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教育ICT

英語で毎時間自由討議 ”多様性”を強みに変える<三重県津市立東橋内中学校>

2019年12月3日
特集:主体的な学びを支える仕組みをつくる

津市立東橋内中学校(三重県・中川克巳校長)の生徒は、5割弱が外国籍だ。休み時間には、日本語、タガログ語、ビサイア語、英語などが飛び交っている。現在、国語、社会、数学、英語で指導者用デジタル教科書を活用しており、特に英語の導入効果は顕著で、「聞く・話す」力が全体に大きく伸びているという。指導者用デジタル教科書「NEW HORIZON」を活用した2年生の授業を取材した。授業者は森雅也教諭。

外国籍生徒は約5割

ペアやチームで様々なテーマを積極的に自由討議している

ペアやチームで様々なテーマを積極的に自由討議している

授業はほぼオールイングリッシュで行われた。生徒はペアで1分間のスピーキング。テーマは、先日、総合的な学習の時間に見学した英語村と義肢を作る工場での感想だ。生徒は宿題として、このテーマで英作文を書いている。スピーキングを聞いている生徒は、話した言語数を、マス目に入った数字を使って数えていく。最も多く語を使ってスピーキングしたのはフィリピン出身の生徒で、147語であった。

森教諭は、この日のユニットから「ユニバーサルデザイン」について、指導者用デジタル教科書の写真を拡大して提示し、英語で説明した。弱い力でも使えるように工夫されたステイプラーやハサミ、ペットボトルキャップのオープナーなどだ。

次に、この日の学習内容であるifを使った表現で、「早く起きたら何をする?」と生徒1人ひとりに質問。生徒は考えながら「ゲームをする」「シャワーを浴びる」などと英語で答える。「また寝る」という答えには笑いが起こり、「朝食を作る」という答えには拍手が起こる。その後は、ペアで「早く起きたら何をする?」をテーマに自由討議を1分間。モデル会話として森教諭は数ペアを指名して、2人の会話を皆で聞いた。

文法事項のまとめでは、指導者用デジタル教科書の動画「スチュアート先生の文法解説」を皆で視聴した。

始めた当初は沈黙も

デジタル教科書で文法事項を確認した

デジタル教科書で文法事項を確認した

これからの英語力について「即興性」が求められることから、森教諭は、授業に自由討議を必ず取り入れている。この日の授業では、少ない生徒でも40語は使って話していた。「この取組を始めたときは沈黙したままの生徒も多かった。1年経過して飛躍的に上達した」という。そのポイントとして「とにかく定型をまず覚えること。文法事項を押さえることも重要で、これについてはデジタル教科書のスチュアート先生の文法解説が素晴らしく、スピーキングや会話などの活動をした後に聞くようにしている。皆、熱心に聞いている」という。

英語でユニバーサルデザインを説明

英語でユニバーサルデザインを説明

外国籍の生徒のうち、フィリピンは公用語が英語であることもあり、外国籍の生徒の英語の上達は特に速い。それに日本の生徒も良い影響を受け、尊重し合い助け合いながら学んでいる。

デジタル教科書については「フラッシュカードやピクチャーカードを持ち歩く必要がなくなり、ノートPC1台で授業ができるようになった。さらに効率的に提示や板書ができるので、活動の時間が増えた。ノートPCとデジタルテレビは有線で接続しているが、セッティングは生徒が行っている」と話した。

「聞く・話す」力が向上
全国平均より16ポイント高く

中川克巳校長

中川克巳校長

中川校長は、市教委にいた当時、デジタル教科書をぜひ導入したいと考え、積極的に先進校を視察。2017年度に学校長として同校に赴任したところ、地域の特性から外国籍の生徒は当時既に4割を超えており、今後も増えること、日本語の理解が不十分な生徒も多かったことから、視覚的に理解しやすいデジタル教科書をすぐにでも導入したいと考え、「ちゅうでん教育振興助成」を受けて国語、英語、社会のデジタル教科書を導入。当時、教室の無線LAN回線は不安定であったため、まずはICTを活用できる環境にしようと、教育委員会に許可を得て校長自らケーブルを敷設し、大型テレビに提示できるようにした。

活用が始まり、その成果を教育委員会に報告。2018年度には、言語力を高めるモデル校が同校を含めて3校指定され、モデル校に国語と英語のデジタル教科書が導入された。

同校では、特に英語の授業で効果を発揮しており、皆、英語の授業に生き生きと参加するようになった。英語が公用語であるフィリピンの生徒の英語力に良い影響を受け、日本の生徒も積極的に英語を「聞く・話す」活動ができている。

外部スピーチコンテストにも積極的に参加。上位の成績を収めるようになった。GTECでは、平均4・5の好成績だ。さらに全国学力・学習状況調査では、全国平均よりも英語は10ポイント程度低いにもかかわらず、「聞く・話す」では16ポイント高い領域もある。スピーキングはもともとある程度できていた外国籍の生徒も、デジタル教科書で文法事項をしっかりと押さえることで、成果につながり、意欲・関心も高まった。

デジタル教科書が入っていない理科や音楽も、教員は積極的にデジタル教材を使うようになり、授業改善につながっている。教科により、授業の参加意欲に差があることから、今後も、インターナショナルな環境を強みとしてさらに英語力を高めるとともに、他教科の強化にもつなげていきたいと考えている。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2019年12月2日号掲載

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