPCを活用している」率が日本は圧倒的に低いというショッキングな状況だ。

政府全体がこれを危機であると感じており、文部科学省に現状の改善を求めている。そこで先般公表されたのが「新時代の学びを支える先端技術のフル活用に向けて~柴山・ 学びの革新プラン~」だ。これは、質の高い教育や教員支援のために先端技術をフル活用しよう、というもの。大臣の強い思いの表れでもある。

本プラン1つめの柱「遠隔授業」では、例えば離島や小規模校で協働的な学びの展開や、外国人児童生徒や特別な支援が必要な児童生徒への個別支援など好事例を普及していく。また、英語やプログラミングなど専門性やニーズの高い分野での特例校を創設する。2つめの柱「ビッグデータ活用」では個別最適化した学びの実現に向けて実証的取組を推進。3つめの柱「先端技術活用のための環境整備」で、学習データ活用と情報セキュリティ確保を両立する。

「学校ICT環境整備促進実証研究事業」(遠隔教育システム導入実証研究事業)では愛知県瀬戸市教育委員会、静岡県静岡市教育委員会、岡山県赤磐市教育委員会、高知県土佐町教育委員会、大分県佐伯市教育委員会、熊本県高森町教育委員会の6地域が取り組んでおり、次年度も新たに公募する。

ビッグデータ活用の実証実験についても新規予算でスタートし、1人ひとりの状況に応じた学びの最適化を図る。

■ICT環境整備 推進の手引きを作成

文部科学省では教育の情報化推進のプロセスと進め方やエビデンスとなる資料をまとめた「地方自治体のための学校のICT環境整備推進の手引き」を作成した。

各地域の取組も45事例掲載。情報化推進計画策定のためのワークシートや計画例も付録として添付した。新しい学習指導要領に沿って教員が情報教育を指導するためには、そのための準備として方針を踏まえた整備が必要だ。 先端技術のフル活用に向けて関係者の力を結集してほしい。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2019年3月4日号掲載

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