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教育ICT

【第68回】ICTキャンパス 早稲田大学「ブレンディッド・ラーニングで 学習効果を高めるICT活用」

2019年10月14日
連載

学習支援やラポール形成が重要

「なめらか!発音3-4」授業の全体構造。ICTを活用しながら、学習者に寄り添った授業づくりがなされている

「なめらか!発音3-4」授業の全体構造。ICTを活用しながら、学習者に寄り添った授業づくりがなされている

近年、注目されている手法に、対面授業とオンライン学習とを組み合わせた「ブレンディッド・ラーニング」がある。戸田貴子教授(早稲田大学国際学術院大学院 日本語教育研究科)は、日本語教育においてブレンディッド・ラーニングによる音声教育を実践している。「私たちが考えているブレンディッド・ラーニングとは、学習効果を最大限に高めるためにICTを活用し、多様な方法を適切に組み合わせた正規の授業であり、通信教育や遠隔教育とは根本的に異なるものです」と語る。

実践を通して、学習者の学習意欲の維持と学習の継続には次の4点が重要だという。▼動機付け ▼意識化 ▼学習管理と自律学習 ▼学習支援とラポール(信頼関係)形成

「『動機付け』『意識化』は従来型の対面授業でも重要ですが、『学習管理と自律学習』『学習支援とラポール』はICTを活用した教育だからこそできることが多いと考えています」

主体的学びを生み出す仕組み作り

戸田教授の授業「なめらか!発音3-4」は、5週目までは対面授業、6週目以降10週間はオンライン授業だ。学習の流れは次の通り。①教科書の学習 ②オンデマンド講義の視聴 ③シャドーイング素材の練習 ④「Japanese Pronunciation for Communication」の学習 ⑤「発音BBS」への書き込み ⑥「発音チェック」の提出

学習者は対面授業終了後、自律的にオンライン学習を続ける必要がある。そのため、戸田教授の授業では、学習者の学習意欲の維持と学習の継続を促す工夫をしている。
「一方向的な講義を視聴しているだけでは、発音は改善されません。学習者自身が何度もモデル音声をリピートするシャドーイング練習や、BBSで意見交換するなど、主体的な学びを生み出す仕組みを作り、運用しています」

「Japanese Pronunciation for Communication」とは、戸田教授らが開発した教育コンテンツで、グローバルMOOC(大規模公開オンライン講座)のedXにおいて、世界中の日本語学習者・日本語教育関係者に向け、2016年11月から無料配信されている。「Japanese Pronunciation for CommunicationはグローバルMOOCにおいて、現在、唯一の日本語教育関連講座です。また、グローバルMOOCを教室活動に組み込んだ事例は、管見ではほかにありません」

総登録者数は、世界およそ170国・地域から5万3913人にのぼっている(2019年9月12日現在)。

ICTを活用して学習者間で相互評価

「従来の対面授業にでは、教員は教手として、学び手である学習者を指導する意識を持つことが多かったのですが、ブレンディッド・ラーニングを通して、様々な教育のあり方、学びのあり方を考えるようになると思います。これは、教育の改善のために重要です」と、ブレンディッド・ラーニングの導入によって、教師の教育観が変わる可能性を示唆する。今後の課題は、学習者間のインターアクション(相互的なやり取り)を活性化させるためのICT活用だ。そのひとつに学習者相互による評価がある。すでに、Japanese Pronunciation for Communicationの相互評価に継続参加した受講者は、具体性の高いコメント(問題点、修正方法の指摘)を継続して書く傾向が見られるなど、検証も進みつつある。

(蓬田修一)

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2019年10月14日号掲載

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