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教育ICT

1人1台活用に再挑戦 自由な活用で対話的に<名古屋経済大学市邨中学校・矢田修教諭>

2019年3月4日
第56回教育委員会対象セミナー・名古屋

第55回教育委員会対象セミナー福岡を2月8日、第56回同セミナー名古屋を2月15日に開催。教育委員会や教職員などが参集し、熱心に聴講した。

2040年を見据えカリキュラムや評価を見直し

名古屋経済大学市邨中学校・矢田修教諭

名古屋経済大学市邨中学校・矢田修教諭

1人1台のタブレット端末導入が私学でも進んでいるが、事例が増えると失敗事例も増える。現在、1400台(中学校100台・高等学校1300台)のタブレット端末(ⅰPad)を活用する同校でも、平成25年に40台のⅰPadを導入した際には活用が進まなかったという。矢田教諭は同校の成功事例を報告した。

パーソル総合研究所によると、6年後の2025年には日本の仕事は今よりも増え、583万人の人手不足が予測される。一方、製造業や政府サービスなどは265万人が余ると予測されている。ドローン開発者やYouTuber、ゲーマーなどこれまで考えられなかった職業が生まれてきており、生徒はそれを知っている。そこで本校ならではの新しい学びを再定義して取り組んでいる。

平成28年に1人1台のタブレット端末の導入が決定し、校内無線LAN環境も整備。平成30年4月に全コース全学年の導入が完了。タブレット端末活用についてはプライバシーポリシーやセキュリティポリシーは作成したが、厳しい指導をするのではなく、自由に活用し、自ら考えることによる倫理観の育成を目指した。

同校のディプロマポリシーに従ってカリキュラムも見直し。従来の「5教科重視」から「道徳」「総合学習」「特別活動」「未来」の4科目・6単位を探究学習として新設し、「標準単位数+探究学習」へと移行した。

評価も見直し。「定期テスト中心の評価」から「生徒の成長を絶対評価」する。ポートフォリオ活用や評価ルーブリックの作成、シラバスによる評価基準の明確化などを進めた。

1人1台のタブレット端末の環境が整ったことで授業スタイルも変わった。理科では40本のパスタとホットボンドを使って橋を作り、強度を比べて構造体の強さを検討。

社会(歴史分野)では、データを読み取り、生徒同士で議論を深めて事実を探り、歴史観を育んでいる。

数学でも対話的な授業を展開できている。

探究活動として欧米型の国語の授業「Language Arts」も取り入れている。日本の国語は主語や述語を論理的に読むことが弱いとされる。1学期「読解」で主語や述語から文章を判断し、2学期「作文」で200字作文に取り組むなどだ。

それぞれの興味関心に応じてテーマを選択し、探求する「Miraiゼミ」、「総合学習」の「宇宙プロジェクト」でJAXAによる特別授業などアクティブな学びを意識した授業改善に取り組んでいる。「道徳」のプロフェッショナル講座は、様々なプロフェッショナルを講師が失敗体験を講演するものだ。こうした活動を通じて、受動的な理解から能動的な理解へ、正解の数だけの評価から挑戦の回数からの評価へ、知識の習得から成果の創造へ、過去に学ぶだけでなく未来への探究へと教育は変わり始めた。ICT導入をきっかけに、市邨でしか学べない価値観を追求している。タブレット端末の故障については保険に入っており、保険と生徒の自己負担で対応。保険料も含めて整備している。【講師】名古屋経済大学市邨中学校 矢田修教諭

 

【第56回教育委員会対象セミナー・名古屋:2019年2月15日

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2019年3月4日号掲載

 

  1. 大府市教育委員会主席指導主事・鈴木達見氏
  2. 文部科学省教科調査官・鹿野利春氏
  3. いなべ市教育研究所 所長補佐兼指導主事・安藤正一郎氏
  4. 岐阜市教育委員会 指導主事・赤地仁志氏
  5. 川根本町教育委員会教育総務課課長補佐兼教育総務室長兼管理主事・宮島明利氏
  6. 名古屋経済大学市邨中学校・矢田修教諭
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