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教育ICT

教育のデジタル化に世界は大きく舵を切る< 九州大学 安浦寛人理事・副学長>

2020年8月3日

オンライン授業の広がりにより、学習データの収集・分析に取り組みやすい環境が構築されつつある。九州大学の安浦寛人副学長は「教育機関を超えた教育データの収集と社会全体で共有できる仕組みづくりは、国の基礎力を高める重要なプロジェクトになり得る」と語る。同学の学習データ収集・活用について報告した。

学習データは教育改革の起爆剤になる

新型コロナウイルス感染症拡大阻止のための休校期間、強制的にオンライン授業の実施を求められた大学が多かったのではないか。欧米や中国、韓国を始め、世界的に見ても、これを機に教育のデジタル化に、大きく舵を切る。まさに今年は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の転換点にある。

日本においてもオンライン授業により、多くの教育データを収集する仕組みづくりのチャンスを得たと考えることができる。授業録画、小テスト、課題への対応、チャット上のやりとり等すべてがデジタルデータとして蓄積可能なものだ。LMSであれば学生ごとの履修履歴や教員の実績もわかる。1人ひとりの学生の成長や教員の授業スキルとスキル向上、教材の良しあしなどを客観的にチェックできるデータを取得することができ、教育をデータとして把握、解析して改善できる可能性が広がった。

オンライン併用
6割の学生が希望

本学では6割の学生が、対面授業が可能な状況でもオンライン授業を残してほしいと考えており、他大学でも同様の傾向にあると聞いている。正式決定ではないが、オンライン授業は今後も残す方向だ。100人以上の大教室の後方座席よりオンライン授業のほうが集中しやすいという学生も多い。障がい者対策、病欠対策にもなる。

同じ内容の授業を対面でやった場合とオンラインで行った場合(事前学習は各自で実施)も比較。統計的にみて有位な差はなかった。いくつかポイントはあるが、学生は遠隔による授業でも理解できることがデータにより裏付けられている。

本学では2013年よりBYODを始めており、すべての学生がPCを所持。ソフトウェアは大学負担で提供。学習活動と教育活動を効率的かつ効果的に進めるための学習支援システム「M2B(みつば)」は2015年度後期から全学展開している。これはeポートフォリオシステム「Mahara」、デジタル教科書配信システム「BookRoll」、eラーニングシステム「Moodle」を統合的に活用するものだ。2016年2月には、学習活動のプロセスをデータとして記録し分析する「ラーニングアナリティクスセンター」を設置した。

質疑応答記録、理解度確認、自習予習復習材料や課題の提示や学生対応などを行っている。

学生の反応をリアルタイムに分析して講義の流れを調整している

学生の反応をリアルタイムに分析して講義の流れを調整している

遠隔授業では、学生が何を見て何をしているのかが分からないため、説明スピードや内容が適切かどうかを判断しにくい。そこで「BookRoll」で、学生のテキストブックを共有。学生がどのページを閲覧し、どのワードにマーカーをしているのかをリアルタイムに確認できる。

障がい者のデータも重要だ。読み上げ機能の速さは適切か、内容は伝わっているのか、色弱でも資料は見えているのかなどが判断できる。

この仕組みを活用した場合と活用しなかった場合では、学生の理解度が大きく異なり、活用したほうが、マーカーやメモをとる学生が多くなる。

同じ授業を別クラスで行った際のクラスによる反応の違いもわかる。

異なるコースであっても、教員が同じだと学習活動に類似点があることもわかる。教員の教え方は学生の学習活動に大きな影響を与えている。

伝えたい情報が正しく伝わったか否かなど、教員向け分析レポートやログ分析レポートを改良して授業改善につなげている。成績上位層と下位層では、成績に影響を与える学習活動因子が異なる。

アクティブラーナー育成のためには、自ら取り組むことができる環境の提供が必要で、学習データの学生への提供はそのためのもの。自分の学び方の弱点を知って克服し、学習データサイエンティストとしての学生の育成につながる。

教育データ収集とプライバシー保護

本学では学生は、クラス平均との比較はできるが、個人比較はできないようにしている。

教育データ収集とプライバシー保護については4段階で考え(表参照)、学内ではL1とL2を適用。L3については今後検討していくことになる。学習支援システム上のデータ、プログラミング授業などの収集データ、履修登録科目・成績データなどを対象としている。

最終的にどのような社会を考えれば良いのか。

まず、教育データと学習データは分けて考えること。教育データは教育者や教育機関が管理する基礎資料である。

学習データは個人が何をどのようにいつ学んだのかのプライベートな学習履歴のデータ。個人が閲覧管理する権利を持つもので、学び方改善のヒントに使えるものだ。

基本は学習者本人の管理だが、高校や大学から提供された結果は改ざんできないようにする。これを、本人同意のもとに、教育機関や教育サービス、研究者、行政、保護者に提供できる「オープンデータ化」するのが将来像だ。健康データの一元管理化が必要といわれているが、学習データの一元管理も共に着手し、プライバシーに十分配慮しながら社会で有効に利用していくことが重要だ。

社会全体で共有できる標準化した学習データ収集の仕組みづくりは、今後の教育改革の起爆剤になる。国の基礎力を高める重要なプロジェクトとなる。

■デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation=DX)ITの浸透で人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること。(超教育協会7月8日オンラインセミナーより)

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2020年8月3日号掲載

 

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